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ろく。たすけて


ふわあぁぁあ。


あ、おはよーございます。
鳥のさえずりが聞こえる清々しい今日の朝。

寝覚めスッキリ気持ちい―――
ドガンッ「うぶっ」ガラガラガラッ


…。

はい?

今明らかに外から
誰かの悲痛な声と壁の崩れる音したよね!?

私の素晴らしい朝を!

文句を言ってやろうと思った私は窓を開けて

「私の神聖な朝を汚すなあぁぁあ!!」
と叫んでやった。

そして事を起こした張本人をパッと見る。

……めっちゃ睨まれてる。
怖すぎる。

こ、こういう時は
………ふう、スッキリ。と叫ぶだけ叫んで
部屋に引っ込むのが吉!!

そうだ!
そうしよう。

そうしろ私!!

おい、私!?

私は次第に涙声になりながら自分に呼びかける。

………いや、体がね、動かないんだ。
目つきの悪いその人に睨まれてて、言うこと聞かないー、…みたいな。

怖いよ――――っ
おおおお母さんー―――――――っ

私が心でSOSを出したと同時に
その人が声を発した。

「殺られたくねえなら今すぐ消えろ、ドカスが。」

え?
また私初対面の人に凄い事言われてない?

ていうか、私は此処からさっさと消えたいけど
あんたが怖すぎて消えられないんだって―――――――っっ!

こっち見るの止めてくれえーーっ!

微動だにしない私を見て

「そうか、死にてえのか。」
ととられてしまった。

待って待って待って待って!?
違うからぁ!

と叫びたいが声すら出ない。

その人は続けて
「おいレヴィ、殺れ。」
と先程崩れた壁の下敷きになっている人に命じた。

あ、あなたの存在忘れてたわ。
そっかあなたがさっき壁に飛ばされてた……

ってそんな事言ってるヒマないから!!
何かレヴィさんもうこっち見てるから!!

死ぬ死ぬ死ぬーっ


でもそう思う一方で
と私は冷静に考えていた。


私が此処で殺られたら。


他の先輩メイドさんはきっとまた人員不足で困ってしまうだろうし
メリサさんだってきっと悲しんでくれる。

そして何よりこんなに楽しいこの場所に居られなくなってしまう。

そんなのは、


嫌だ!!


私は窓枠を蹴って外に飛び出す。

私が部屋にいたら
彼らの攻撃で私の部屋の周りに部屋を持つメイドさん達を
巻き込んでしまうかもしれない。

そして常備している銃を胸元から取り出し
空中から発砲した。

ドガンッッ
けたたましい音と共に銃弾はレヴィさん目掛けて飛んでいく。


仕留めた。


と、思ったのも束の間。
私は空中から発砲した事によってバランスを崩してしまった。


――うわ、落ちる


今度こそ死んだわ、コレ。
私は落ちていく中そんな事を考える。

景色が凄くスローになって動く。
こういうの、走馬灯って言うんだっけ。

此処に来て既に何度も死にかけているけど今度こそ

終わった。


そう私が諦めた、その時だった。



「満千流っっ!!」

という声と共に腹部に生まれる圧迫感。
誰かが私のお腹に腕を回して助けてくれたんだ。

つか、どっちかって言うとお腹に食い込んでる。

今の状態を一言で説明するとしたら


ぐえ

だと思う。
喉の方から変なモノがせり上がってくる。
本気で。

私がそんな事を思っていると


強い衝撃。
「うぎゃっ」

地面が目と鼻の先である所を見ると
どうやら先程の衝撃は地面に着地した事による物らしい。

とりあえず助けてくれた人に
ありがとうございました、と言いつつ顔を向ける。

「ふふっ良いのよ。私とあなたの仲じゃない。」


「――――っルッスさん!!」


そっか、助けるって言ってくれてたからか。
優しい人だ。
本当はヴァリアーの人間なのに。

私が感動モードに入り始めた時、

「んもう、ボス!
こんな可愛い子を虐めちゃだめじゃない!」

とルッスさんが抗議の声をあげた。


―――ボス?

「うるせえ、黙れカス。」

「あら、レヴィ大丈夫?」
「当たり前だ。弾は当たったがあんな弾などが当たった所で致命傷になどなりはせん。」

―私にはもう、
彼らの会話なんて聞こえてこなかった。


ボスって言った?
言ったよね?
ルッスさんが。

誰に?


