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きゅう。なにやったの


………ンチュンチュンチュン


あ、とりのこえ。

朝か―――……

そう思って閉じようとする瞼を無理矢理開ける。

そして、


私は視界一杯に見覚えのある綺麗な金色を映した。

「きゃああぁぁああ!!」
私は思わず声帯を一杯まで広げて叫ぶ。

寝起きにはキツいわー。
今日1日声枯れそう。

そんなの嫌だー。

って違―――う!!

今考えるのはそんな事じゃなくって!!
良くこの状況でそこまで関係無い事考えるね私!

私が今をこの状況と表したのには理由がある。
何故かって?

ホント、訳が分からない状況だから。

だって
私の上に、その金髪さんが寝ているのだから。

そしてその金髪さんは、正しく


王子くんだったから。


私の声に、王子くんが
「るせ―…」
と言いながら私を見て

「王子の貴重な睡眠時間を邪魔すんな。
殺すぞ。」
と平然と言い放った。

「いや、君もちょっとは取り乱そうよ…。」

何も感じていない彼に(私に魅力がないからか?)若干呆れる。

ところが王子くん
ベッドから降りながら

「この状況のどこに取り乱す要素があんだよ」
と言う。

流石にさー。
一応乙女だよ―、みたいなねー。

うんー。

まー、魅力ないからー
君がそう言いたくなる理由も分かるけどもー。

私のガラスのハートが傷つくでしょー。

「朝っぱらからよくそんなバカな事考えんな、お前」

ふふふー
バカだもんー

「って誰だよあたし。」

「ししっ意味分かんねー」

さっすがー、と朝っぱらから失礼な事を言っている堕王子は見ないでおこう。

「あ、てか私また心の声口にしてた?」
さっき王子くん私の心と会話してたよね?

「してたな。
結構あるぜ、ボスの前でも言ってたしな。」

「んなっ……!
そそそ、そんな訳、ないじゃんっ?
私そこまで、へへ変人じゃないし!?」

私の取り乱しように王子くんは笑いつつ
「現実逃避止めろ」
と言ってきた。

「………がびょーん。」

「幾つだお前。」

「つかさっきからツッコミ厳しいよ!!
私の優しさを分けてあげたいよ!!」

「(だから意味分かんねーし。)
つか、お前に優しさとか無くね?」

「………ぱりーん。」


「………何、その音。」


「私のガラスのハートが割れた音。」


「割れとけ割れとけ。
次はプラスチックで作れよ。」

私が反論する前に王子くんはさー、風呂入るかーと逃げていった。


堕王子め…。

**

一人になると再び睡魔が襲ってきた。

私はそれに逆らわず、ベッドにパタンと倒れ込む。

あー、ふかふか。
寝心地良いなあ。

私の普段の布団とは大違いだー。

そう、普段の…


普段の?


「あ」


王子くんと喋っていて大切な事を忘れていた。

私は何故此処にいたんだ?
ってか何故王子くんの下にいた?


「おーーじくーんー!」
そう言いながら私は洗面所のドアを開ける。

「お」

そこには上半身裸の王子くんがいた。


「ぎゃーーーっ!?」

バタンッッ

私は勢い良くドアを閉める。
どうやら王子くんは朝っぱらからお風呂に入るらしい(さっき言っていた様な気もしなくもない)


「なななな…」

呂律が回らない私を王子くんが鼻で笑ったのがドア越しに分かった。

そして少しの沈黙の後、お前さー、と王子くんが切り出す。
「意外とそういうとこ白いよな。」

「―はい!?」

「男の裸だけでそんななるとかマジウケるし。」
しししっとまた笑われる。

うるさいー!
てかお風呂入るなら早く入れえぇぇえ!

女に囲まれてる君とは違うんだよーっ

コレが一般人なの!
普通なの――――っ

一通り叫び終わった(心で)後、自分の両手を頬に当ててみた。
頬に当てたひんやりとした手の温度がとても心地良かった。



頬が熱すぎて、温い手も冷たく感じたのだ。
あー、本当こういうのダメだわ私。

王子くんがお風呂に入ったのが音で分かった。

何故か膝に力が入らなくなって
私はドアに背を付けて座り込む。

そして、常に身につけている
黒光りする銃を握りしめてみた。


落ち着く。


そんな事で落ち着く私は
きっとこんな所よりも

戦場の方が合っているのだろうなと改めて思う。

此処でメイドなんてやって平和ボケしている私を昔の仲間が見たら
きっと驚くだろうな。

そして、きっと
彼らはそれを喜んでくれると思う。


外の世界で普通に生きる私を。


きっと私は、今が凄く楽しいんだ。

ハチャメチャでムチャクチャな人が沢山いる


此処が凄く、大好きなんだ。


王子くんがお風呂から上がるのが気配で分かった。
だから、私は唐突にこう声を掛けてみた。



「これから、よろしく。」

******

何故ベルの部屋にいたのでしょう?

それは次回のお楽しみ←
(実にくだらないのですが。)


では、ここまでよんでくださった満千流様。
ありがとうございました!!

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