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貴女と出会えてボクは幸せ


得意げに薫はチョコの包みを取り出して、詩紋に差し出した。

それをありがとうといって、受け取った詩紋に薫は付け足すように話を始める。

「それにね、このチョコは他のチョコと一味違うのよ?」

「え?」

「私から詩紋への…想いが詰まったチョコなの。」

薫は恥ずかしさのあまり、目を伏せた。

「……ありがとう。」

詩紋のちょっと緊張したような嬉しげな声が聞こえてきた。

「ボクも作ったんだ。」

詩紋ははにかみながら、先ほど作ったと思われる可愛らしい菓子を差し出した。

詩紋らしい丁寧なトッピングがされたファンシーなデザインのケーキだった。

「これ…私に?」

「うん、ちょうど渡しに行こうと思ってたんだ。」

「ありがとう。」

薫は心からのお礼を述べて、詩紋からケーキを貰った。

「でも嬉しいな。

まさかバレンタインにお姉ちゃんから貰えるなんて。」

「ん…ねぇ詩紋。」

「何?」

「今日だけ、薫って呼ばない?」

何故だろう、名前で呼んで欲しいという思いがあった。

詩紋はちょっと小首を傾げてから、縦に頷いた。

「でも、なんで?」

「なんとなく。」

薫すら、自分でもよくわからなかった。

ただ、その声で名前を呼ばれてみかたかっただけ…それだけのこと。

「ボク、貴女の作ってくれたものなら何でも嬉しいな。

特に今日は、凄く嬉しいけど。」

ふいに詩紋がそう言った。

高く甘い声が耳に届く。

「本当に?」

「だって、薫ちゃんの心がこもってるから。」

「―…私も同じだわ。」

「え?」

「詩紋に出逢えて、こうして詩紋の心がこもった何かを貰えて…幸せ。」

「そうだね、同じだね。」

互いに交換した心をこめて作ったお菓子。

それは二人きりの1つの愛の形。
「貴女と出会えてボクは幸せ…。」

詩紋が薫の言葉を真似て呟く。

「うん。」

薫はその言葉を短い返事で受け取った。

ふいに重ねた手のひらに広がる温もり。

――…これからも、一緒にいようね?















初詩紋夢でした(しかも兄弟←禁忌。


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あとがき






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