手をつないで歩こう
「なんだ?」
「えっとね、今日は私の元々いた時代の日付だと『バレンタイン』の日で、お世話になった人とか好きな人にチョコをあげる日なの。」
「ふ〜ん。」
セフルは、そっかといって薫のチョコを受け取った。
「で、俺はどっちなんだ?」
セフルは、薫の顔を覗き込むように見つめてきた。
セフルの顔が近すぎて、顔が真っ赤になって緊張している自分がわかった。
「本命に決まってるじゃない!」
思わず叫んでしまった。
洞窟内の声が反響した。
(恥ずかしすぎる)
ちょうど皆が出払っているのが唯一の救いだ。
恐る恐るセフルを見上げれば、意外にもセフルも顔を真っ赤にしていた。
「そ、そうなのか?」
「聞き返すぐらいなら、聞かないでよ…。」
「いや、悪い。」
セフルらしくもない…どうやらセフルも混乱しているらしい。
「セフルは?」
「は?」
「セフルは私のこと、好き?」
「ばっ…当たり前だろ!」
今度はセフルが怒鳴った。
セフルの声が洞窟内にこだまする。
(恥ずかしすぎる)
今度はセフルがさらに頬を赤く染めた。
「そんなに怒鳴らなくても。」
「お前だってさっき…。」
「あれはセフルが変なこと聞くから…。」
「お前だって!」
「…。」
「…。」
とりあえず、きりがないので言い争いはやめた。
せっかく気持ちが通じ合ったのに、早速ケンカなど二人とてしたくないのは同じだった。
長い沈黙が続いて、セフルが急にぐいと薫の手を引いて歩き出した。
「な、何?」
「いいから、黙ってついてこい!!」
セフルに腕を引かれ、洞窟を抜け、森を抜け、花畑の前でセフルは足を止めた。
美しい花々が咲き乱れ、風に舞う花びらの良い匂いが花を掠める。
「すごい…。」
「ここにお前を連れてきたかったんだ。」
セフルはふいと顔を背けながら、薫に言った。
「ふふっ…ありがとう。」
薫が微笑みながら花々を楽しみ始めるのを見て、思わずセフルも笑みをこぼした。
花畑にたたずむ薫の姿は、とても綺麗でセフルはしばらくはしゃいでいる薫を見つめていた。
ふいに、セフルが近くに生えていた綺麗な淡いピンク色の花を手折り、薫に近づく。
「おい、薫。」
「ん?何?」
振り向いた薫の髪に、先ほど手折った花を飾る。
そして、満足げに薫を見て笑った。
「似合ってるじゃないか。」
「びっくりしたわよ…。でも、ありがとう。」
「いや、チョコの礼だ。」
セフルは言い訳のようにそういった。
「ねぇもっと奥に行こう!」
「ああ、いいぞ。」
無邪気に笑う薫の笑顔に見ほれながら、セフルは頷いた。
そして、自然と薫の手をとる。
――このまま、ずっと手を繋いで歩こう。
―――お前と一緒に生きるなら、この世界も案外悪くない。
セフルといるとツンデレになってしまう(汗。
いや、セフル自体がツンデレだからか!?
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あとがき
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