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じゅうさん。ぴんち

今ね、困ってるんです。
何でかって?


…迷ったから。


こらそこ!
またそのネタ?もう良いよー
とか言わない!!

こっちは切実に助けを求めてるんだあぁぁぁぁあっ

「しかも此処圏外だ…」
まあ、森の中にいたらそりゃあ圏外でしょうけどね。

森の中にあるヴァリアーの城。
だから私にとっては帰る為に探すだけで一苦労だ。

その上メイドという仕事をしていたが為に
ヴァリアーに来てから外に出たのはこれが初めて。

自分の勘を信じるしかない。

とは言っても多分、近くまでは来ている筈だ。
だから、と思って先程から森をウロウロ歩き回っているのだか…


もう駄目。
しんどい。


普段、そんな事を思う事なんて滅多にない。
今回だって、晴れてさえいればこんな風には…。


―――先程から降っている雨に体温を奪われる。


体がガチガチに冷えて、寒くて、
何だか心細い。

私はぺたんと地面に腰を下ろした。

本当は動いて体を温めた方が良いのかな。
いやでも体力を温存しておいた方が良いのかも。

頭が回くなってきたのに何故かぼけっとそんな事を考えて。


意識が朦朧としてくる。


私ここで死ぬのかな、と思った。
視界がぼやけて、体に力が入らなくなって。

死ぬ、直前のフワリとした感覚に襲われる。
ヴァリアーで幾度となく感じたそれ。

でも、と私は思う。

私はこの感覚が不思議と怖くない。
恐ろしいと、感じた事がない。

それはきっとこの感覚が優しいからだ。


包み込むような、慰めるような

微笑むような、愛おしむような


―――母親の様な。



おかあさん


お母さんに会いたいな。

私がイタリアに留学して一年。
もう、長い間会っていない。
厳しいけれど、優しいお母さん。

お父さんにも会いたい。

ひょうきんで穏やかな、お父さん。
留学の時には迷っていた私の背中を押してくれた。

友達にも、会いたい。
大好きなみんなに

みんなに会いたい。


ああ、ヴァリアーの人達にも、会いたい。

あの、はちゃめちゃな空間に帰りたい。
もう一度皆と笑いたいよ。


その時私が強く意識した、
―――帰りたい。


帰りたいと、帰らなきゃと、思うだけで何故だか力が湧いてくるような気がして


一瞬手放しかけた生を手繰り寄せるように拳を痛いほど握りしめて
もう片方の手で


――黒光りするあの銃を握りしめて


最後の力を振り絞って、
空へとそれの引き金を引いた。


そして私はその銃の奏でる音が暗い夜空へ溶けていくのを感じながら、



意識を手放した。



**

ういてる

ふわふわと。


否、ゆれている

ゆらゆらと。


しっかりとした何かに、包まれながら


******

シーリーアースー
どーしましょう。

とりあえず、読んでいただき嬉しいです。
有り難うございました。


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