B−4
「言っとくけど、義理だからね?」
「ぎり?」
ヴォルフがたどたどしく繰り返す。
きっとヴォルフは持ち前の天然天使気質で多くのファンを獲得しているに違いない。
薫はそう悟った。
「だから、これはただのいつも助けてくれたりしてありがとうっていうお礼の気持ちなの。」
薫は、早口で捲し立てた。
ヴォルフはそうか、と一言言ってチョコを受け取った。
「お前には他に相手がいるのだな?」
少し残念そうに肩をすくめるライヴォルフラム。
「う、うん。」
戸惑いながらも正直に打ち明けるとヴォルフラムは微笑んでいった。
「仮にもグレタの母たるお前だ。
お前なら大丈夫だろう。」
ヴォルフラムのはきはきとした励ましの言葉に、薫はただ縦に頷いた。
別れ際、ヴォルフラムは笑顔で、
「だが、お前から貰ったものが一番嬉しいぞ。」
と言っていた。
(末恐ろしいわね…。)
グサリと何かが刺さった気がした。
ヴォルフラムと別れて、そのまま血盟城を徘徊していた。
そして、またしても角を曲がった途端に超絶美形さんが再び現れた。
サッと薫は身を引き、相手を見上げた。
「ギュンター…。」
「カオル様!?」
髪を振り乱し、息も荒々しいギュンターはらしくない。
見ればヴォルフラムと同じく終われているようだった。
地球に行った際にはモデルをやっていたぐらいだから、眞魔国でもその容貌の美しさは高く評価されているのであろう。
世の中の乙女達が放っておくはずがない。
薫は内心ため息をついた。
(なんで魔族ってこんなに美形ばっかりなの…。)
自分はただ双黒というだけでチヤホヤされているだけ。
最もそういう扱い自体が苦手な上に剣道好きなので、恋愛とはとことん無縁だった。
目の前のギュンターを見ると自分に自信がなくなって、ちょっと萎えた。
「ギュンターもモテモテね。」
ちょっとげんなりしながら呟くとギュンターは藁にもすがる思いで薫を見ていた。
どうやらヴォルフラムと不本意らしい。
有利の言葉1つでこうも臣下にまで影響が及ぶとは末恐ろしい。
「ギュンター、逃げるわよ。」
「は?」
ギュンターの腕を掴み、ヴォルフラムの時とは逆の立場になって走り出した二人。
やがて、書斎へと行き着いた。
「まぁ、意外とマイナーだから此処なら大丈夫ね。」
「ありがとうございました。カオル様。
いきなりのことでどうすれば良いかと困惑してしまいまして…。」
押しに弱いギュンターのことだ、きっと恐怖すら覚えたに違いない。
「全く、とんだ大騒ぎね。」
薫の言葉にギュンターは苦笑いを浮かべた。
(今だわ。)
ギュンターと二人きりの書斎。
シチュエーションは完璧だ。
薫は、ギュンターに
本命チョコを渡す
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