何を今さらそんなこと
「僕に?」
「うん。村田君にはクラスメートとしても、大賢者としてもお世話になってるから。」
「そっか。ありがとう。」
村田は薫の差し出したチョコを素直に受け取った。
村田は微笑みを浮かべて言う。
「義理でも嬉しいよ。」
慌てて薫は、それを否定しようと口を開いた。
「いや、それは義理というか…これからも大好きって気持ちが込めてあって……あぁ、いや感謝とかも当然あるんだけど……でも。」
(何言ってるの私!?)
上手く呂律が廻らない。
混乱して、頭が可笑しくなりそうだった。
「落ち着いて。」
諭すような村田の口調に胸が痛む。
「―…うん、」
情けない、と感じながらも隣にいる優しい温もりを感じた。
ふっと優しげな風が、薫を励ますようにほほを撫でる。
薫は目を閉じて、静かに村田の存在を追った。
近くて遠い、大切な人。
(言わなきゃ…。)
薫はすくと立ち上がり、腰かけている村田の前に立った。
「好きなの。」
「え?」
「だから、それは本命チョコ!」
息も荒々しく、必死に言う薫を前にポカンとしている村田。
やがて、くすりと笑って村田も立ち上がった。
「まさか君から貰えるなんて光栄だね。」
「―…えっと返事は?」
「何を今さらそんなこと。」
「は?」
今度は薫がポカンとして村田を見る番だった。
「昔も今も、僕は君しか見てないよ。」
サラリと凄まじいことを言ってのけるこの余裕は、長年の経験故か。
「僕はずっと、君だけを見てきたんだから。」
――そう、四千年前のあの日から。
―――ずっとずっと、好きだったんだ。
あとがき
あんまり腹黒くないですね。ホワイトむらたん(笑)
おまけ(台本形式)
薫「ねぇ、チョコ食べないの?村田君。」
村田「村田君じゃなくて、健って呼んでよ。いい加減。」
薫「え?無理。」
村田「即答だなんて、ショックだな。」
薫「いや、そういう意味じゃ…。」
村田「じゃあ、呼んでみて。」
薫「……健。」
村田「合格!あ、薫。」
薫「何?健……んん?」
不意打ちでキスされました。油断も隙もありゃしない(薫談。
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