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にじゅう。せんにゅう



イヤイヤ、なんすかこの展開。



「………ここが入り口、とか言わないよね」

「…………でもそうだと思う。」

「…や、入り口他の所だってホラあそことか」

「……………現実逃避は止めよう?」



その言葉に冷や汗が出た。




私達は例のチフィオファミリーの"入り口"の前にいる。

着くまでは迷う事も無く順調だったんだ。私にしては
(クロームちゃんに付いてっただけだけど)

そう、着くまでは。

しかし私達は此処で大きな壁にぶち当たった。
入り口に大問題が有ってさ。

だって入り口、


―――――キャバクラなんだもん


「18禁だよ入れないよ!!」

「…そういう事じゃ無いと思う」

「や、だってこの中で繰り広げられてるあんな事こんな事全部、18禁だよ!?」
私十代なんですけど、と続けると、クロームちゃんは

「でも行かないと…XANX「行こう!!夢の国へ!!」

そう叫んだ後私はクロームちゃんの手をガシッと勢い良く掴み、私は勇敢に夢の国へ突入した。

入って直ぐにあったのは長い廊下。
壁には化粧の濃いお姉さん方の写真がズラリ、と並んでいた。

そして金で装飾されたきらびやかな雰囲気
―――に見せているだけの内装。


金は恐らくメッキだろうし、豪華な造りが逆に安っぽい。

シャンデリアも飾られている壺も、決して高価な物ではないだろう。

全体的に、どこか品がないのだ。


というのも、ヴァリアーの城は全て本物なわけで。

無駄にマネーが使われているあの城で毎日生活していれば、
嫌でも分かるようになる。


そう気づくと、恐怖心だとか緊張感だとかはどこかに吹っ飛んでいて。

「とりあえず任務遂行は絶対だもんね頑張ろうね」

とクロームちゃんに声を掛ける余裕も生まれ。

長い廊下の果てに見える扉

あの扉の向こうが、私達の戦場なんだ。

するとそんな私の心を読んだかのようにクロームちゃんが

「満千流……絶対成功させよう?」
と微笑みながら言って。

私はそれを

「うん!!」
と迷わず返して扉を押した。



音も無く動いた扉。

店内は、当然ながらというか残念ながらというか
まあ予想通りの空間だった。

「わーワンダフル。」

「満千流、…そんな見ない方が良いんじゃ…」

「誰に声掛けよう?ボンゴレだって証明しなくちゃいけないかな」

「……私の方見て喋って。そっち凝視するのは色々問題あるから…」

優しい言葉とは対照的に当てられる殺気。

容赦ない殺気に呼吸困難に陥りながらも死に物狂いで謝る。


教訓。クロームちゃんに逆らうべからず。


そんな事を考えていたら、自分に向けられている沢山の視線を背中に感じ、振り向く。

「クロームちゃんクロームちゃん」

「…どうしたの満千流?」

「すんごい見られてる。」

私の言葉にクロームちゃんが振り向き

「…うわぁ」

と漏らした。

それもそのはず。
キャバ嬢のお姉さんや中年のお客さん、グラスを運ぶウエイターに店のスタッフ

店内全ての人が一様にこちらをみていた。

まあ妥当な反応だろう。
こんな所に明らかなる未成年が二人もいるのだ。


「何かお目目目目目目パラダイスって感じだね」

「…全然…何言ってるの満千流…」

「おかーさーん何かクロームちゃんが冷たいよー!!!!」

「満千流、お店の人が…びっくりしてる」

「ふっふっふ、私に恐れをなしたか!!」

「………違うと思う」


すると、そんなふざけた会話をしている私達に

ピシッとスーツを着こなした
30代くらいだろうか、ダンディなおじさんが近づいてきた。


「もしかして君達がボン「初めましてあなたがマイケルね!!私は満千流」


クロームちゃんと話していたままの調子でおじさんの手を取りご挨拶。

おじさんが固まっているように見えるのは、…多分気のせい。

するとクロームちゃんが
私の襟首をグイッとつかんで(うぐぇっ)後ろに下がらせ、

「すみません…私達はボンゴレの者で…。
通して…頂けますか?」

と可愛くご挨拶。


…先程の喉への圧迫感はまだ鮮明に残る。

一人喉を押さえてうずくまる私を
まるで火星人を見たかのような目で見ながらおじさんは

「聞いています。どうぞこちらへ。
私に付いてきて下さい。」

と答え、店の厨房のある方へ歩き出した。

「何で厨房なんだろ?」

厨房にアジトがあるのかな?、とおじさんの後を追いながら、
クロームちゃんに小声で尋ねる。

するとクロームちゃんは

「きっと…アジトへの本当の入り口が分からないようにじゃないかな」
と答えた。

「……じゃあ、あのキャバクラはアジトへの侵入を困難にするためのカモフラージュだったの!?」

「…へ?もしかして…満千流気付いてなかったの?」

そう驚いたように問い返され、
YESの意を込めてグッと親指を立てたら

「…はぁ」

と分かりやすいくらいの溜め息をつかれた。


ドンマイ私!!

めげるな私!!

人生なんてそんな物だぞ私!!


前方を歩くおじさんが厨房の中の隠し階段へと消える。

私達は彼を見失わぬよう、急いで後を追った。

その後もぐにゃりぐにゃりと曲がって下がって今度は上がって。

こんなに厳重にする必要があるのか、と思う程入り組んだ造りになっているこの建物に嫌気すら覚えた頃、


やっとおじさんが一つの扉の前で止まった。


「こちらです。」


そう言ったおじさんが、その分厚い扉を開く。


私は無意識に、クロームちゃんの手を握っていた。


******

私どんだけ引っ張るんでしょうねこのネタ。

ヴァリアー組も居ないのにとうとう次回で三回目…。

まあアレですね!
ゆっくりのっそり進展していくのがこのお話なんでしょうね!!


という訳で…
ここまで読んで下さった満千流様、有難うごさいました!


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あきゅろす。
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