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君のためなら何もいらない
「友雅…これ。」

薫は、友雅の腕に抱かれながら、ごそごそとチョコを取り出した。

友雅の視線が薫の手元のチョコに移る。

「何だい?」

「えっと、向こうの世界だと今日は好きな人にチョコを渡して、想いを告げる日なの。」

「なかなか雅な行事だね。

では、頂こうか。」

友雅は感心しながら、薫からチョコを受け取った。

緊張した…と視線を落として、高鳴る胸に手を当てる。

まだ、高鳴る鼓動は止みそうにない。

友雅もまだ薫を離してくれる気は無さそうだ。

(…おさまれ、私の鼓動。)

必死に暗示をかけてみる。

しかしそんな薫の顎を友雅の手がくいと持ち上げた。

「顔を良く見せて…。」

(近っ…。)

薫は顔を真っ赤にして、至近距離にいる友雅の瞳に釘付けにされた。

包容力のある優しい手が、
ウェーブがかった艶やかな髪が、
甘い言葉を囁く甘い声が、
友雅の全てが、好きだと思った。

「ふふっ…こんなに見つめられると私も困ってしまうよ。」

「ぁ、ごめん。」

ハッとしてふいと視線を反らす。

「ね、チョコ食べてみて?」

「あぁ、構わないよ。」

薫を解放し、友雅は包みを開いてチョコを食べてみせた。

「どう?」

「なかなか情緒ある食べ物だね。

不思議な味がするよ…ほら、君も食べてみなさい。」

「ぇ…いや、私は。」

しかし、友雅はダメだよ、と囁いて口元にチョコを当てた。

仕方なく薫もチョコを食べてみる。

甘いチョコの味が口一杯に広がった。

失敗はしていないようで安心した。

しかしそんなことを考えていると、

「口元についているよ。」

といって友雅の唇が重なった。

触れるだけの優しいキス。

「な、何するのよ!?」

「ふふっ…。そんな可愛い顔をしていけないね。」

羞恥で顔を真っ赤にしている薫とは裏腹に、友雅は余裕の笑みを浮かべた。

「君のためなら何もいらない。

そう思えるほど、私は君のことを愛しているというのに。」

「え?」

「君もそう思っていると嬉しいのだがね。」

友雅は肩をすくめてみせた。

「私も、友雅がいてくれたら…それだけで嬉しいわ。」

「そうかい?」

「うん。」

「では、その唇に愛を囁かせてくれるね?」

「――…えぇ。」

薫が返事をするや否や、ぐいと引っ張られた腕。

触れた唇。

優しく、甘いキス。

髪の毛に触れる愛しい腕。


そうして何度も愛を囁きあった。

――…その唇で、声で、瞳で私を魅惑する。



















大人な夢なのか!?
ベロチューは止めました。やりたかったけど(自重!
健全ルートなんで(笑)


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あとがき







あきゅろす。
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