ひとりだけ、とくべつに
「はい?」
ギュンターにしては、拍子抜けの声だった。
あまり状況を理解していないらしい。
「チョコよ。」
「私に、ですか?」
「ええ。」
いつものように歓喜あまってギュン汁を噴出すと思いきや、ギュンターは上品に微笑んでチョコを受け取っただけだった。
(ちょっと調子が狂うわね。)
いつもはここでギュン汁は大量放出して、ギュンターの美形な顔立ちを拝むことはない。
しかし今、ギュン汁をふいていない超絶美形のギュンターが静かに薫を見つめている。
(ギュンターってこんなにかっこよかったっけ?)
ドクン、と胸が高鳴る。
われながら失礼だが、こんなにギュンターの顔を見つめたことは未だかつてない。
だから、気づかなかった…気づけなかった。
ギュンターの真の美しさに…。
「どうかいたしましたか?」
「いえ、その……ギュンターが綺麗過ぎて。」
「何をおっしゃいますか。カオル様の方が、充分美しいですよ。」
ギュンターは紳士的な笑顔でサラリとそういった。
この曲がった美意識はなかなか直せないだろう。
薫は苦笑いを浮かべた。
「ギュンター。」
「はい、なんでしょう?」
「その、チョコはね。本命なの。」
言ってしまうと、なんだかとても心がすっきりしている気がした。
あんなに高鳴っていた鼓動は、いつの間にかやんでいた。
「私には、もったいなきお言葉にございます。」
いつもの口調ながらも、そういったギュンターの頬は仄かに赤い。
「カオル様。」
「何?」
「一生、貴女についていくと誓いましょう。
ひとりだけ、とくべつに。
貴女だけに。」
ギュンターがまっすぐに薫を見つめ、そういった。
強く、ゆるぎない瞳の先に、ギュンターの愛を感じた。
「ついていく、じゃなくて…愛するとかじゃない?普通……。」
くすりと笑いながらギュンターを見る。
「ふふっ…そうかもしれませんね。」
(笑った…)
ギュンターの微笑みは、それはもう眩しいばかりの輝きを放っていて、再び薫の心臓が脈打った。
「では、永久の愛を誓いましょう。」
ぎゅんたーの細くしなやかな指が薫の頬に触れた。
そして、どちらともなく口付ける。
―――ひとりだけ、とくべつに。
――――愛を捧ぐ。
あとがき
ギュンター真面目に甘い夢!難しかった。
おまけ(台本形式)
薫「どうかな?」
ギュンター「さすがはカオル様。心に染み渡るような暖かく、甘く、はかない味が致します。」
薫「(恥ずかしい)……その、様付けやめない?」
ギュンター「と申しますと?」
薫「薫って呼んで。」
ギュンター「貴女がお望みならば、いくらでもお呼びいたしますよ。……カオル。」
薫「………(なんで今日はギュン汁でないの?。」
ホワイト紳士=ギュンターという事実が明らかになりました(薫談。
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あとがき
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