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じゅうご。かけあい

視線のやりばに困って窓の外を見たら強い雨が降っていて

ルッスさんに窓の外を指差しながら
「私が倒れた時から降り続いてるんですか?」

と聞いたら

「そうよ。本当にベルちゃんが助けてくれて良かったわあ」

じゃなきゃ今頃満千流死んでるもの、と言った。

ルッスさんの言葉である事を思い出して王子くんにねえ、と声を掛ける。
「何で私が死にかけてたのが分かったの?」

すると王子くんは
「嵐の守護者だから。銃声聞こえたし。」
そういうのには敏感なんだよ、とあっさり言い切る。

いや、そんなさも当たり前の様に…

それって相当凄い事じゃ無いの?
銃声は、他の皆に聞こえなかった訳だし。

「嵐の守護者だから出来る、なんて物じゃ無いんじゃ…」

「ししっ分かってねーなあ、お前。
それは俺が王子だからに決まってんだろ」

普通の嵐属性の奴にはできねーよ、と言ってししっと笑う王子君。

「………あそー。そりゃあ良かった」
「何なんだよその沈黙」

そう言いながら王子くんがナイフを構えてきたからルッスさんの後ろに慌てて隠れる。

怖いなー
直ぐナイフ出すんだもん
全く、油断も隙も無いや。

「…今何時?」

「考えが急にそこに行くまでの経緯を教えてほしいですねー」

「いや、さっき起きたからさ。時間の感覚狂ってるもんで」

私がそうフランに返すと
ルッスさんが「今は…4時25分ね」と教えてくれた。

4時?
夕方の?

予想外の時刻に驚いて「私どれくらい寝てました?」とルッスさんに聞いたら

「んー…ベルちゃんが満千流を連れてきたのが深夜頃だったから…16時間ぐらいかしら。」
と言われた。

「16…自己ベスト更新かも。」

「要らない栄光ですねー」
良かった良かったー、とにこりともせずに言うカエル君。

むかつくわー
いや、それだけ寝てた私が悪いんだけども。

そんな事を思いながら
「あーでもお腹減ったー」
と零すとルッスさんが

「メイドが晩ご飯の支度をもうしてるはずだから何か貰ってきたら?」

と提案してくれた。

そうか、そうしよう。
晩ご飯って言うより私の場合朝ご飯だけど。

………あ、っていうか、私メイドじゃん。
なに先輩パシろうとしてんの

そんな事を思いながらベッドを立とうとしたら、
「でも、満千流は寝てるべきよ。」
とルッスさんが私を止めて、だから、と続ける

「ベルちゃん何か貰ってきてあげて」

「……え、いや何で王子くん…せめてスクアーロさんとか…」

と思ってスクアーロさんの方を見ると

…………あれ、居ない

疑問の目をフランに向けたら
「さっき任務だぁ、とか言って居なくなりましたけどー」
と言われた。

直ぐ任務が控えてるのに来てくれたんだ。
嬉しいな

やっぱり此処には、憎めない温かさがあるような気がする。

ほのぼのと幸福感を覚えていたら
「なにお前。王子にやってもらうのに嫌とかねーよな」

「そ、そうですね。言いません。」
だからナイフのチラ見せ止めて下さい。

「ししっそれで良いんだよ。
待ってろ、とびきり不味そうなやつ持ってきてやるし。」

「ちょちょちょっ……いや勘弁して下さ…」

行っちゃった。

風のように居なくなったね。
「なんか嵐が過ぎ去った気がする。」
嵐の守護者だけに、と続けたら

「全然上手くないですー」
とフランにばっさり切り捨てられた。

「ひどっ」

「今更ー」

わお、自覚してるんだ。
偉い偉い。

バカにした様な笑みを浮かべながらポン、とフランの肩に手を置こうとしたら
「はっ」
と払われた。

ひどっ
怖っ
なんだよ今の。

キャラ崩壊!!

「キャラ崩壊じゃなくて、これが地ですー」
奴はすいませんねー、と言いながら今度は私をバカにした様な目で見てきた。

あーもう!!と思いながら私が言い返そうとしたら
「いい加減にしなさい。」
とルッスさんに怒られた。

だってあのカエルがよー、という目でフランを見たら某カエルも同じ様な目で私を見ていた。

しかし、流石にこれ以上口を開くのは危険だと、私の体がルッスさんから発せられるどす黒いものを感じながら教えてくれる。

そうだね、有難う本能。

ルッスさんがフランを若干追い出す様な形で部屋から出しているのを横目で見ながら
「ルッスさん、このクジャクさんは…」

と声を掛けたら、

「満千流が直ったら貰ってくわ。」
だから早く元気になるのよ、と言ってくれた。

嬉しくなって、はい、と返事をしたらルッスさんはにっこり笑って部屋を出て行った。


******

どうやらルッスさんはとっても良い人の様です。


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あきゅろす。
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