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きっと照れるだろうから

「はい。ヴォルフ」

「カオル。ひとつ聞くが、これは勿論……その…僕が好きってことなんだよな?」

「え?」

ヴォルフラムは顔を真っ赤にして、薫を見つめている。

綺麗なエメラルドグリーンの瞳に薫が映る。

「―…うん。」

多少ヴォルフラムの気持ちに押されながら、薫は頷いた。

「そう、か。」

「だって、私はグレタの母親で、ヴォルフは父親なんでしょう?

前にもそう言ってたじゃない。」

恥ずかしながらも薫はいつかの騒動を思い出した。

薫が叔父に仕組まれてお見合いしたとき、ヴォルフラムはいってくれた(参照番外編。

『僕とカオルは既に夫婦だ。

残念だが娘もいる。』

嘘でも嬉しかった。

ただ、恥じらうことなく薫の為にそう言ってくれたこと。

いつも何気ない気遣いで優しくされる度に、
他愛ないヴォルフラムとの会話の中で愛を感じる度に
好きになっていった。

「あれ?何してんの?」

「ぁ、有利。」

ふいに現れたのは有利だった。

薫も過去の瞑想から、呼び戻された。

「何しに来た?へなちょこ!」

ヴォルフラムが怒ったように有利に言う。

「なんだよ、ヴォルフラム。

グレタが俺らの為にわざわざチョコを…。」

「悪い…有利。」

ヴォルフラムは薫に目配せをし、いきなり手をとって走り出した。

(また!?)

今日は、よく走らされるなんて思いながら、ヴォルフラムの後ろ姿を見つめた。

何故だろう、繋がれた手を離したくないと感じてしまう。

ヴォルフラムも同じ気持ちだと嬉しいと、静かに祈った。

人通りの少ない廊下でふと立ち止まるヴォルフラム。

「どうしたのよ?急に走り出して。」

「有利に…見せたくなかった。」

「は?」

「お前が、そういう無防備な顔をするからいけないんだ!」

薫は首を傾げる。

(無防備?)

さっきの瞑想している間のことだろうか、確かにだいぶにやけていた気がする。

我ながら恥ずかしい。

「でも、別に有利だってグレタの父親だし。

何もそこまで……。」

「まだわからないのか?

僕はお前が好きなんだ!

だから…お前のそういう顔は僕だけが知っていれば良い。

いや、僕だけが知っていたい。」

ヴォルフラムはさっきと同様に顔を真っ赤にして怒鳴った。

ちょっとだけ乱暴な愛の言葉。

それがヴォルフラムなりの愛の言葉。

「好き…なんだ。」

「うん。私も好き。ヴォルフが好きよ。大好き。」

いくら言葉にしても、足りないくらい好き、

そんなことを言ったら、きっと照れるだろうから。


――…今は。


「ヴォルフ。」

「なんだっ……ん…。」


――…甘い甘い口付けを貴方に。

それが二人きりの愛の形。

受け取って、どうか大切に。










あとがき

なんだこの終わり方!




おまけ(台本形式)


薫「美味しい?」

ヴォルフ「あぁ。カオルは料理上手だな。良い母親になれるぞ。」



薫「またそんなこと言って。」

ヴォルフ「本当のことだ。いや、違うか。」

薫「?」

ヴォルフ「お前は今、立派な僕の妻…だからな。」

薫「(一応そうなるわね。)」







あの暴露発言を言った時のヴォルフは最高に可愛かった(薫談。


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あとがき







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