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お泊まり! 前編










「ねぇねぇ〜!」


麻燐が輝いた顔で皆の前に現れました。


「ん?どうしたんだよ、麻燐」
「あのねえ、りょー先輩、景ちゃん先輩のお家って、こーんなにおっきいの?」


腕を思い切り広げる麻燐。
今、跡部は部室に居ないので宍戸に聞きました。


「あー、もっとデカいぜ?」
「ほんと!?んじゃあ、この部室の何個分?」
「麻燐〜、この部室なんて、跡部ん家のトイレくらいだぜ


話を聞いていた向日が口を挟んだ。


「えぇ〜!ほんと〜?うわあ、すっごーい!!」


驚きながら喜ぶ麻燐。


「……で、何でんなこと聞いてんだよ」
「あ、けーちゃん先輩!」


ここで跡部がやってきました。


「うんとね、景ちゃん先輩のお家っておっきいって聞いたから!」


なにせ、あとベッキンガム宮殿ですからね。


「だからね、遊びに行きたいの!」
「「「え?」」」
「景ちゃん先輩のお家にお泊りしたいの!」
「「「えぇっ!?」」」


この発言には全員が驚きます。


「ちょちょちょ麻燐ちゃん!?跡部ん家に泊まるなんて危険なこと言うたらあかん!」


真剣な目で麻燐に訴えます。


「危険?景ちゃん先輩は優しーよ?」
「でもね、夜になるとその優しいケーチャン先輩も狼に変わるんだC〜」
「…ジロー、何でたらめ言ってんだ」
「えぇっ!?景ちゃん先輩って狼男さんだったの!?」
「そうだよ。だから、麻燐ちゃんみたいな可愛い子は食べられちゃうんだよ?」


鳳が小さい子に童話を話すような顔で言いました。


「……長太郎、言いすぎだぜ」


珍しく宍戸が止めました。
聞くに耐えないんしょうね。


「景ちゃん先輩……麻燐を食べちゃうの?」


うるうるとした目で跡部を見上げます。


「あぁん?んなわけ……「そうやで!跡部は麻燐ちゃんを痛くさせるんや!俺なら優しくしたるのに!」………」


……忍足、跡部の言葉を遮りました。
後ろで物凄いオーラを出しながら睨んでますよ。


「……忍足、そんなにも絞められたかったのか?」
「ままま待ちぃ!!ほんの冗談やんか!」


そんな冗談、通用しませんよ。


「…とにかく、俺は狼男なんかじゃねぇし麻燐を食べたりなんかしねぇよ」

麻燐を見て言う。



「…ほんと?」
「ああ。当たり前だろ」
「ふぁ〜、良かったぁ」


麻燐、安心の息をつく。


「……で、本当に泊まってくるのか?」


日吉が呆れながら聞いた。


「うん!麻燐ね、皆でお泊りってしたことないの!」
「「「……え、皆で?」」」


どうやら、麻燐は皆で跡部の家に泊まりたいみたいです。


「アーン?麻燐だけじゃねぇのか?」
「うん!だって、皆と行った方が楽しいでしょ?」
「それいいC〜!跡部ん家のベッド、ふかふかしてて寝心地がすっげぇC〜」
「そうそう!それに、よく弾むから一緒に跳べるぜっ!」


芥川と向日は寝たことがあるのでしょうか。


「そうですねぇ……。跡部先輩が本当にナニもしないか不安ですしね」


鳳……言うようになりました。


「…もしかして、俺もですか?」
「はぁ、面倒くせぇな」


そんな中、二人はやる気がありません。


「うん!だって、わか先輩とりょー先輩が居なかったら寂しいもん!」
「なっ……?」
「そ、そうか……?」


照れてる照れてる。
やっぱり、麻燐の笑顔には勝てませんね。


「樺ちゃん先輩、行こ?」
「ウス」


勿論、樺地も誘います。


「なら、早速行こか」
「うん!景ちゃん先輩のお家にレッツゴー!」
「……ったく、しょうがねぇな……」


そうして、跡部の長い車に乗り、あとベッキンガム宮殿へと向かいました。









お泊り! 前編
(暴れねぇか心配だ……by跡部)








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