40話:「終わったら楽になるぜよ」
さて、朋香Gでは……。
「あの、やっぱり皆さんは未永様の事が好きなんですか?」
恋の情報屋、朋香の聞き出し。
「…その質問、待っていたよ」
暗くて光るはずの無い眼鏡を光らせる乾。
意外と恋の話は好きなようです。
「うむ、俺達も色々聞きたい事があってな」
「じゃあ、やっぱり未永様の事が好きなんですね」
「いや、俺達はそうでもない」
「ええ、未永さんのデータと、周りの未永さんに対する想いを見ているんですよ」
「そうだな、面白いデータばかりだからな」
「む、蓮二!お前…そのような事を…」
「弦一郎、すまないが黙っていてくれないか?」
「うっ……」
流石の副部長も、開眼した柳には勝てません。
「なるほど…、では、私達で情報交換しませんか?」
「ほぅ、それは良いアイデアだな」
「うむ、その方が幅広くデータが集められる」
「それでは、私は未永様の想いを、先輩方は合宿参加メンバーを…」
「そうだな、小坂田さん、期待しているぞ」
「まっかせて下さい!」
「ダダダダーン!僕も情報を集めるです!」
「ふむ…そうだな、山吹の奴には壇が居た方がいいかもしれん」
「んふ、面白そうですね。僕も情報を集めましょう」
「うむ。より人が多ければ、より沢山の情報が入る」
ここで朋香、乾、柳、壇、観月が同盟を組んだ!
「(んふ、これもシナリオ通り……!)」
一人、観月だけが違う企みを考えていたような…。
「…なんだか、聞いちゃいけない事聞いちまったか?」
「…そうかもしれねぇな」
ツッコみ役のジャッカルと黒羽もツッコめず、ヒソヒソ話しています。
「こ、こりゃ大変……」
「フシュー…」
大石、海堂、どうすればいいか分からず。
「…蓮二…」
真田、ショックから立ち直れず。
「…ウス」
「お前…」
真田、慰めてくれた樺地に感動。
もはや肝試しの目的を忘れています。
杏Gでは……。
「あ、杏ちゃん!こ、怖くない?」
「大丈夫よ、アキラくん」
「ほんとかぁ〜?」
「(むっ、桃城め…)」
「本当よ、桃城くん」
神尾、睨んでます。
「っていうかこんな時まで神尾と一緒かよ……妖怪と一緒に居るのと同じじゃん」
伊武…それは禁句…!
「?何か言ったか、深司」
「別に……」
「丸井くんは怖くないの?」
「あん?当然だろぃ」
「それにしてもこんなに大勢だったら怖くもなんともないだーね」
「うん、そうだね」
ガサガサ…。
「(びくっ)」
「そういう割には驚いてるではないですか」
「う、うるさいだーね!」
柳沢、図星のようです。
「へんっ、こんなの跳んでれば怖くねぇぜ!」
「む、俺だって!」
「…跳ぶのは関係無いと思うけどなぁ」
「あ、杏ちゃん、こ、怖かったら、お、おお俺の手……」
神尾、どもりすぎです。
「桃城くんは怖くないの?」
「ったりめーだろ?」
「……(桃城〜〜っ!!)」
神尾、思い切り睨んでるけど桃城は気づいていません。
ある意味鈍いですね。
「あ〜あ、2年は元気だなぁ」
「あはは〜面白いね〜」
「……どうやら、2年だけではありませんね」
柳生が見ている方向を丸井と芥川も見る。
「おい菊丸、もっと跳んでミソ!(びゅん)」
「ふん!向日だって!(びゅん)」
跳んでます。凄い勢いで。
「……子供かよ」
「あはは〜凄い凄い〜」
呆れ気味な丸いと少し呑気な芥川。
「……これ、肝試しって雰囲気じゃないんじゃない?」
……確かに、伊武の言う通りでした。
そして、未永Gは……。
「嫌ぁっ!怖い怖い!」
……まだ入り口でした。
「未永、いい加減にしろ」
「そうやで?俺らがついてるやん」
いや、そっちの方が危険だと思う!
「うぅ〜お化けがぁ〜……」
「そんなのいないよ、未永ちゃん」
「うぅ…ほ、本当?」
「うん」
「ピ、ピヨもそう思う…?」
「……さぁ?」
「う、ううぅ〜…(ピヨが怖いよぉぉ!)」
「フフ、大丈夫だよ、お化けなんて俺がやっつけてあげるから」
「「「………………」」」
やっぱりお化けより魔王様の方が怖いぃぃっ!!
「さ、未永、行こっか」
「終わったら楽になるぜよ」
「いやあああっ!」
ゆっきーとニオっちに片手をつかまれて森へと強制送還!
「(びくびく)」
「………」
私は今国ぃの腕につかまっている。
一番安全だと本能で感じて。
「怯えてる未永、可愛ぇわぁー」
「そうやのう」
怖がっている私の目の前に来る変態コンビ。
今すぐ蹴り飛ばしたい…っ!
でも国ぃから離れたら私、死んじゃう……っ。
「ふふ、大袈裟なんだから」
「だだ、だって怖いんだもぉぉん!」
「本当に怖いみたいだね」
サエっち!これが嘘に見えるのかい!?
「けけ、景ちんは怖くないの!?」
「アーン?んなわけねぇだろ」
…景ちんに聞いた私が馬鹿だった。
「はぁぁ〜…なんで肝試しなのよぉ〜」
「未永の怯えた顔がみたかったから」
そんな無邪気に言われても……。
ツツツー……。
「みにゃああああっ!?」
私の叫びが森中に響き渡った……。
「っ!どうしたんだよ、未永!」
耳を塞ぎながら景ちんが私に聞く。
「いい、今っ、私の背中に…っ!」
そう言って振り返ると、
「プリッ」
「…ニオっちぃぃっ!」
更に私の声が響いた。
「…未永先輩、何なんですか?」
「聞いてよピヨ!ニオっちが私の背中をツツー…ってやったの!」
「はあ…」
いつの間に後ろに移動したのよ!
「少しは怖くなくなったじゃろ?」
「余計に神経使っちゃうじゃない!」
「普段使ってねぇからいいじゃねぇか」
「ひどぉい!これでも私は神経使ってるのよ!」
「「「いつ?」」」
何故か皆から聞かれた。
さて、どう答えようか……。
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