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厨二病
でも現実は日々トラブって









親父が死んだ
という言葉は素通りした
俺は棺桶を見ても,修道院の惨事を見ても
あんまり実感がわかなかった
雪男は,なんか,わかってたみたいに凛としてた



俺は正直,
荒れてた,と思う
中学卒業して
料亭の面接も落ちてて
雪男の学費とか,仕送りとか,俺の生活費とか,稼ぎとか,
どうすればいいか,わかんなくて


とりま,カツアゲとか恐喝してた







がんっ ドッ
ゴッ  ガスッ 
  ドスッ

「う゛…う゛う゛」
「はぁ――…」


でも恐喝って効率が悪い
ハイリスクローリターンだ
多い時は多いが…
そんなの,滅多にない


「……きつ…」

最近全然食ってない
授業料は免除でも,冷暖房設備とか,体育館使用とかで雪男は金を使う
とくに今は四月だ
教科書代とか,制服代とかが重なる

雪男には料亭が受かったといってる
だけど,一度でも里帰りされたら終わりだ
さめて料亭じゃなくて
どっかのバイトでも
してれば,まだ――――………,…?













「おいっ,おーい,大丈夫か?」
「……………ぐぅ」
「寝るなや。起きい。風邪引くで」
「あ…?」


その時に,出会ったんだ























「そう言えば俺って,食わなかったら倒れるっぽい」
「そそそそそれはあた,当たり前だよ」


朝の早い時間
俺はしえみのクラスに来ていた


「ね,ねなくても,たおれるよね」
「あー…俺もある。そんなの」
「話,話私,植物の世話してると,ね
朝になっちゃって,ること,多くて」


しえみはだんだん普通の会話ができるようになっていた
といっても俺の見解で
まわりから見たら変な会話かもしんねえけど

もう,付き合って五日ぐらいだ
最初しえみは
「ふええ!?」
と叫んだかと思うと熱中症みたいにばったり倒れてしまった
保健室に連れて行く途中に,「お願いひまふ…」と言われたから
こうして今,話している


「しえみ,て,身体悪そうだな」
「そ,そう,だね
小さい頃は小食でね,」






がった―――――ん!!!



びくうっ!

と,俺としえみは体を震わせる
扉の方を見れば,一人の男子が倒れていた
ピンクがちらっと見える

「し,志摩くん…?」


知ってるのか
まあ,同じクラスっぽいし


「もも,杜山さんが,男子としゃべってはる…?
しかもちょっと不良っぽい!」


わなわな震えながら起きあがる
不良っぽいと言われても
じゃあお前はチャラ男だ


「あのね,しし,志摩くんだよ
時々,は,話しかけてくれる」
「…で,それをしえみはオールスルーなんだな?」
「うっううっ
だっ,だって…!」


なんだよ
この学校,良い奴多いじゃん
やっぱ,しえみに問題ありだったのか


「おはようさん
志摩廉造どすえ〜」
「……はよ
奥村燐だ」


名前を言うと,少しきょとんとされる


「………奥村?」
「…?ああ」
「…ああ,そう言えば雪ちゃんも奥村だね〜」
「せや
奥村せんせと同じ名字や」

「………せんせい?」


なんで,先生なんだ?


「志摩くん,ゆ,雪チャンに勉強教わってるらしくって…」
「そう,そうなんよ〜…
まあ,プチ塾,みたいな感じでえ
何人も受けとるんや」
「へえ〜」


あいつ,すげんだな
もうそんなに頭良いんだ
はー
兄ちゃん,頭が下がるよ


「よろしくなあ,奥村君」
「ああ,よろしく,志摩」













「……………なあ志摩」
「はい?」
「お前とダチになんなきゃ良かった」
「えええ?なんでや?」





なんでって………





「なんでカバンの中に虫コロリやらホウ酸団子やら入ってんだよ!!
てか入ってんなら言えよ!!!」
「せやかて、必要なんやもん
つーかなんでボクのカバンに手ぇ突っ込むんです?」
「手ぇつこうとしたらあったんだよ!!」


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