21話:「どうも信用ならん」 「きゃはーっ!合宿2日目っ、天気は晴れー!」 私が言わなくても麻燐の様子で分かると思いますが、朝です。 「ほらほらっ!綺麗な空〜」 一人だけハイテンションでベッドの上を飛び回り、更に窓を開ける。 「………朝から可愛ぇなぁ」 「………フシュ…(うるせぇ)」 こちらは朝は低血圧なのか、元気がありません。 「………(ね、ねみー)」 「………(全然眠れなかった)」 切原と日吉はずっと戦ってたんでしょうか。 お互い目が開きません。 「どうしたの?皆元気ないよー?」 「「「(元気がいいのは麻燐だけだ)」」」 朝に弱いはずの麻燐が何故。 やはり、合宿で楽しいからでしょうか。 「今日も1日頑張ろー」 麻燐の元気につられ、他4人も起きて支度をした。 「………なんだ、お前ら。さっぱりしねぇ顔だな」 食堂で集まった頃、宍戸が麻燐と同室だった4人の顔を見て言った。 「麻燐ちゃん、大丈夫だった?」 「んぇ?」 会って早々安否の確認ですか。 結構麻燐ちゃんの保護者に適役っぽいです。 「……日吉、どうだった?」 まだ頭を片手で押さえている日吉に跡部が話しかけた。 「あ……はい、何とか抑えましたよ」 それに気付いた赤也が日吉に聞く。 「何の話してんだ?」 「同室って決まった時に跡部さんから頼まれたんだ。忍足さんが妙なことをしないようにってな」 「俺の居らん間に何を話しとんねん」 「別に目の前で話してもいいんですよ?」 「…いや、やっぱ止めてくれ」 日吉、忍足のツッコミの上を行く。 「赤也、お前さん、麻燐に変なことしてないじゃろうな?」 「何もしてないッスよ!」 「どうも信用ならん」 「なら麻燐に直接聞いたらどうッスか」 「麻燐はどんなことをされても『何とも無い』で済ます。俺の体験じゃ」 「仁王先輩の方が危ないじゃないッスか!」 可愛い幼馴染の為です。 「いいねぇ、初日っから麻燐と同室でよ〜」 「……うるせぇ」 「とか何とか言っちゃって。可愛いとか思ったんだろ?」 「……桃城、喧嘩なら買ってやるぜ」 「おう、上等じゃねーか!」 「やんのか!」 「桃城、海堂!宿舎の周りを走りたいか?」 「「すんませんでした」」 「くす、手塚も気にしてるみたいだけどね」 「あ〜あ、早く俺の番来ないかにゃ〜?」 「英二のところが終わったらお別れだけどね」 「にゃ!」 痛いところをつきます魔王様。 それから適当に席に座り朝食を済ませた。 やはり麻燐の周りは乱闘でしたけど。 合宿2日目。 今日は何が起きるんでしょうか。 ←→ |