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永遠に愛しています
「頼久に受け取って貰いたくて…。」

「何故その様な…。」

頼久が多少畏まっていぶかしげにチョコを見つめている。

やたらと騒ぐ心臓を意識しながらも、薫は簡単に説明をした。


「今日は、二月十四日でしょう?

向こうの世界ではね、この日にお世話になってる人や好きな人にチョコを渡して、想いを告げる日なの。」

「左様でございましたか。

しかし何故私に?」

ここまで言ってもまだ薫の真意を汲み取ってはくれない。

薫ですら、鈍感さもここまでくると罪ではないかと思われた。

「私、頼久が好きなの。」

一陣の風が二人のあいだに吹く。

見つめあう瞳が、揺らぐことなくお互いだけを映している。

「薫殿…。しかし、私は。」

「頼久。」

「はい?」

「頼久の気持ちを教えてほしい。

――…頼久は私のこと、好き?」

薫は、覚悟を決めてそう聞いた。

頼久は目を見開いて、薫を見つめて、静かに微笑んだ。
「はい。もし貴女がお許し下さるならば…。」

「バカね、許すも何も…気持ちにないわよ。」

頼久の返事に安堵して薫も微笑んだ。

「ありがとうございます。

では、頂きます。」

そうして、やっと頼久はチョコを受け取ってくれた。

「うん。」

なんだか無性に照れ臭い。

しかし、そんな薫の淡い気持ちを前に、頼久はまたしても天然さをかました。

「家宝にいたします。」

「は?」

「いえ…ですから私の一生の…。」

そういう頼久は真剣な顔で、照れているのか頬が紅潮していた。

「あの、腐るから。」

「ちょこ、とは食べ物なのですか?」

「うん。」

それで納得したと思いきや、やはり頼久は言った。

「いえ…しかし、勿体無くて食べれません。

やはり、家宝に…。」

いったいどこまで天然なのか、と我が耳を疑った。

薫は慌てて、頼久に付け加えた。

「大丈夫よ。頼久が言ってくれればまた作るから。」

その言葉に納得したのか、頼久はありがとうございますといって大事そうにチョコを見つめた。

いとおしげに見つめる優しい頼久の視線が、愛しい。

「そんなに見られるとなんか恥ずかしいんだけど。」

「も、申し訳ありません。」

「いや、謝ったりしなくて良いの。

ただ、私も緊張しちゃって…。」

薫は緊張を誤魔化すように笑った。

そんな薫を見て、頼久がその腕を引き、自分の腕の中へ引き入れた。

「よ、頼久?」

薫は高鳴る心臓の音を聞きながら、頼久を見上げた。

頼久は優しげに目を細めて、耳元に低く、切なく、愛しい声で囁いた。

「――…永遠に愛しています。」

――…そう、貴女とならば生きていける。













頼久=天然!天然過ぎてごめんなさい。

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あとがき





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