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そばにいる、だからこそ
「はい。」

「…俺にくれるのか?」

「うん。」

薫は、恥ずかしげに下を向いて、か細く呟いた。

「ありがとうな。」

チョコを受け取り、勝利が薫の頭をポンと叩いた。

「義理でも嬉しい。」

お兄さんらしい、淡々とした口調が逆に寂しい。

薫は勇気を振り絞って、勝利を見上げる。

「あの、それは義理じゃないの。」

「は?」

勝利はポカンと薫を見ている。

(あぁ!?そうだわ。)

薫は半ばパニクりながら、先日村田に言われたことを思い出した。

『とりあえず、おにーちゃんって言っときなよ。』

いつもですら恥ずかしいこの呼び名は、現時点の状況では更に恥ずかしい。

しかし、これも恋の為……乗り越えなければと硬く胸に誓う。

深呼吸をし、勝利を見た。

レンズ越しの瞳に薫が映る。

「好きだから…その……おにーちゃんに受け取ってもらいたくて……ダメ、かな?」

村田直伝、必殺『上目遣いとおにーちゃん』攻撃。

先手必勝というが、果たして効果はあっただろうか。

羞恥で顔を真っ赤にした薫の前で、勝利が言った言葉。

「120点満点だっ!」

「え?」

我に返って勝利を見れば、その顔は薫と同じくらい真っ赤で…。

「さすがは俺の妹だっ!

おにーちゃんは感動のあまり、その、なんというか…。」

勝利も随分パニクっているらしい。

なんだか薫はほっとした。

(私だけじゃなかった…。)

スッと息を吸い込み、肺を澄んだ空気で満たす。


「ねぇ、勝利。」

「なんだ?」

「私、勝利が好きよ。勝利は?」

「俺も……その、好きだ。」

照れ隠しにコホンッと咳払いをしながら、眼鏡を押し上げる勝利。
「本当に?あの……妹として?」

「妹としても好きだが、俺はそれ以前にお前を…1人の女子として見てきたつもりだ。」

勝利は言葉を選びながら薫に言う。

そんな心遣いがとても嬉しかった。

「ありがとう。」

薫は、自然と笑みを洩らした。

ふいに伸びてきた勝利の腕に抱かれる。
大きな勝利の手が心地よく髪を撫でて、薫は目を閉じる。

そばにいる、だからこそ感じる愛。

いとおしくて、暖かくて、少し切なくなる…。

――…胸に溢れてくる感情。

「ずっと側にいる。」

「うん。」

「……もう少しこのままで良いか?」

「遠慮なんてしないでよ。」

―――…好きだから。


ずっとずっと、離さない。


貴方を愛してやまない、この胸の高鳴りが治まるまで。















あとがき

勝利の真面目な甘夢って難しいな(汗)。




おまけ(台本形式)





薫「はい、勝利。あーん。」

勝利「ばっ…待て。まだ心の準備が。」

薫「勝利が恥ずかしがらないでよ。私だって恥ずかしいんだからね!」

勝利「わ、分かった。」

薫「はい。じゃあ口開けて。」

勝利「あぁ……ってやっぱり無理だっ!」

薫「なんで?」

勝利「お前、顔近すぎ。」

薫「――…勝利のバカ!」


なかなか時間がかかりそうです(薫談。


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あとがき





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