63話:私って、必要なくない? ドスッ。 「っ!?何事っ!?」 私は起きて早々戦闘態勢にはいる。 「未永、いつまで寝てんだ。朝食に遅れるぜ」 目の前を見ると、景ちんが私の布団を持っていた。 ……え、景ちんがやったの? 「景ちんが私をベッドから落としたの!?」 「まあな」 ……そんな自信満々に言われても…! 「いったいじゃん!頭ぶつけたじゃん!」 「お前の頭は固いから平気だ」 それは私が石頭だと言いたいのかな。 「まぁ、それ以上頭悪くならんから安心しんしゃい」 と言うことは私の頭は限界まで悪くなっているのか。 ……なんであんたが知ってるのよっ! 「ふんっ!限界を……超えるっ!!」 「超えない方がいいと思うけど」 「リョマ!今の赤やんの真似!似てた?」 「知らないッス」 あっさり言われた。 「……もう、つれないんだから…」 ぶつぶつ言ってると、ニオっちが頭を撫でてくれた。 「まぁ、大丈夫じゃ。未永を見捨てるやつはおらん」 「に、ニオっち……!」 嬉しいよ! 嬉しい……けど、打撲したところを集中的に撫でるのは止めて欲しいな! 「んなこたどうでもいい。さっさと朝食いくぞ」 「OK!腹が減っては戦ができない!レッツゴー!」 「戦はしないと思うんスけど」 「まぁ、いいじゃろ」 てことで朝食を食べて、練習の始まり! ……え、朝食はどうだったかって? いや〜〜普通だよ? 「ふふ、未永、朝から脳細胞潰してどうしたの?」 ……ただ、ゆっきーに脳細胞の心配をされただけだから……。 でもそんなことを気にしちゃいけない。 あと残り1週間! 頑張ってマネ業しなきゃ! 「さ〜くちゃん!何か手伝うことある?」 「あ、未永さんっ!な、何もないですよ!」 「え〜?本当?」 「ほ、本当ですっ!未永さんは休んでいてくださいっ」 洗濯をしていた桜ちゃんに声を掛けてみるけど、どうやら大丈夫みたい……。 「あ〜んちゃんっ!ドリンク、私も手伝うよっ!」 「あっ、大丈夫です!後は配ってくるだけですから」 「じゃあ私も一緒に……」 「いえ、未永さんは座っていてください!」 ……ドリンクも間に合ってるみたい。 杏ちゃんは素早いからなー。 「と〜もちゃん!何やってるの?」 「あ、未永様!えっとですね、各校の人たちの応援ハチマキを作ってるんです!」 「応援ハチマキ……?」 「はい!これを頭に巻いて、練習するんです!結構作るのも楽しいんですよ〜」 ……これは、手伝っていいのかな? 朋ちゃんの趣味の世界……? 「あ、未永様用のハチマキもあるんですよ!」 「えっ?見せて見せて〜!」 朋ちゃんからハチマキを受け取った。 そのハチマキには、『未永様LOVE!』って書いてあった。 ……私が付けたらだめだよね。 「あ、ありがとうっ!頑張ってね!」 「はいっ!」 ……何ていうか……。 私って、必要なくない? 女子マネ頑張ってるし……。 いや、本来中心となって働くのは私だって分かってるよ? ……誰に声をかけても、 「未永さんは休んでてください」 「未永さんは座っててください」 私って……そんなに頼りないかな。 もしかして、避けられてるっ!? 「っはぁ〜…未永、タオルくれないか?」 部室にやってきたのは…わお、汗がキラキラしてるジャック。 「ジャック……今日も苦労してる?」 「いや、会って早々何聞いてんだよ。普通、『元気?』とかだろ……」 「いや、元気なのは分かるから。あ、苦労も何時もか」 「……なんでもいいからタオルをくれ」 わ、諦めが早いね! だから皆からいじられるんだよっ! 「OK!はい、タオル」 「ああ、サンキュ。ついでに立海の奴等のもくれるか?」 「ん?いいけど、パシり?」 「思ってもそういうのは口に出すな」 おっと、いけないいけない! ジャックは頼られているだけだよね! 「それじゃ、練習頑張ってね!」 「おう」 そうしてジャックは練習に戻っていった。 「未永さ〜ん!」 「あ、桜ちゃん!どーしたの?」 「あ、あのっ……」 「ん?」 聞き返すと、桜ちゃんは少し俯いて、 「えっと……洗濯をしていたら……」 「うん」 「…取り込むときに……うっかり、転んじゃって……」 あー……もしかして、 「洗濯物が、パァ?」 「は、はい……」 …お、おっちょこちょいで可愛いっ……! いいなぁ……その要素、欲しいっ! 「いいよ。私が手伝うっ!」 「ほ、ほんとですか?」 「もちろん!可愛いマネの為だしね!」 「あ、ありがとうとざいますっ!」 こうして、私にもようやくお仕事がきました。 これは頼られてるって言っていいのかなっ? ←→ |