[携帯モード] [URL送信]

厨二病
乗り込んだ バスの奥から









「おい,むっつり勝呂」
「ちゃうわボケぇ
なんやねん」


あれから幾日かたったあるひの昼休み


「昼,一緒に食え」


勝呂を誘ってみた


























「お前はほんと,非常識やなー」
「なんでだよ」
「どこにトイレの前で弁当誘うやつがおんねん」
「ここ!ここにいるけど!」


仕方ないだろ
特進科言ったら雪男いるかもだし



「あー……眠」
「……ん?
買い弁か?」
「は?かいべん?なんんやそれ

…はっ!もしかしてトイレの話か!?
掘り返すなや!しかもきいてくんなや!」
「ちげーよ快便じゃねーよ

買い弁,買う弁当だよ」
「あー,
なんや,略語か」
「通じないもんなんだな…」


ちょっとショックだ
確かに,買い弁って快便だ…
食事中食事中


「お前…弁当かいな」
「おー
一応金はもらってんだけどな
節約」


とゆーか雪男へ仕送りしている
やっぱり心配だし
あいつも心配するだろうし

だから切りつめて生活している

「お前って何号室やねん」
「………は?なに?何の話だ?」
「寮や,寮」
「………寮?」


あーそういえば
あそこは寮なんだった


「寮なー
何号室とかあんの?」
「は?何言っとるんや」
「いやだってマジあれ物置だろ
古いし」
「ふっふるい!?
(やっぱりこいつ特別待遇の坊ちゃんなんやな…!
ん?いやでも…)」

困惑顔になる勝呂
なんだ?
なんか変なこと言ったか?

「なあ奥村あ」
「ん?」
「おまえ、なんで転入できたんや」
「はあ?」

や、やべえ
なんて答えたらいいんだ?

「あーっと…
実は俺、メフィストに世話んなってて…」
「あ?メフィスト?」

あれ、

「理事長だよ、理事長」
「何言ってんねや
理事長の名前ぐらい覚えとけや
ヨハンさんやろ、ヨハンさん」

はあ?
ヨハン?
なんだその爽やか系

「メフィストて…
不吉な名前だしよってから」
「ふきつ?
なんで」
「あー
めんどくなるからやめとくわ」

なんだよ、それ
やっぱ、なんか隠してるよな
はー

「そういえば、杜山さんは?」
「え?」
「一緒ちゃうんか」

あー
まあ
平たく言えばおいてきた


「おんまえ…ひっどいやっちゃなあ」
「まあ…ひどいかもしんねーけど
俺にばっかべったりなの,よくねーだろ」
「そりゃまあ…そうなんやけど
(今頃一人で図書室か…)」

大丈夫だろ,なんて思ってねーけど
でもやっぱり,うん,人生経験?みてーなの
必要だと思うし


「つうか,お前はどうなんや」
「は?」
「クラスに友達とか,おらんのか」
「あー……
はは
んー…
いない」
「おらんのかい」
「まあな」


特別編入に俺の見た目も相まって
入学して約三週間たった今でも,避けられている


「まあ,今十月だしな
二年になってから頑張る」
「あー…
あ,そやったそやった
んでお前,なんで編入できたんや」
「うわまた掘り起こす」

もうその話題は終わっただろ
しかも自分で終わらせてたじゃねーか


「だーかーらー
理事長がー俺に学校通えって言ってきたんだよ」
「ほな受験の意味ないやんか」
「まあお前らには申し訳ねーけど
俺なんもしねーで入ってきたんだ」
「…………ほんまに?」
「ほんまほんま」
「むかつくやっちゃなあ」
「すいませんでしたー」

あー
じゃあ,理事長って俺の保護者なのか?
………あんなのが,保護してくれんのか…?

「まあ理事長なら藤本さんとも仲良かったかもしれへんな…」
「…………そうか?
全然接点なさそうだぞ」
「まあええわ
ほんならなんですぐ入学せんかったんや
カツアゲ生活なんてかしてたやろ」
「…………俺も知らなかったんだよ,理事長と親父が仲良かったなんて…
バイト転々として,料亭勤めて倒れてなんか世話してた人が理事長の……なんだろう?
ってかんじだ」
「………お前自分のことなーんも知らんな」
「………だな」


なんか周りが勝手に動くんだよなあ


「なんや,じゃあ特別編入て,金の力やないんやな」
「そーそー
俺貧乏人なの」
「なのて………きもいわ」
「いやん,そんなこと言わないでえ」
「きもいきもい」


はー………
つか,誘ってみたのはほんとに気分なんだけど
あいつがトイレから出てこなければ,誘わなかったんだけど
まあ,うん
意外と会話が止まらないもんだな
うん
まあ,これも,友達,だな
しえみといると緊張(ちょっとだけだぞ!)するけど
勝呂は,そーゆーの全然ねえな





………泣き顔見せたからか?


















































「………しえみさん?」
「!
ゆ,ゆきちゃ…ん」
「今日は図書館なんですね」
「そ,そ,そう!そうなの!
なな,なんか,あ,暑くて」

今日は十月二日
冬になりかけたころで,僕は少し肌寒いと感じている…が
まあ,人それぞれだろう


しえみさんは,僕が声を掛ける前に,熱心に外を見ていた
なんだろう
やはりまだ,友達が………いいえ
そういうのは,もうやめるんでした


「しえみさん,かなり前ですが
結局渡せなかったので」

と,資料をしえみさんに渡す
しえみさんは,はにかんだように笑う
かわいらしいと思う
でも,やっぱり一番は―――…


「雪…ちゃん」
「はい?」

おずおず,と
しえみさんがこちらを向く

「と,と,友達って…………なに?」
「……一緒にいて,楽しい人ですよ」

と,
前にも言ったと思うんですが


「それが…ともだち?」
「はい」
「一緒に,いてくれなかったら……?
ともだちじゃない…?」
「それは………」

ずいぶんと偏った見方だ


「相手にも他の友達が居るでしょうし
事情という物もありますよ
友達は束縛するものではないです」
「ともだち………ともだち
……………恋人は?」


え?
今,ありえない単語が……


「ゆきちゃん,恋人は?」
「恋人,ですか……」


もしかしてしえみさん
いきなり彼氏が欲しくなったとか…?
いやむしろ告白されちゃったり,しちゃったりしたんだろうか
うーん…
僕も普通科にいけば良かったかな…
いやいやいや,学費が半端じゃない
フェレス卿はエクソシストとしての給料しかくれないし,
兄さんに迷惑をかけるわけには…

…………そういえば
最近仕送りが増えた……ような?


「恋人はまあ…………そうですねえ
少しなら束縛しても,いいんじゃないですか?」
「っだよね?」
「と言っても,少しですよ?」
「少しでも,いいんだよねっ
そういうものだよねっ」


と,途端に表情が明るくなるしえみさん
どうしたんだろう…
なんか,不気味だ
これって…やばいんじゃないか?


「しえみさ,あの…」


!!
しえみさんの見ていた外に
なんとんく眼がいった
そこにはベンチの二人がけに,二人の男子生徒が座っていた
一人は髪の毛ですぐわかる
塾にも通ってくれている,勝呂竜士くんだ
で,
あの,
もう一人は
あの青みがかった,黒は


「っすいませんしえみさん!!!」
「えっ!?」


ここは図書室だということも忘れて
走った

どういうことだ
どういうことだよ
なに考えてるんだ




………………兄さん!!!!













[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!