[携帯モード] [URL送信]
お前が欲しい
「なんだ?」

「えぇと、今日は、向こうの世界だと『バレンタインの日』で…。

好きな人にチョコを渡して想いを告げる日なの。」

アクラムは多少驚いたように見えたが、ふっといつものように笑った。

「私…アクラムが好きだから。」

薫は仮面の下のアクラムの瞳を見つめて言った。

アクラムは、そんな薫を抱きすくめる。

「それは、お前が私のものになる…ということか?」

「ぇ…えぇ。」

(まぁ…そうなるのかな。)

薫はそんなことを思いながら、アクラムを見上げた。

アクラムは満足げにそうか、と呟いた。

それから仮面を外し、薫に突然口付けた。

(えぇ!?)

まさかの急展開に戸惑いながら、アクラムの愛を全身で受け止める。

抱きしめられた腕に優しげな温もりを感じた。

「――…いきなりなんて卑怯よ。」

薫は恥ずかしさを誤魔化すように拗ねてみせた。

「つい、な。」

しかし、アクラムは全く謝る気もなく、薫の髪を撫でる。

「お前が欲しい…それだけだ。」

「―…よくもそんな恥ずかしい台詞言えるわね。」

「何を言う。お前だから言うのだ。

愛している、とな。」


アクラムは薫の耳元に低く囁いた。

ビクッと薫は反応するのを、アクラムはいとおしげな視線で見つめる。

「チョコ…食べない?」

アクラムの視線に耐えきれずに薫はそう切り出す。

そうだな、とアクラムはチョコを取り出した。

「―…食べないの?」

アクラムはチョコを見たまま、微動だにしない。

「お前が、私に食べさせろ。」

「ぇ…えぇ良いけど。」

恥ずかしい台詞を連発しまくるアクラム。

その台詞に有無を言わせぬ圧力を感じた。


「じゃあ、口開けて。」

薫が言うも、アクラムが口を開ける気配がない。

(まさか…口移し希望!?)

薫はハッとしてアクラムを見て、みるみる顔を真っ赤にした。

「ふっ…冗談だ。」

全く冗談という顔をしないまま、アクラムは薫が持つチョコを平らげた。

「―…なっ。」

アクラムが薫の指をそのまま舐めるので、バッと薫はアクラムから離れようとする。

しかし、薫の力は全くアクラムに適わない。

「ちょ…いい加減に。」

「逃がしはせん。」

「アクラム……わた……んん…。」

アクラム本日二度目の口付け。

さっきより少し強引で長い時間が過ぎた口付け。

「今日は、逃がしはせん。」

アクラムは低くそう宣言した。

美しい顔をしながら、アクラムの瞳は強い輝きを放ちながら薫を見つめる。

薫も観念して、アクラムを見つめ返した。


「わかったわよ。」

「良い返事だ。」

アクラムは薫の髪を撫でながら満足げに微笑み、果てしないほどの愛を薫に捧げた。

――…お前は私だけのものだ。

―――…誰にも渡しはせぬ。











あはは…彼もまた放っておくと18禁になりそうで危ない。

さすがは鬼。イチャコラ難しい…

バレンタインアンケート
⇒アクラムルートに一票!



あとがき





あきゅろす。
無料HPエムペ!