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39話:「大丈夫だよっ!俺たちが居るんだから」










今日の魔王様はいつもより黒い……。


「未永先輩、まさか怖いんですか?」
「ピ、ピヨ…っ、怖いよぉー!」


私はピヨに抱きついた。
…あれ?
ピヨが嫌がらない…?


「未永先輩、夜の森の話…知ってますか?」
「ほ、ほぇっ?夜の森…?」


な、何だかピヨの顔が笑ってるような…。


「夜の森を歩くと、後ろから誰かに引っ張られた感覚がするんです。…振り返ってみると……」
ひぎゃあっ!怖いよーっ!」


私はピヨから離れて安全な人の元に向かった。


「(ふっ…下剋上だ)」
「…日吉、お前Sだろ」
「何のことだ、切原」
「「「(絶対分かってる)」」」


日吉の素を知った皆であった。








「りょーちゃぁぁんっ!」
「うぉっ!び、びっくりするだろ、いきなり…!」


まぁ、いつもの事じゃない!


「じゃなくて!夜の森怖いー!」
「あ、もしかして日吉に何か言われました?」
「うんうん!」
「あ、若、ホラーとか好きだもんな」
「うわーん!亮ちゃんも一緒が良かったよぉ!」
「未永先輩、頑張って下さいね。では俺達一番初めなので行きますね」
「お、おう…」
「うわぁん!亮ちゃんにチョタぁ!行かないでぇー!」


ううっ…見捨てられた…。


「しくしく…」
「未永」
「ぐすぐす…」
「未永」
「うえうえ…」
未永
はいィッ!


あまりの迫力に声が裏返ったよ……。


「大丈夫だよっ!俺たちが居るんだから」


黒く、無邪気に聞こえるゆっきーの声。
振り向けば……。





―――お化けや幽霊より、恐怖を感じました。





「ほら、あと15分位で行くぜよ」
「や、やだやだ…っ」


肝試しも怖いけど、皆の目の方が怖いよ…っ!
特に景ちん、ピヨ、ニオっち、ゆっきー、侑士の目が…っ!


「ほら、順番待つで」
「おら、行くぜ」


右手を侑士、左手を景ちんに引かれ順番を待つ列に並んだ。







その頃、桜乃Gでは…。


「ううっ…」
「ほら、越前、竜崎さんが怖がってるよ」
「そうだぜ〜、手ぇ繋いでやれよ」


不二、切原が桜乃と越前をいじっていた。


「俺ッスか?」
「ほら、やっぱり1年生同士がいいんじゃない?」
「……(絶対面白がってる)」


ガサッ。


「(びくっ)」


物音がした瞬間、桜乃は越前の服の裾を掴んだ。


「…はぁ、しょうがないな」


ん、と越前は桜乃に手を差し出す。


「え…?い、いいの…?」
「いい。ほら」
「あ、ありがとう」


ちょっとしたミニドラマ?


「はは、素直じゃねーの」
「…けっ」
「越前くん!ナイスです!」

「くす、じゃあ裕太、はい」
「って何手ぇ差し出してんだよ兄貴!」
「裕太は怖くないの?」
「怖くねぇよ!」
「あれ、残念だなぁ。小さい頃の裕太は夜一人で寝るのが寂しいっていつも僕のところに来る可愛い弟だったのになぁ」
「そ、そんな事ねぇよ!」

「仲がいいな、不二」
「クス、そうだね、橘」
「…クスクス、どう見たって裕太がいじられてるのにね」
「…何か、同情するぜ」
「宍戸さんは怖くありませんか?」
「怖くねぇよ、こんくらい」
「クス、亜久津は怖くない?」
「はぁ?てめぇ、誰に言ってんだよ」


不二の言葉に先に歩いていた亜久津が振り返る。


「君に言ってるんだけど」
「俺に指図すんじゃねぇ」


そうして前に向きを直すと、


「……ふーん」
「……!」
「「「(……怖い)」」」


お化けよりも不二が怖いという黒族以外の心境でした。

さて、次のGはどうなっているでしょうか……。













あきゅろす。
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