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学校を作ろう!

 最近いい天気が続く。おかげで今日も屋上でポカポカお弁当日和だ。

「最近写真部の活動はどうなってるのー?」

 どっかの不良副会長の合方が聞いてくるのをミートボールを摘まみながら答える。

「んー。ちゃんとやってるけど、さらに愛好会を立ち上げたから毎日は活動できないんだよね」

 あ、このミートボール旨い。確実にスーパーの惣菜だけど。つか今日の弁当ご飯と卵焼き以外惣菜や冷凍食品だな。いやいやもちろん文句は言いませんよ、自分で作れないしね。

「愛好会ぃ?」

 合方が身を乗り出して聞いてきた。部活なら生徒会の認可がいるが愛好会はそんなもの必要ない。だってこんな内容に認可が下りるとは思わないしね!

「BL愛好会!!」
「……」

ああっ! あさひな君たちが冷たい目で見てる!! やめて俺そういう趣味ないから、精神的Mじゃないから。

「わざわざ愛好会なんて名乗らなくても家でやればいいでしょー?」

 ふふふ、と合方の問いに笑いで答える。
 その理由を口にしようとした時、屋上のドアが開いて紀伊くんがひょっこり顔をだした。彼は屋上にいる不良メンバーに少し怯みつつも、俺に目をとめると近づいてきた。

「紀伊、久しぶり」

 充くんが携帯を触っていた手を止めて声をかけた。俺に対するよりかなり優しいような気がするんですけどどういう事ですか。

「ひ、久しぶり。あ、余儀くん。さっき購買行った?」

 サンドイッチを持った紀伊くんが満面の笑みで話しかける。が、残念ながら俺は購買には行っていない。お昼ご飯買いにいく必要ないし。
 俺はお弁当を見せながら首を振った。それを見た紀伊くんはあーあ、と大袈裟にため息をついて俺の耳元でヒソヒソと話す。

「残念だなぁ。さっき購買でサッカー部の二人がカレーパンを半分こしててさー」
「ななななんですとぉっ!?」

 そんな萌えシーンがありましたですか! とハアハアしている間に紀伊くんは手を握ってさらに力説する。

「しかもオレンジジュースのパックを同じストローから回し飲み!! 僕あの二人は怪しいと前から思ってたんだー」
「ぐふぉっ、くっ、くやしい」

 俺も見たかったよ! 爽やかサッカー少年のジュース回し飲み! 締めはやっぱりアイスですヨネ、一本のソフトクリームを両側から二人で舐める……きゃー! 卑猥だよお前らいいぞもっとやれGJ。
 紀伊くんと二人で萌え萌えしていると、合方が俺の肩を人差し指でちょんちょんと叩いた。なんだ今イイトコなのに。振り返ると珍しく引きつった表情の不良副会長。

「えーっと……尚、な、尚ノ介、これはどういう事かなぁ?」
「無理にあだ名で呼ばなくていいと思うけどーーってそんなことよりサッカー少年萌えウマきゃほーいっ!」

 合方の問いに答えず叫んでたらボスッと牛乳パックが顔にぶつかった。どうやら充くんが投げたらしい。地味に中味が残っていてかかったんだが嫌がらせか。白い液体は俺じゃなく可愛い男の子にかけて欲し――ぐべぇっ

「気持ち悪い事言ってんじゃねえよ……!」

 腕を擦りながら睨んでくる充くん。毎度の事ながら俺の考えは魂の叫びとなって放たれていたらしい。今度は顔面に上履きが飛んで来ました。コントロールいいなおい。流石は不良。

「紀伊くん、えっと、一体どういった心境の変化が……?」
「ああっ! ダメだよちゃんと不良っぽい話し方しないと!! 真面目ちゃんから不良への転身は結構萌えなんだからっ」

 たどたどしく声をかけた朝比奈くんを叱ったのは俺じゃなくて勿論紀伊くんだ。彼の勢いに不良3人は完全に引いております。

――そう、紀伊くんはすっかり俺の話にハマッたらしくサイト巡りをするばかりか最近では自らもペンをとり執筆していたりする程までに成長しているのだ。

「いい相棒ではあるが1つ問題があるんだよね」
「問題?」

 合方が何だと尋ねてくる。視線は完全に紀伊くんの方を向いていてなんだか残念そうな表情を浮かべたままだ。
 俺は合方の問いに答えるために、もう何度もした質問を紀伊くんに向かって言った。

「先生の事はどう思う?」

 それを聞いた紀伊くんはキラキラと目を輝かせて手を組む。

「先生はカッコいいよねっ。会長と絡んでくれたらもっといい!」

 どうやら自分が先生へ向けていた思いは憧れだったという結論に達したらしい。なぜなら、

「自分とカップリングするより会長との方が萌えるんだもん仕方ないよね! あ、もちろん会長は余儀くん曰く俺様口悪いバージョン求む!!」

 これでは流石に腐男子マスターを自称する俺も紀伊くんの思いは単なる憧れだと決定せざるを得ない。彼の言うとおりチワワ系より俺様会長と××する方が萌えるのも最もだしな! わが教え子ながら中々いいセンスをしているじゃないか紀伊くんよ!!

「よし、では今から俺達BL愛好会は使命を果たすために食堂へ行ってくる!! さらばだ!!」

 お弁当の残りを急いでかき込むと、敬礼をして慌てて俺は屋上を去った。もちろん愛弟子の紀伊くんも続く。

「まさかこれ以上会員が増えたりしねぇよな……?」

 俺らが去った屋上で充くんがコメカミをひくつかせながらそんな事を言っていたとかいないとか。

〈ケース3・終〉

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あきゅろす。
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