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じゅうよん。みなさん

目が覚めたのは、ベッドの上。

目と鼻の先には、ルッスさんのどあっぷ。


「のわぁぁぁああっっ!?」


びびびびっくりしたんですけど!?
近いんですけど!?

「あらー起きたの。良かったわあ。」
ルッスさんが嬉しそうに、ほっとしたように声を発す。

「あ、あ…あの、私一体…」

「ベルが気絶した満千流抱いてきた時にはびっくりしたわ。」

満千流にもベルにもね、とルッスさんは何故か嬉しそうにそう言う。

「…あ、銃声、届いたんですね。」

一か八かで発砲したあの鋭い音。
どうやら気づいて貰えたようだ、

そう思って少しほっとしていたら、

「銃の音?」
と不思議そうに聞かれた。

「あれ、此処に聞こえたんじゃ…」

「何の事かしら…。」

「あれ?」

どういう展開だ、これは。
「何で私が倒れてる場所が分かったんですか?」

「分かった、というかねベルちゃんがいきなり連れてきたのよ」

ついでに言うと姫抱きで、と要らない事まで教えて下さるルッス姉さん。

王子君が何故私の場所が分かったのか疑問だが、まあ本人に聞こう、と思って

「とにかく、ありがとうございました」
と言ってベッドから降りようとしたら、ルッスさんに止められた。

「まだ雨で冷えたせいで熱があるでしょ?
寝てなさい。」

いくらあの子が頑張っても流石にまだ全快じゃないでしょうし、と言いながらルッスさんが視線をやった方を見ると、

あぁ、ルッスさんの晴クジャクだ。
あんな事の後に何故こんなに体が軽いのかと思ってはいたけど。

そうか、ルッスさんが。

「ありがとうございます。」

そう私が言うとルッスさんは、ん?と言った後
「ああ、良いのよ。私との仲じゃない」
と言ってくれた。

頬が緩む。
きっと今私は怪しい程にやにやしているのだろう。

「私ルッスさん大好きですよ」

「あら嬉しい事言ってくれるじゃないーっ」

私も満千流好きよ、とルッスさんにぎゅーっと抱きしめられる。

それはもう力の限り。

「痛いぃぃぃぃいっ」

私がそう悲痛な声を上げると、ルッスさんは
「あらやだ、ごめんなさいね
もう、満千流ったらか弱いんだから」

と言ってまたうふふと笑った。

いや、私のせいか!?
君若干私が悪いことにしてないかな!?

もう本当、あらやだ、じゃないでしょー…


その時部屋になんの感情も表さないあの声が響いた。
「こんにちはー」

「あら、フラン」

「みんな居ますよー。
やっぱり暇なんでしょうね、先輩方は。」

フランがチラリと自分の後方を馬鹿にするように見る。

「う゛お゛ぉい、なんだぁその目は?」
「ししっ多分喧嘩売ってんだよ。殺してやろうか、カエル」

「黙れ堕王子ー」

「よっしゃ殺す」

「わーわーわーわー待って待って!」
今にも乱闘を始めようとする二人を慌てて止める。

目を離せば直ぐコレだ。
あーこわ。

「もうさー何か理由見つけては火花散らすの止めてよ。
喧嘩したいっていう願望がある訳でも有るまいし。」
まあそんな人いないだろうけどね、と続けようとしたら

「喧嘩は好きじゃねーけど殺り合うのは好きだぜ?」
という王子くんの声にかき消された。

そしてその意見にフランが
「まあそうですねー
ベルセンパイと同じ意見なんて不本意ですけど」
と同意する。

いやいやいやいやいやいや
喧嘩嫌いで殺りあうの好きって駄目でしょ人間的に。
どうせなら逆の方が良いよ

いや、駄目だけども

「う゛お゛おい、お前等いい加減にしとけぇ
満千流は…そんなでも一応病み上がりなんだあ」

「ちょちょちょちょっと!?
そんなでもって何ですか!?
私の人格否定ですか!?」

「違うぞ。存在否定だぁ」

「あ、そっかー良かった…って違う!!
全然良くない!
レベルアップしてるわ!」

私が必死でそう言い返すとルッスさんが
「もう駄目よスクアーロ。
満千流は病み上がりじゃなくてまだ病んでるの。」

安静にしてなくちゃ、と場を静めようとする。

しかし、そーだそーだ、と乗っかったら
「あなたは大人しく寝てなさい。
殺すわよ」
とピシャリと言われた。

若干言葉に怖い物が混ざっていたが
彼…彼女はヴァリアーなのだ、そんな事は口癖のハズだ、よって実行はしない!!
…はず、と思う事で解決した事にしよう。

とりあえず殺されないうちにベッドに戻る。

心なしかルッスさんの晴クジャクにもアホだなあ、という目で見られてい………ないよね!そうだよね!?ね!?

ベッドに横になり、なんとなく
「なーんで皆そんなにキレやすいんだろ」
とぼそりと呟いたら何故か王子くんにだけは聞かれていた様で

「何で満千流がそんなにバカなのかは王子の一生の疑問だし」
と言われた。

「にゃんだとぅ?」

「幾つだお前。」

「え、ねえ私って幾つに見える?」

「何で普通に返すんだ」
私のコメントに対して王子くんが脱力した様にそう言った。

何だよ、素朴な疑問なのに。
「大体、王子くんは沸点低いんだよ」

「てめえ…。満千流は精神年齢低いんだよ」

「え、嘘、幾つに見える?」

「だから何でそこに食いつくんだよ…」

まじ意味分かんねー、と王子くんが今度は露骨に疲れた、という顔をしてそう言った。

だから何で教えてくんないんだよ…

「すいませんーそこ二人意味分かんないコント止めて貰って良いですかー」

ある意味二人の世界に突入している私達にフランが面倒臭そうに呼びかけた

「コントじゃ無いっ!ねえ王子くん」
「そーそー俺被害者だから。」

「…え、ねえねえ、何の被害者かな?
ねえねえねえねえ」

「…」

なんだよ皆黙っちゃってさ。
私がそんなに可愛いですか。

「何ですかーそれ。自惚れにも程が有るんですけどー」

「…今はフランが私の心を読んだのか
私が心の内を口にしてたのかどっちかな」

まあ、答えは大方想像できますが

一応、ね
もしかしたら前者で私は悪くな――
「後者に決まってるでしょー」

……

………まあ、…予想通りですから?
シ、ショックなんて、うけてませんから?

「顔引きつってますー」
「うるさいな!」

何なんだこのカエル君は。
毒舌にも程がある

でも、と私は何気なく呟いた
「目、綺麗だよね。」

その途端、私は、は?といった表情で凝視された
ルッスさんに至っては、驚きを通り越して、まるで心配する様な目でこちらを見ている。

…なんか私痛い子みたいなんですけど。
そんな哀れんだ目で見ないでほしいんですけど。

******

だけど、戻ってこれて嬉しいよ、
な精神で。

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