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さん。なにここ
 

「メリサさ―んいらっしゃいますかあ―?」


此処、ヴァリアーの良い所は
メイドの皆の集まる事の出来るリビングの様なものが在る所。

その部屋で私は叫ぶ。

すると部屋の奥から少ししゃがれた

「何だい―?」
という返事が聞こえた。


あ、メリサさん。居たんだ。大好き。


コーヒーを持っている所を見ると休憩中だったらしい。

「あら、満千流。花壇の水やりはおわったのかい?」

「その事なんですが…」

とりあえず先程の出来事を話し、水やりが出来なかった事を伝えた。

改めて考えると不可抗力だよな―コレ、と思っていたら


「バカじゃないのかい!?」


と怒られてしまった。



………え?
わいわいわい。Why?


そんな私の表情を見てメリサさんは

「スクアーロ様や他の幹部の皆様から城を守る事も私達の仕事の内だよ!」

とピシャリと仰った。

「…………かんぶ?」
何それ?

するとメリサさん。今度は

「…何だいあんたそんな事も知らないのかい?」

と驚いた目でこちらを見た。

私が首を縦に振るとやれやれ、と言いながらメリサさんは私に説明をくれた。

「幹部の方はヴァリアーの中じゃあボスの次に偉いんだよ。

様付けは常識。

あんたさっきスクアーロ様をスクアーロさんって呼んでたろ?

スクアーロ様だから良かったものの…他の幹部の方にやったら殺されるだけじゃ済まないよ?」

気をつけなよ、と言葉は強いものの優しい目で私に言ってくれた。


ああ、心配してくれているのか。
嬉しいな。

怒られてるのに。



…というか、ですね。


殺されるだけじゃ済まないというのはどう言った感じなんですかね?と聞いてみたら


「体験してみりゃ分かるんじゃないかい?」


という非常に怖い事を言われた。


さ―っと青くなった私に笑いながらメリサさんは

「ほら、あんた此処の幹部の顔も知らないみたいだし、ちょっとお茶運んできな。」

と言った。


「…?」

何だ何だ。急に何だ?

どういう事だろう。

私が訳が分からないという顔をしているとメリサさんは

「だから、今幹部のメンバーがリビングルームに丁度集まってるんだよ。

そこにお茶をお出ししてこいって言ってるんじゃないいか。」

と説明してくれた。


「何で幹部が集まってるんですか。」

「そりゃアレだよ。幹部の皆様だって休息は必要だしね。」

要はアレか。幹部の皆様はリビング的な所で自堕落した時間を過ごしているんだな。


くそう。羨ましい。

「だから、ほい。これお茶っ葉。」

「私がいれるんですか?」

「他に何が有るんだい?
…ははーん、あんたやったこと「あ、ありますよ!
いいいいれれば良いんでしょ、いれ…れ…ば…。」

「(…これはやったことないね。)そうだよ。じゃ頼んだからね。」


メリサは満千流にお茶の葉を手渡しながら楽しそうにそう言った。



面白い子だねえ。


顔に出さない様にはしているが明らかに慌てている満千流を見てメリサは内心感心していた。

ヴァリアーの幹部に自分が初めていれたお茶を飲ませるなんて。


度胸がある。


まあ勿論、お茶をいれる事なんて滅多に失敗しないから面白半分に頼んだ訳だが。

**


しかし、満千流がそんな一般女子の筈はない。


…そうなんです―。
何かお茶爆発し始めて―。

うん、ありがちー。

…でもなっちゃったんだなー、コレが。


え?状況を説明しろ?
あ、了解っす。

えと、先ずヤカンにお茶っ葉をin。
お水をin。

火を点火ぁ―――ボッ。(火の点いた音)

え、イヤそんな何こいつみたいな目で見ないで…。


で、でね!?


点火して、置いといたら段々小さい泡が出始めて。

おー自然現象ーとか思って見てたら
いつの間にか泡が大きくなって。

ホントにボゴォッって感じでいっぱい出てきたんだよ?
(世間ではコレを沸騰と言います。)


…もう見たくない。


満千流は心の友であるトイレ君の元へ参ります。


では。 



―10分後、

私は火を付けたままだった事を思い出し、仕方なく抜き足差し足で台所へと近づいた。

恐る恐るヤカンを覗き込む。


………お茶、消えてる。


無い。

無いよ―!?
(世間ではコレを蒸発と言います。)

…アレだ。

お茶っ葉ではお茶は作れないんだ。

そうだそうだ。


うん………買ってこよ。

そうして私は空しくなんかないんだもん、良いんだもん、と呟きながら最寄りのコンビニに急いだ。


******

お気づきでしょうか。今度はヴァリアーが一度も出ておりません。
次は思いっきり出て頂きますのでお許しを。

此処まで読んで下さって有り難うございました。

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