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50話:きっと嫌なのでしょう、絶対そうでしょう










「う〜っ、あと10分〜〜っ」


麻燐は辺りを見渡しながら呟く。
残り6人。
10分で全員を捕まえることはできないと思いますが、それでも必死に走る麻燐。
ここで食堂へと足を入れると、


「ぬおお〜っ、バーニング!!」


何故かバーニング状態になっている河村を発見!
麻燐は、見つけた、と笑顔になり少し近寄る。


「おーっと、近づかない方がいいぜベイビー!俺は今燃えてるからなーっ!」


確かに、今日はいつもよりバーニングです。


「む〜、これは捕まえるの大変そうだなぁ〜っ」


こちらも燃えてきた麻燐が珍しく本気の顔になる。


「そんな怖い顔すんなよベイビー!俺に触れると火傷するぜーってなバーニンっ!!」


もう言っている意味が分かりません。
本当にこれがあの仏空気の持ち主の河村でしょうか。
もしかしたら仁王のペテンでは!?
とそんな難しいことは麻燐は考えず、ただ目の前の河村を捕まえる事を考えています。


「うーん……」


時間はだんだんと減っていきます。
まだあと5人残っていますが誰か捕まえているのでしょうか?





「ふふふ、そこどいてくれないかなあ?」
「何言ってるの。幸村がどいてくれない?」
「何で俺が不二なんかの為にどかないといけないのかな」
「くす、その言葉リボンでもつけて返してあげるよ」


………。
もしかして、あれからずっと言い争いしてます?
二人の接近度は高く、お互いのどす黒いオーラが触れ合うところまで来ています。
これは隠れ鬼どころではないでしょうね。






「あ〜、腹減って探せねーぜ」
「探す探さないは桃先輩の意思だと思うけど」
「そうだな。桃城の場合、空腹時の売店へ向うスピードはケタ外れだ。そこを考えると今の発言は矛盾している」
「そんな乾先輩、真面目に受け取らないでくださいよ〜」
「つまり、桃先輩はぐーたらなんスよ」
「何だと越前!」


こちらはこちらで廊下をゆっくり歩きながらの会話。
あれから動き出したのはいいものの、誰とも会っていない雰囲気ですね。
単なるお散歩です。

鬼としての責任感をあまり感じませんね。





「なぁがっくん、知っとるか?」
「……何だよ」
「氷帝で見つかってないの、跡部とジローらしいで?」
「マジかよ。跡部って隠れ鬼できたんだな」
「感動するとこそこちゃうやろ。説明も自分でしとったやん」
「ジローなんか真っ先に見つかりそうなタイプじゃん」
「そうやな、もしかしたらトイレとかで寝てんのとちゃう?」


……こちらも単に歩いています。
ただ、忍足は気付いているのでしょうか?
向日が無感動に話しているのを。
きっと嫌なのでしょう、絶対そうでしょう。
とりあえずもうほとんど諦めている二人です。





と、こんな感じで今ここで麻燐が河村を捕まえるか否かで人数が変わってきます。
河村と麻燐の見つめ合い。
ここで、麻燐が何やら思いつきました。


「タカちゃん!だっこ!!」
「おうベイビー任せとけ!」


両手を広げる麻燐の腕の下に手を入れ、そのまま持ち上げる河村。
バーニング状態の河村は単純です。


「どうだ、ベイビー?」
「きゃははっ!高い高い!」


喜んでいる麻燐を見て河村も満足気の様子。


「でもね、タカちゃん、捕まえちゃったよ!」
「ホワーッツ!?OH!マイガーーー!」


河村崩壊寸前。
つい条件反射で麻燐を抱き上げてしまった感じですね。
にしし、と悪戯っ子のような笑みを見せる麻燐。
河村は持っていたラケットを落とす。
だが麻燐はしっかりと持って。
そしてバーニング状態から普通の河村になった。


「あー、折角ここまで残ったのになぁ」
「えへへ、後少しだったね!」


ここで放送から音楽が鳴りました。
隠れ鬼終了の合図です。
その音楽を耳にすると河村は麻燐を降ろす。


「まぁ、捕まっちゃったんなら仕方ないよね。戻ろうか」
「うん!」


二人は一緒に広間へ向かいました。
それにしても、最後の麻燐は策士でしたね。
彼女が自分の魅力に気づいた時、恐ろしいと思うのは今のところこの管理人だけです。

さあ、次は結果発表です!













あきゅろす。
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