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108話:全速力で走ってみれば明日があるさ!










「………」


只今、テストが始まって10分くらい。
1時間で5教科のプリント全部やれってさ。
私的に無理だと思うんだけど……。
それにしても、こんなにギャラリーいっぱいでテストやるの初めてかも。
1・2年生の癒しの子たちは跡部教官の命令で離れるように言われて別の所で見守ってくれてる。
ああ……1・2年生の子に紛れたい。
遊びたい。
お話したい。
からかいた……


「集中してテストやれ」
「……すみません」


ちっ。
景ちんめ、私の考えてることはお見通しっていうことね。


「(口角が2ミリ上がっただけで分かるとは……流石跡部だな)」


あ、蓮ちゃんが顎を手で押さえた!
なんか変な回答しちゃったかな?
私はカリカリとペンを動かしながら周りを気にする。
だってだって、真正面に景ちんがいるのはまぁ慣れたとして、その隣に弦ちゃんが腕を組んで見てるし、その反対側には国ぃが……じっと、本当にじっとプリントを見てる……。
そして、強烈なのが、


「未永、あと30分を切ったよ」
「はい、落ちた消しゴム拾ってあげる」


なぜ私の両脇に魔王コンビが居るのか!
なんでもっと…可愛い子が応援してくれないのかな。
こんな美しい人がいたら集中というより緊張が増すよ!
ここは私と同じくらいの頭のがっくんとか…亮ちゃんとか……あとは、居なさそう…。
ここで私は3枚目に突入する。

1枚目の数学はあのスパルタを思い出しながら書いた。
なんか、あれだ。
スポーツを体で覚えるように、これもなんか体で覚えてしまったような気がする。

2枚目の歴史は……やっぱりあれだね、ピヨの可愛い指導により何となくあの年号だけは覚えてる。
楽しく頭に入った感じかな。

3枚目は……理科。
がっくんのはずだったのに、景ちんに変わったせいで数学の時みたいにスパルタだったよな……。
あれは辛かった、うん。

それにしても、皆が静かなのが珍しい。
キヨとかジロちゃんとか大人しいなーって思った。
と思ったらジロちゃんは寝てたよ。
キヨは本気になる時は本気になれるみたい。
うん、初めて知った。

こうも考えてる間に私の手は4枚目の国語のプリントに突入。
それにしても、
昨日のあの状況で覚えられるとで思ったのか!
あの後ちょっとだけ教えてもらったけど……すぐ終了時間だったし!
あーもう!どうにでもなれ!

私の書くスピードが上がる。
それを見守ってくれる皆さん。
うん、本当……逆ハーレムと言いたいところなんだけどな。
こんな風に囲まれても嬉しくありません。

えーっと、それぞれの教科30点以上あればいいんだっけ。
無理っしょ!
私が30点以上なんて!
そして5枚目!
私日本人だよ!
エイゴナンテワカリマセーン!
アイアム日本人!

ポキ、


「ごめんなさい真剣にやります」


景ちんの指を鳴らす音が聞こえて私は平謝り。
静かなる怒りの方が怖いのかもしれない。


「未永、あと10分」
「!?」


やっばい!
全然英語できてない!
よし、走ろう。
全速力で走ってみれば明日があるさ!
こういうのをラストスパートていうんだよね!


「………」


もう少しでこの沈黙もなくなるし、私も残り読書感想文とやり遂げた物で終わるんだ!
楽になれるんだよ、未永!
そして夏休みも……終わっちゃう。
長いようで短かったな、この合宿も。
あと3日。
なんか、改めて思っても寂しいな……。

パチン、

ここでブンちゃんのガムが割れた。
ああ、なんか合宿の終わりを告げたみたい……。


「未永、終了の合図だよ」
「ガムの割れる音が合図!?」


それは初耳でした。
ブンちゃんもタイミングを見計らってたんだね、お疲れ様。
って普通に声をかけてくれればいいじゃないか!


「ほら、見せろ」


終わった途端に景ちんが手を差し出しその上に私は用紙を置く。
そして部長が集まって採点してくれるみたい。
わお、親切!


「お疲れー未永」
「ありがと、ブンちゃん。私は多分今日ぐっすり眠れるよ」


1時間ずっと一人でテストだよ!
普段の学校のテストなんて一通りやったらおやすみタイムなのに。


「普段からあれだけ使ってればいい話じゃろ」
「んー雅治に言われたくない」
「……って、未永いつの間に仁王のこと名前で呼んでるんだにゃ?」


変化に気づいた英二が聞いてきた。


「そーいえば。なんだよぃ、抜け掛けかよー仁王」
「うっさい。丸井らには関係なかー」


思い切り皆を見下した感じで尻尾を指先でくるくるする雅治。
あ、私もやってみたい。


「ちぇー。一部名前間違ってる奴だっているってのに………ジャッカルとか」
「それを言うなブン太」


なんかジャックが涙ぐむマネをしてる。
苦労してるんだね、うん。


「ってことじゃから、いいな?宍戸」
「は、はぁ?な、なんで俺なんだよ……」


少し顔を赤くして亮ちゃんが雅治から目を逸らした。
?何の事なんだろうね。
雅治がにやにやしてて…また亮ちゃんからかっちゃって。
合宿を通して仲よくなったのはいいことだけどね!


「それにしても中身見てみたけど、氷帝は難しいなー」
「でしょ!バネりんもそう思うよね!皆頭かたそーなのに急に柔らかくなるんだよ!ぐにゃって!」


本当私とは逆だね!
普段は柔らかいんだけどな。
遅刻した理由とかさぼる理由とか考えるときは。


「採点終わったぞ」
「早っ!」


くるっと部長達が戻ってきた。
あー赤点以上取れてる自信はありません。
こうなったら早く楽になりましょう。

さぁ、次の瞬間に私の点数が姿を見せる!













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