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40話:「えへへ、これでやる気出るぞ〜〜っ」










「麻燐、頑張って皆を捕まえるからね!」


笑顔でステージに上り、数を数えようとする麻燐。
他の皆さんは展開についていけない様子。


「ちょちょ、ちょっと待つッス!何で麻燐が鬼なんスか!?」
「面白いから」
「へー、そうなんスかぁ!って納得できるわけないッス!」


切原は興奮の余り空回り。


「手塚部長、何で麻燐も参加するんスか?」
「ああ、そうだ。その方が集中力や精神力、その他もろもろが鍛えられるという幸村の提案だ」
「「「(その他もろもろって何だ……!)」」」


一番気になる部分を言わない手塚に歯痒さを感じる皆さん。
それでも誰も聞こうとしない。


「ふふ、時間がなくなるからもう始めるよ。よーい、ドン」


幸村の透き通った声が響くが、他は威圧感を感じながら走り去りました。
それを確認した上で、部長も走りだす。


「えーと、100数えるから……。いーち、にーぃ、さーん……」


麻燐は壁に目を伏せて大きな数え始めました。
逃げる村人さんは麻燐の声が聞こえないような場所へと向かいました。
合宿所内は意外に広い。
中には麻燐の事を心配している人も居たが、優勝するために隠れ場所を探しました。


「さんじゅー、さんじゅーいーち…」


誰も居ない部屋の中、麻燐の声が響く。
頭の中では皆がどこに隠れているのかわくわくしています。
そんな一方。


「ちょっ!ここは俺が先に見つけた場所だぜっ!」
「何言ってるにゃ!俺が先に見つけたんだよーっだ!」


言い争っている者や、


「ふむ、この場所に隠れたら見つからない確率67%……こちらの方がいいな」
「そうか。ならば俺は他の場所を探そう」


冷静に考えている者や、


「くす、越前。勿論見つかってくれるよねぇ?」
「…いくら不二先輩でも、そーゆーのはだめなんじゃないッスか?」


脅しをしている者や回避しようとしている者。
様々な行動があり……、


「ひゃーくっ!よし、探しに行こうっと!」


ぱあっと壁から離れたと思ったら、ぴた、と止まる。


「忘れるとこだった……ゆきちゃんからもらった鬼印!」


机に置きっぱなしだった鬼の印……ちっちゃな角を麻燐は手にしました。
そして、頭につける。


「えへへ、これでやる気出るぞ〜〜っ」


麻燐ははしゃぎながら皆を探しに行きました。








「まずは、えーっと……」


廊下に出た麻燐はきょろきょろと辺りを見渡す。
どこに行こうか迷ってますね。


「うーん、こっち!」


右へと決める麻燐。
ととと、と小走りで向かいました。
……すると、


「あ!あれは……」


早速何か見つけたんだろう。
曲がり角で何やら銀色に光っているものを麻燐はきらきらとした顔で見る。


「そろ〜り……」


狙いを定めて足音を立てずに近づく麻燐。
そして、


「やぁっ!」


曲がり角を一気に曲がり、そのものに抱きつく。


「お、麻燐か。遅かったの」
「もー、まーくん!ここは簡単すぎるよぉ?」


なんと、あの銀色の光っているものは仁王の尻尾だった!
麻燐は仁王に抱きつき、捕まえることができました。


「どうしたの?お腹痛いの?」
「いや、真剣に待ってたぜよ、麻燐を」
「待ってちゃだめだよ〜っ!逃げないと!」
「はいはい。じゃが、もう捕まったもんは仕方なか。俺も一緒に探すぜよ」


そして仁王も鬼へと変わりました。
麻燐の第一の仲間となりますが……本当に、隠れていたのでしょうか。


「(隠れてもいいが、こうやって捕まえるのもええのう)」


どうやら、仕様だったようです。
この詐欺師!
麻燐ちゃんの努力を返せ!


「俺には麻燐をデートに行かせんようにする使命があるんじゃ」


それは貴方の考えですよね!?


「何か文句あるんか?もし幸村辺りが残ったらお前さん、責任取ってくれるんか?」


………すみません。
麻燐ちゃんを守りたいという幼馴染想いな行動なのは認めます。
全員捕まえて麻燐を誰一人として渡さないという作戦なのも分かります。


「?まーくん、誰とお話してるの?」
「や、ちょっと壁とな」
「壁……?」
「ま、そんなもんは放っておいて、一緒に探しにいくか」
「うん!」


私は壁ですか。
でもまぁこの世のものであることはまだいいんですが……じゃなくて!
二人は仲良く大きなホールの部屋へと向かいました。
仁王が言ったんでしょう。
多分、他の人が逃げていくのを見たんではないでしょうか。

さあ皆さん!
こんな幼馴染にデレデレな詐欺師からは逃れるようにしましょう!













あきゅろす。
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