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学校を作ろう!

 言っておこう、俺は腐男子だが好みの傾向にそこまで拘りはない。
 故に学園は王道でも不良校でもファンタジーな魔法学園でも構わない。なんだったら共学でもOkだ。王道ウマシ、でもアンチ王道もまた良し。会長は受けでも攻めでもバチコイです。

「でも生徒会長が影薄くてドン臭くて弱そうで使えなさそうなのは嫌だ……!」
「尚太郎ー、なんでイキナリ初対面の会長に喧嘩売ってるのー?」

 合方が横から呆れたように突っ込んだ。という事は俺の訴えは皆様に聞こえていたという事か。ってことは当然、会長にも聞こえたよな。
 俺が視線を動かすと、会長も長い前髪からチラリと俺をみたようだった。ただ、相変わらず俯いているので良く分からない。そして会長はさっきより一段と小さい声でぼぞぼぞと説明をしながらプリントを配りだした。だから何で1人1人配ってんの、纏めて渡して横に回して貰えばいいのに……プリント1枚足りない? あーあ、キョロキョロしちゃって。
 っていうかそれよりも。

「ここは俺様会長なら、『何か文句あんのか、そこの平凡が』って冷たい眼差しで罵る所でしょー!? ダメ、その負け犬な反応は絶対ダメ!」
「罵って欲しいの、尚? じゃあ俺が」
「止めてください合方さん。名前呼び捨てで本気モードとか俺以外でお願いします切実に」

 俺の耳元で囁かれる色男ボイスに鳥肌を立てながら俺の隣に座った合方を睨む。というかお前そんな喋り方も出来たんだな。普段より声も低くてなかなかプマイ。ぜひその声でホワイトボードの前で寝そうになっている会計に手を出してみてくれ。「眠たいのか……? 一緒に仮眠室行こうぜ」とか言ってみてくれ、この学校に仮眠室があるのか知らないけど。

「あー! でもそのキャラは副会長じゃなくて会長なんだぁぁぁあ!!」
「す、すいません…………静かに、して、ください…………」
「そこは、『黙れ、俺の話を遮るとは言い度胸だ』でしょぉ!? 会長!!」
「え、ご、ごめん…………」

 あー、なんで彼が会長なんだぁぁ!

※※※

「はぁ、疲れた……」

 机の上でゴロリと上半身を投げ出す。なんか、あの会長には会議の間中イライラさせられっぱなしだった。
 なんというか段取りが悪い。ひたすら悪い。
 それなのに1人で全部やろうとするから時間がかかって仕方がない。結局、他の生徒会メンバーなんて自己紹介しただけだったし。現に今も、会議が終わるそうそう皆帰ったのに、1人で会議の内容を纏めて記している。書記に頼めばいいだろうに。

「お疲れー、なーちゃん」

 会議の間中、俺の髪を弄ったり頬をつついたりして遊んでいた合方がにこにこ笑いながら俺を労う。今会議室に残っているのは会長と俺達2人の合計3人だけだ。

「なあ」
「ん? 何なにー?」
「……なんで仕事しないんだ、副会長なんだろ」

 机に頬をつけたまま、合方の方を向く。お前明らかに会長に仕事押し付けてサボってんじゃねーか。ひょっとして王道転入生追いかけて仕事放棄って奴か! どこにいるんだ王道は!!
 しかしそんな俺の問いを合方は平然と突っぱねた。

「仕事? したよー。今日の会議の資料は半分俺が作ったし、会議室の机並べたのは会計と書記だしー」

 そして合方はちらりと会長を見て言った。

「仕事遅いんだよねー、会長って」

 頭はいいはずなのにねぇ? と首を傾げる合方に、俺はがっくりとうな垂れるしかなかった。
 ……それでいいのか生徒会。
 それでいいのか生徒会長。そして、俺の王道化計画。

「いや良くない!」

 俺は勢い良く立ち上がった。やっぱり俺の学園王道化計画に俺様会長は外せない。

「やっぱり会長はもっと尊大な態度でないと!」
「悪かったな」

 ん?
 何か今、俺様尊大生徒会長っぽい科白が聞こえたような……。
 俺は隣にいる合方を見つめる。彼も目をぱちくりさせている所をみるに、俺の聞き間違いではなさそうだ。という事は今の声は。

「えっと……会長?」
「な、何かな…………? ……チッ、今忙しいんだから話かけんな」

 いや、貴方の小声、ばっちり聞こえてますけど。

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あきゅろす。
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