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にじゅういち。こうしょう


部屋には沢山のチフィオのファミリーと
大きな長机と、豪華な装飾。


「これは、本物だな…」

飾られている絵も、壺も、全ての物が本物にしかない輝きを放っているように感じる。

って私勘で言ってるだけなのに偉そうだなオイ。


私がそんな事を思っている横で
あの、とクロームちゃんがおずおずと口を開いて

「ここのボスの方は…いらっしゃらないのですか?」

と聞いた。

すると部屋にいるファミリーの一人が
「遅れてくると仰っていた。」
と簡潔に答える。

しかし、その解答に私は酷く疑問を感じた。

「遅れてっておかしいく「分かりました…。では先に詳細の確認をしましょう。」

私の抗議の声をクロームちゃんが遮る。
不満げに彼女を見ると、

「…怒らせないのが、一番」

と小声で教えられた。

そ、そっか。キレやすいって言ってたもんね。

ごめん、とクロームちゃんに謝ると
彼女は微笑む事でそれに答えた。


チフィオファミリーの一人に誘導されて席につく。

何とも言えない緊張感の漂う中、

「交渉を、…始めます」

と言ったクロームちゃんに促されて私は合併の詳細について説明を始めた。

ホラ、説明係だからさ、私。


「まず始めに詳細の大まかな説明です。
合併に伴い得られる、利益については―――…」


まずまずのスタートが切れた。


ここから、少しずつボンゴレに有利な方向へ持っていく。



交渉は、順調に進んだ。

向こうも、こちらの条件をほぼのんでくれるようだ。


ボンゴレと合併。
彼らにとってもオイシイ話なのだろう。

こちらにとっても、規模増大は大変ありがたい。


大体、双方に益をもたらす合併の話が破たんする筈が無いのだ。



―――よっぽどのことが無い限り。



部屋の空気も当初の緊張感はなく、大分和んできた。

私が次はなんの説明だ、と書類を捲る。

クロームちゃんに至ってはは少しうとうとしだしている。


その時


「初めまして。君達がボンゴレの使いだね。」


「へ…」

唐突に声を掛けられた。
部屋の扉の方向だ。


チフィオファミリーの、ボスだ。
何故かは分からないけれど、そう確信する。

その声にはそう納得させる程の威厳があった。


顔をそちらに向けて、彼を見て。
私は思わず呟いた。


「ちっさ」


「……何がだ」

あ、聞こえてましたか。

「身長?っていうか、体積?」

「………この女をつまみ出せ」


ボスの突然の言葉に慌てるファミリー達。


仕方ないもん。
すんごーいちっさいのよ、彼。


「いや、でもそんな怒んないで下さいよ」

「そんな事を言われて怒らない奴がいると思うか?」

「いいいいいーじゃないですかぁそんな怒んなくても!!

大丈夫ですよ!私ミニマムズ大好きなんで!」

安心してください、と続ければ
青筋を浮かべた彼の顔。

「俺を馬鹿にしているのか!」

「しししし仕方ないんですよだって「俺が小さいからだと続けたら殺すぞ!」

「違いますよやだなネガティブ!!
交渉で難しい言葉使いすぎて訳分かんなくなって!!」

「それで俺を無碍にしたと?」

「だから違いますってネガティビアン!!」

「ネガティビアンとは何だ大馬鹿リアン!」

「………え、下手くそ」

私が急に冷静に、しかも真顔で返したのが気に障ったらしい。

キーキー言っている。
聞こえないもんねー

「大体!!私があなたにちっさ、って言ったのは難しい言葉使いすぎて

今頭傾けたら腐った脳みそが耳から出てくるなって思ったからで!!」

「何の理由にもならねえだろ!!
しかも想像しちまって気持ち悪いじゃねえか!」

「ナイス妄想力!」

「想像力だ!!」

「そんな事は認め――ぐおえっ」

初対面のチフィオのボスと言い合う私の襟首をクロームちゃんが引っ張った。


あんた意外と怖い!!
本当意外だけど本当滅茶苦茶怖い!!


しかしそうクロームちゃんに非難の意をこめた言葉を掛けようとしたらその前に殺気に瞬殺された。


怖っ


「満千流、そんな事考えてる暇無いよ」

あれ今心読んだよね!?ナチュラルに読んだよね!?


そう思いつつも周りに視線をやると――



チフィオファミリーの面々に、ぐるりと大きく取り囲まれている。

それぞれが匣兵器や武器を手にしているあたり
戦う気満々、といった所だろう


「何コレ。どういう経緯でこうなったよ」

「満千流が相手のボスを挑発したから…」

「あ、わわわ私すか。すすいません」


何とか状況を理解しクロームちゃんと背を合わせる。

取り囲まれているためにそうせざるをえないのだ。

「ど、どうしよ。」

「…満千流は、とりあえず銃弾を温存しておいて…。

私が、倒せるだけ…倒す。」

そう言ってクロームちゃんがリングに火をともし幻覚を出した。


私に弾を温存しろと言ったのは危険人物がいたら直ぐに射殺できるように、という事だろう。


期待に応えるべく銃を構えて相手を牽制する。


しかしそれにしても
大ピンチだ。

私が発端とはいえ、焦る。


正直私は目の前で繰り広げられる戦いから身を守るので精一杯だった。

それに引き替えクロームちゃんの頼もしいことといったら。

流石はボンゴレ守護者、と思わせる実力。


しかし、そんな彼女でもこれだけの人数を相手するとなるとなかなか苦しいらしい。


表情がかたい。多分、少し焦っている。


クロームちゃんの幻覚に巻き込まれないように気をつけながら

私も、守られてばかりじゃいられない、と銃を再度握り直す。



目の前の敵に目を奪われていた。



頭上なんて、見る余裕も無かった。



「満千流上!!」

と叫ばれて漸く顔を上げたが
時すでに遅し。


天井のシャンデリアが落ちてくる。


勿論偶然では無い。
誰かが故意にシャンデリアと天井を繋ぐロープを切ったのだ。


目前にシャンデリアが迫る。



―――避 け ら れ な い



死を直感した。

私は終わったのだ、と思って、ぎゅっと目を瞑った。


******

はいーヴァリアーいませんー。

ドンマイですね、ホント。トホホ

でも次回で終わらせますのでね。
お付き合い頂ければ幸いです。

此処まで読んでいただいて、有り難うございました。


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あきゅろす。
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