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素直な言葉を知ってても
「はい。」

「私がもらっても良いんですか?」

「うん。」

「義理?」

コンラッドの言葉に驚きながらも、大事な言葉を言い出せずにうつむいた。

「そうですね。変な質問してごめん。」

「ぇ…あぁ、うん。」

話の流れと緊張から頷くことしか出来なかった。

「義理でも嬉しいですよ。」

と言うコンラッドの何処か刺すような視線が痛い。

「―…俺に義理ね。」

そこはかとなく笑顔に影がある。

――…口調が変わった。

大きくため息をつき、同時ににっこり輝くコンラッドの笑顔。

怒っているように見えたのは気のせいか。

そこでハッとして薫は気づく。

(鎌を掛けられた!?)

「嘘…本命です。」

薫はうなだれながら、恐る恐るそう言った。

「知ってるよ。」

コンラッドを見れば、いつも通りの優しい笑顔で…。

「え?」

薫は耳を疑った。

コンラッドは苦笑しながら薫を見た。

「カオルが可愛かったから、つい…。」

「……。」

薫は、まんまとコンラッドの思惑にハマった自分が恨めしかった。

(あんなに緊張したのに…。)

緊張が解けたと同時に、ため息が漏れた。

「どうかした?」

「コンラッドが意地悪するから。」

「カオルがそんな顔をするからだよ。」

だから、素直な言葉を知ってても、素直に言えなくなる。

ついつい、色んな表情を見たくなる。

――…俺しか知らないカオルの表情を。

コンラッドは、そんな軽い独占欲に支配されている自分が不思議だった。

薫は相変わらず首を傾げてコンラッドを不審げに見る。

――…そうやって可愛い仕草で俺を誘惑する。

「何?」

誰が見てもわかるくらい顔を真っ赤にしたまま、薫がコンラッドを見る。

「いえ、何でもないですよ。」

コンラッドはいたずらっぽく笑う。

「コンラッドが意図的に敬語使うのは、ろくなこと考えてない時だから…気になる。」

意外にコンラッドのことをピンポイントで理解している薫に驚いた。

「教えてほしいですか?」

「うん。」

薫にしては素直で短い言葉。

「じゃあ、目を閉じて。」

「え?なんで?」

「良いから。」

コンラッドが強い口調で促す。

薫は不審に思いながらも目を閉じた。

ふわりと香るコンラッドの匂い。

薫の額にコンラッドの髪が触れて、唇に暖かい感触が…。
(え…?)

体温急上昇して、恥ずかしさのあまり思わず逃げようとした身体をコンラッドが優しく抱きすくめた。

「逃がさない。」

くすりとコンラッドが微笑む。

「ちょ…コンラッド!」

「カオル。」

「な、何よ?」

「愛してる。」

耳まで真っ赤になった薫を見て、コンラッドは満足げに薫に再び口付けた。

「ん……私も。」

小さく薫が呟いた。

「ねぇ、もう少しこのままでいても良い?」

「えぇ、貴女の為の時間ならいくらでも。」

――…その微笑みが俺を幸福にする。









あとがき

コンラッドを腹黒紳士にしたかった(果たしてなってるのか!?








おまけ(台本形式)


薫「コンラッドってモテそうよね。」

コンラッド「何?急に…。」

薫「だって、その袋って今日貰ったチョコとかでしょ?」

コンラッド「陛下達もその場にいたから断れなくてね。」

薫「そう…。」

コンラッド「妬いた?」

薫「ばっ…誰がっ。」

コンラッド「大丈夫。俺の特別はカオルだけだから。」








コンラッドの微笑みに勝てるモノ無し(薫談。


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あとがき






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