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隣の切原くん



「なあなあ、これは?」

「あ、あの切原く」

「赤也って呼んでって言ったろ?」

やっとのことで長い長い昼休み後の授業を終えた休み時間。
そして今日は最後に英語の授業っていう気が重たくなる授業、みんなにとっては。
わたしにとっては、意外と楽しくて笑える授業。英語が得意っていうのもあるかもしれないけれど。
そんな英語の授業を前にしてわたしの気は下がる一方。

理由。
それは、目の前にいる切原くんのおかげ以外のなにものでもない。

「で、でも…」

「いーじゃん、そう呼んで欲しいんだよ」

中谷くんが休んだあの日、切原くんと初めて話したあの日。
あの日から切原くんはよく話しかけてきます。
英語の授業があるたびに。それも、中谷くんがいるのに!
英語の授業なんて週に3、4回はあるから前のことを考えるとものすごい進歩だと思う。

でも、だからってわたしの人見知りが治るわけでもないし切原くんは結構真っ直ぐに言ってくる人だから、切原くんが話しかけてくるたびに緊張してカチコチだ。

「はあ。切原、困ってんだろ?」

「あ、中谷く」

「なんだよ中谷―!邪魔すんなよな―」

「あんま困らせるなよってだけだよ」

「わかってるよ」

中谷くんはわたしが困ってるのを気遣ってくれてるのかいつも話しかけてくれる。
それはありがたいんだけど、できれば切原くんも連れていってほしいよ

「あ、切原くん、中谷くんに」

「あ、か、や!」

どうやら切原くんはわたしにどうやっても名前で呼ばせる気らしく、ちっとも話を聞いてもらえない。

「あ赤也くん、」

「よし。あ、これ教えてくんねえ?」

「う、あの、き…赤也くん、中谷くんの方が分かりやすく教えてくれると思うよ?」

わたしに切原くんは荷が重すぎる。
だって、切原くんの英語の苦手っぷりはわたしには教えきれないと思う。(切原くんには悪いけど)
それに、今までまったく話したことのなかった切原くんに教えるなんてわたしには近すぎる距離なわけで。

中谷くんに教えてもらうことをおすすめしたい。

「なんでだよ?」

聞き返してくる切原くんの声はあまりにも真剣で少し怖い。

「で、でも、わたし教えたりする、の得意じゃないし、」

そもそも、話し慣れた人じゃないと話すのも苦手。

「それでも、俺はお前がいいの!」

いいだろ?って聞いてくる切原くん。
むしろ聞くっていうより説得ぬ近いのかもしれない

切原くんは、わたしがいいというより中谷くんが苦手らしい。なんでも結構な厳しさらしい。

「な、頼む!」

「う、うn」

「じゃ、俺と一緒に切原をいじめようか?」

切原くんがあまりにも必死に頼むから、頷きそうになった。
そこに、また中谷くんが現れてくれて、なんとも嬉しい申し出をしてくれた

「げ!なに言ってんだよ中谷!」

「はは、ビシバシやるからな?」

「わ、わたしも、がんばる、ね」

中谷くんもいてくれれば、切原くんと話すのももう少し慣れるかもしれない。
がんばろう、そう決めて、前を見る。




(そーか、じゃ、先生ともがんばろうか?切原)(げ!もう始まってんのかよ!)
まだ、前に進み始めたばかり


あきゅろす。
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