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俺のこと どう思う?
「そうか、わざわざありがとな!」

イノリはにかっと微笑みながら、チョコを受け取ってくれた。

イノリの笑顔にほっと胸をなでおろす薫。

しかし、まだ大事なことを伝えていない。

ぐっとこぶしを握り締め、言わなくてはと口を開きかけた。

が、先に話を切り出したのはイノリだった。


「俺さ、前に一度考えたことあるんだ。

あかねに言われて…その…恋とかそういうのってどういうもんかなって。」

「え?」

「いや、姉ちゃんがさ、鬼に…恋してたから。」

イノリは複雑そうに薫を見る。

「そっか。」

今はもうイノリにもわかっているはずだった。

恋のことも鬼ものことも悪い者などない。

誰が正しいわけでも、何が間違っているわけでもない。

ただ、時代の流れが生み出してしまった悲劇。


だが、頭では理解しているはずなのに、心は受け入れがたい真実としてそれらを拒んでいる。

「イノリ。」

「俺は鬼が嫌いだったよ。だけど、お前に会って俺は変わった…。」

「え?」

「いや、お前の容姿見て最初にスゲーひどいこと言ったけど、その後お前が友雅探してるって話したときのマジな顔…すごく惹かれたんだ。

なんでだろうな。ただ、そのときお前は信用できるって思えたし。

この間…誰かそのうち自分の嫁に迎えるなら、その、お前がいいな、とか考えちまって。」

イノリは照れ隠しにそう笑った。

予想外の言葉に薫は誰が見ても真っ赤な顔でイノリを見つめる。

「その、まだ先の話だけどよ。」

「ふふっ…。」

「何がおかしいんだよ…。」

イノリが照れながら拗ねて薫を睨む。

「ううん、嬉しいだけ。」

「そうか?」」

「えぇ、すごく嬉しくて…。

イノリがそんな風に想っててくれたなんて思わなくて
。」

薫は風を感じながら、静かに目を閉じる。

自分の鼓動に耳を澄ませ、隣にいるイノリの温もりを感じる。

心地の良い空気が肺を満たす。

「なぁ。」

「何?」

「お前は、俺のことどう思う?」

「どうって?」

「だから、お前はもし俺が嫁に来いって言ったら、どうするかって聞いてんだよ。」

恥ずかしさ故か、イノリが目を伏せながら少し荒い口調で言った。

(よ、嫁って…)

薫はその言葉を心のうちで繰り返しながら、まっすぐにイノリを見つめて言う。

「行くよ。イノリのこと、好きだから。」

「そ、そうか。」

イノリは満足げに微笑んだ。

「これ、食べても良いか?」

「ん…良いよ。」

イノリはありがとな、と礼を言って包みを開ける。

甘いチョコの香りが風に乗って、二人を包む。

イノリはチョコをついばみ、驚いたように薫を見る。

「お前、料理上手だな!」

「え…そうかな?」

「ああ、スゲーうまいぜ。」

イノリの褒め言葉に照れながら、小さくありがとうと呟いた。

「薫。俺、立派な鍛冶師になってお前を迎えに行くからな!」

「うん、待ってる。」

それからずっと木の上で、二人は夕方まで愛を語った。

――絶対、迎えに行く。

―――お前のこと、護りたいんだ。










初イノリ!!イノリにキスは早いので(ぇ。

ていうか皆キスばっかしててもつまらんからね。


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あとがき






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