一目惚れでした
「はい、」
「え…私に、ですか?」
永泉は目を丸くして、薫を見る。
「えぇ、永泉に受け取って貰いたいの。
その…好きだから。」
薫がそう言うと、永泉は薫と同じくらい顔を真っ赤にしてチョコを受け取った。
大事にチョコを腕に抱えて、幸せそうに目を閉じる永泉。
「貴女からこのようなものを頂けて、嬉しいです。
あの…。」
「――…ん?」
永泉が動揺しながらも薫を見て、遠慮がちに言う。
ふいに見つめあう瞳。
「貴女を想うことをどうか、お許し下さい。」
「当たり前よ…。」
薫は緊張した永泉を見て、更に緊張した。
「あ、ありがとうございます。」
永泉はふっと優しく微笑んだ。
「一目惚れでした―…。」
「え?」
「内裏で初めて貴女が奏でる楽の音を聞いて、貴女にお会いして、話をして、ずっと―…
貴女を一目見てから、叶わぬ想いを抱き、今まで過ごしてきました。
しかし、そんな私にいつも貴女は微笑み、そして今……私の目の前に貴女がいて…私の想いを受け入れて下さって、とても嬉しいのです。」
「うん、」
「こんな気持ちは初めてで、私はどうして良いか…ずっと悩んでいました。
しかし、想いが叶った今…悩んでいた自分が嘘のように心が清み渡り、心地よいのです。
貴女のおかげですね。」
「私も凄く嬉しいわ。
永泉が同じ気持ちでいてくれることが…。」
そう、願っていた。
いつも二人の心の行き着く先が同じであるようにと。
「薫殿。」
「ん?」
「私からも贈り物を…、」
永泉は恥ずかしげにうつ向いてそう言った。
薫も永泉が言いたいことがなんとなくわかって、目を閉じた。
二人の距離がだんだんと縮まる。
永泉の手が、優しく薫の頬に触れた。
息がかかるほど、近い距離。
愛しい温もりがすぐ近くにある。
そして、遠慮がちに触れた唇から愛が溢れてきた。
――…貴女に会えて、良かったと思っています。
――…誰よりも、大切な貴女に。
永泉=乙女
ヒロインが喰われないように頑張った(汗)
短文すみません。
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あとがき
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