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俺なりの想いの言葉
「なんだ?」

「チョコよ、チョコ!」

「わざわざ、お前が作ったのか?」

アーダルベルトは驚きながらも、それを受け取った。

あまりにじろじろと見るので、薫は冷や汗をかきながら自作のチョコを見守った。

「俺のためにか?」

アーダルベルトは冗談のつもりで言ったのかもしれない。

だが、勿論薫は本気だった。


「うん。まさか本当に会えるとは思わなかったけど。」

気づけば口が勝手に動いていた。


アーダルベルトは、唖然とするかと思われたが、意外にも嬉しげにククッとのどを鳴らした。

薫が不審気に、アーダルベルトを見る。

「何がおかしいの?」

「本当はな、お前に会いに戻ってきてやったんだよ。」

(嘘…。)

ありえない言葉、聴きたかった言葉…。

薫は、驚いてアーダルベルトを見る。

「お前が無事、眞魔国でやってるか……ちょっと気になってな。

いや、たまたま近くを通りかかっただけなんだがな。

お前の噂はよく聞いてたが、噂だけじゃあ当てにならないからな。」

アーダルベルトは、あくまで素直には思いを告げない。

だけど、そんなアーダルベルトの言葉すら薫にはなんだか愛しく感じられた。

「噂って?」

「お前は『騎士』らしいとかだな。

通りであんなに強かったわけだ。今はあの頃より強いんだろう?」

頼もしげににやりと笑うアーダルベルト。

本当に決闘なるものが好きな根っからの武道家らしい。

とはいえ、幼き頃より仕込まれている薫も例外ではなかった。

「ふふっ、まぁね。」

「頼もしいことをいうな、お前も。」

「『騎士』だからね。」

そうして、見つめあい、アーダルベルトが不意に言う。

「お前の顔が見れて良かった。」

「は?」

「なんとなく、だな。お前の顔が見たくなったんだ。」

アーダルベルトは少し照れくさそうにそういった。

心がむずかゆくなる、不思議な心地。

「それって期待してもいいの?」

薫は目の前のアーダルベルトにそう聞いた。

「当たり前だ。」
「ありがとう。ねぇ、それ食べてみてくれない?」

「チョコか?」

「どうせ、すぐまたいなくなっちゃうんでしょう?

だったら、アーダルベルトが食べてるところがみたいって思って。」

薫は緊張しながらも、アーダルベルトにそう主張した。

アーダルベルトは意外にも素直にそれに同意した。

「俺もまさか、カオルに会って、こんなものまでもらえるとは思ってもみなかったな。」

苦笑気味に、しかし嬉しげにつぶやくアーダルベルト。

包みを開いて、チョコを1つ、口に入れる。


薫はドキドキしながら、その過程をしげしげと見守っていた。

そんな視線に気づいたのか、アーダルベルトがふっと笑う。

「甘いな。」

「そりゃ、チョコだもの。」

「お前の愛の味がする。」

「なっ…。」

耳まで真っ赤にした薫を抱き寄せて、アーダルベルトの大きな手がチョコを薫の口元へ運んだ。

「お前も食ってみろ。」

「え?…ん…んん…甘い。」

「だろ?」

満足げに笑うアーダルベルトは、そうして薫の耳元でつぶやいた。

『いつか、迎えに来てやるからそれまで待ってな。』


――そう、俺なりの想いの言葉。

―――すべきことを終えたら、いつか…。











あとがき

初アーダルベルト!!難しかった。




おまけ(台本形式)



アーダルベルト「じゃあ、な。」

薫  「ん、またね。」

アーダルベルト「チョコ、うまかったぜ。」

薫  「また、作るよ。」

アーダルベルト「そりゃ楽しみだな。おい、カオル。」

薫  「何?」

アーダルベルト「チョコ、ついてるぞ。」










頬をなめられました…キスよりか恥ずかしかった(薫談。

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あとがき





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