あの目つきの悪い人に。


私凄い事言っちゃってたよね?
私の神聖な朝を汚すな、とかなんとか。

誰に?


あの目つきの悪い人に。


………………死んだわ。


ホント。


あの人ルッスさん達と言葉は交わしながら
こっちガン見してるし。

………勘弁して下さい。

まだ10代なんだけどなー。
終わったなあ、私。

半ば諦め今度はダメだ、そう思っていると


「ししっ」


という今の状況では何だかホッとするような、
あの笑い声が聞こえた。
顔を上げて綺麗な金髪を視界に入れた時私は何だか嬉しくなって

「王子くん!!」

と叫んでいた。

でも
「あら、ベル王子くんだって。
やっぱり可愛いわー満千流。」

というルッスさんの言葉にで
自分がつい口にした言葉に気づき一気に恥ずかしくなる。

「当たりじゃん、俺王子だもん。」

「………。」

「ちょ、何で皆黙るわけ?」
意味分かんねーしと王子くんが少し機嫌を悪くする。

私は自分の王子くん発言をアッサリ流して貰えてホッとする。

あー、良かった。

コレに乗じて私がボスさんに喧嘩売った事も流して欲しいなー。

…まだボスさん私見てるから無理そうだけど。

「そんな事よりベル、フランはどうしたのだ。」
レヴィさんの声にルッスさんがハッとして

「そうよ、一緒に任務、の筈だったじゃない。」

そんな二人の素朴な疑問を王子くんは

「あー、死んだ?」
と返した。

その返答に私はボスさんに見られている事も忘れて


「嘘でしょ!?」
と驚きの声をあげた。

「嘘じゃねーって。
多分死んだって。

つか死ね。」

「勝手に殺さないで下さいー。
つか、あんたこそ死ね。」

――――わっ!?
背後からフランさんの声?

つか今一瞬黒かったよね!?

そんな事を思いながら私がバッと振り向くと


ズタボロのフランさんがいた。

「どどどどどうしたんですかっっ!?」

驚いている私にフランさんは
「ど多くないですかー?」
と平然と返してきた。

「あ、ホントだ。
って違くて。」

今ソレ重要じゃないですって、と言う私は皆にもの凄く珍しい物を見る目で見られた。

「………な、何ですか?」

「いや、変なバカだなーと。
というかですねー、この傷はどこかの堕王子にやられたものなんで」

気にしないで下さいー、と言われた。

またまたまた酷い事言われた。
………イヤ、そう取ると悲しいから
これは愛だと思おう!!

ないすあいでぃあ私!!

「…何かまたバカな事考えてませんー?」

「え、別に……?
てか、またって何!?」

「いえいえー。」

なんか腹立つ。

頭のカエル見てると収まるけど。
笑えて。

「ししっ、良いこと言うじゃんお前。」
急に王子くんに誉められてしまった。

「え…?何かしました、私?」

「したよ、なあ?カエル。」

…何でそこフランさんに振る?

私が分からないという顔をしてフランさんを見ると

「…幻覚に溺れて死にますかー?」
と言われた。

「え゛っ?イヤイヤ勘弁して下さい。」

…何故私はキレられている?

するとルッスさんが
「満千流ね、心の声が口に出てたのよね。」
と教えてくれた。

さっきの?
頭のカエル見てると怒りが収まるーってヤツ?

やば。


優しさから教えてくれたのだろうがフランさんから発せられる殺気を思うと
教えないでほしかった、と思う。

とりあえず、怒りを刺激しないようにしながら

「すいませんでした。」
と謝ってみた。


するとフランさん
「ほんとですよー。
次やったら三途の川見てもらいますからー。」

と案外アッサリ許してくれた。(…ハズ。)

危ない危ない。
もうこれ以上殺されそうになるのはごめんだ。
早く此処から立ち去ろう。

そう思って私は
「あ、では朝ご飯の準備に行って参りますねー。」

と言い、ふふーと愛想笑いを浮かべながらその場を離れようとした。


――――けれど。


「おい待て。」
という悪魔より恐ろしいであろう声に呼び止められた。


「お前は残れ。後の奴は散れ。」

******

あー、全員登場しましたー。

やっとですね。
すいません。

では、ここまで読んで下さった満千流様、ありがとうございました!!


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あきゅろす。
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