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32話:「!?!?き、ききき君!!」










「ふんふんふーん」


朝食が食べ終わり、練習に移りました。
麻燐は機嫌が良いのか鼻歌を歌っています。


「えーっと、今日は何のお仕事すればいいのかなぁ?」


まだ練習が始まったばかりだからドリンクはまだ大丈夫。
洗濯は昨日まとめて洗ったから大丈夫。
麻燐は指を折り数えながら考えます。


「うーん……そうだ!景ちゃん先輩に聞いてこよっと!」


最終的にその考えに辿り着き、にこにこと氷帝のコートに向かいました。









「へー、ここが合宿所かぁ!着いたよ〜」
「……うっせえ。大体、何で俺までお前に付き合わされねーといけねえんだよ」
「えー。だって、俺一人だったらきっとフルボッコにされちゃうじゃん?だから!」
「だから、の意味が判らねえ」
「まぁ、いいじゃんいいじゃん。ここで強豪校が練習してるんだよ?どんな可愛いマネがいるのか……げふん、どんな練習しているのか気にならない?」
「全く」
「うわぁ、即答。でも俺気にしないから。ほら、行くよー!」
「なっ!引っ張るんじゃねぇ!」


偵察にでも来たのでしょうか。
それにしては合宿所に入って堂々と会話をしていましたが、こそこそとコートに近づいていきました。


「ちょっ!もうちょっと屈んでよ!見つかっちゃうじゃん!」
「あぁ?何で屈まねえと……」


ぶつくさ言っている一人の男をもう一人が無理矢理屈ませた。


「もう、煙草も吸っちゃだめだって!煙が立つでしょ?」
「んなの俺に関係ねえ」
「はぁ……」


オレンジの頭をした人は頭を抱えた。
それを、けっと見下す何やら毛が逆立っている人。


「まぁいいや。えーっと…あ、ここは氷帝のコートみたい」


立ち直りが早いです。
煙草を吸っている方はいつものことと思っているようなので何も言わない。


「ねえ、」
「ん?あれ、亜久津……ねえ、って人を呼んでた…っけ……?」


オレンジの頭は自分の背後を見やる。
すると、そこには一人の女の子が立っていた。
髪はロングの甘い雰囲気漂う桃色。
大きくてくりくりとしたブルーアイズがオレンジ頭を見つめる。
そう、麻燐です。


「!?!?き、ききき君!!」
「?貴方は誰?そこで何してるの?」


小さな頭を傾げるその姿に、オレンジ頭くんは勢いよく立ちあがる。


「かっ……可愛すぎ!!!!


大きな声でついつい言っちゃいました。
癖というのは恐ろしいですね。
もちろん、ここはコートの目の前なので目立ちます。
ましてや……あの氷帝コートの真ん前なのですから運の悪いことこの上ない。
隣の煙草の人は呆れたのか馬鹿だと思っているのかあぐらかいてます。


「てめえ……そこで何してやがる」
「へ?……ってぎょえええええ!!!


オレンジ頭が後ろを振り返ったら…
そこにはフェンスに指を食い込ませている般若……いやいや跡部の姿がありました。
遠くから見ても間近で見ても怖すぎです。
オレンジ頭くんは気絶しそうな勢いで地面に倒れました。


「あ、景ちゃん先輩。麻燐ね、お仕事を……「そんなこと言ってる場合じゃねえ!そいつから離れろ!!」


跡部がそいつと指さしたのは勿論オレンジ頭くん。
何とか気絶は免れたらしく尻もちをついた状態。
というか、またまた酷い言われようの人ですね。
これは……もしかしてアレですか。
お…忍足のような……(俺をアレ扱いすな!!by忍足
そんなことを言っているうちに他の氷帝メンバーも集まりました。
跡部と違い、コートの外に出てきます。


「あぁ?こいつ……山吹の千石じゃねー?」
「そうみたいですね。隣は亜久津さんですよね」


座っている二人を前屈みになって言う岳人たち。


「あ、あはは……見つかっちゃったね」
「……てめえの所為でな」


見つかってもマイペースですね。
しょうがない、と肩をすくめる。


「でもね、偵察だけじゃなくて……」


服に付いた砂埃を払いながら千石は立ち上がる。
そして、横に立っていた麻燐の肩を抱いて、


「可愛いマネも見にきたんだ」
「「「帰れ」」」


その後は全員の力で麻燐から離れさせられました。













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