[携帯モード] [URL送信]
じゅういち。どーも


あ、あったあった


目的地に無事にたどり着いた私はホッとする。

彼に行き方は教えてもらったが
ちゃんと自分が正しく進んでいるのか自信が無かったからだ。

やればできるじゃん私!

いつもヴァリアーでバカだのアホだの言われていて自分に自信が無くなって。

だからこんなくだらない事がなんだか栄光、の様に感じて嬉かった。


ていうか、と私は目的地であるその建物を見て思う。

「…ここ人住んでるのかな。」


建物は壁は所々崩れている上に庭は草木が伸び放題。
窓は割れてるし、人の気配も感じられない。


その上心なしかアレが出そうな気がする。
お、から始まりけで終わる、
うらめしやーって言うアレが。

怖いから嫌いなんだよね…あれ。

「…でも行くしか無いんだよな…」

そんな事で帰ってきただなんて言ったら
あのボスに焼き殺される。

手からでる、なんとかの炎で。

激怒だか憤怒だか、なんとかかんとか力説してた気がする。

レヴィさんが。


そんな事を考えながら
私は仕方無く重い足を動かす。


鉄の扉はそこら中が錆びていて、色もほぼ剥げていて
不気味な事この上ない。


できればこれ以上進みたくないなあ。

そう早くも弱気になった私を叱咤しつつ
玄関(だと思われる。原型留めてないけど。)の扉をノックする。


…しーん。


反応ナシ。
現在留守中ですー、とか無いよね?

いるよね此処の人?

…ていうか本当は住んでませんでしたー、ボスの嫌がらせでしたー、とか無いよね!?


―――う…あるかも。

そうウンウンと私が頭を悩ませていると


――ギギィ

というなんとも不気味な音と共に扉が開く。

その音に一瞬ビクッとしつつも開けてくれた人に感謝の意を述べる。
「あ、ありがとうございます。」

そう言って私は扉の向こうに視線をやってギョッとした。

…何、この人等。
人、なのかも怪しいんですけど。


そこにいたのは二人の…え、人?

どこかの学校の制服に身を包んでいる。

絶対学生じゃないでしょ、と突っ込みたくなる衝動にかられる。
勿論押さえ込む。

年はハッキリしない。
老けても見えるし若くも見える。

それから…目が窪んでて。
口は縫い付けられてて。

正直、この世の生物とは思えない。
気持ち悪い。

…凄く失礼なのは分かってるけどさ。

まあ、でも彼等の第一印象が最悪なのには理由がある。

出会った瞬間から一言も喋らずに私を一心に見つめ、手をクネクネさせたりして
る。

これは何と言えば良いのか。

こう、自分の中に生まれる衝動を何とか抑え込んでるように見える。

悶えているようにも見える。


…気持ち悪い。

私がしっかりとそう認識した時、

「ヂヂ、ジジその子は殺してはいけないですよ。」

という声。


――殺してはいけない!?

イヤイヤ、私殺されそうだったんですか?

ちょっと待って下さいよー…

そんな思いを込めて声の主を見たら
その人はとても胡散臭いおじさんで。
なんかヂヂさん、ジジさんに加えておじさんにも凄く見られていて。

絡んだ視線が、気持ち悪くて。

私は視線を逸らすかのように建物の内部を見渡した。


超絶汚かった。


そんな私に気づかすにおじさんは口を開く。
「初めてまして。私はバーズです。」

「あ…満千流、と言います。」

バーズさんにつられて自己紹介。

ついでに要件を聞かれたから
「書類を届けにきました。」
と答える。

するとバーズさん、

「そうですか。んー、…そうだ。
ちょっとこれで腕を切ってみて頂けます?」

という全く関係のない事を言い出した。

「え」

ていうかそれ“んー、そうだ”で出てくるアイデアじゃないよ。


「良いですねぇ、その驚いた顔…ウジュ」

―――な、何この人!?

全身に鳥肌がたつ。

ウジュって…何?
いやいやそれよりもバーズさんナイフ出して私に持たせようとしてるよ!?

わ、鼻血出し始めた

な、何なのこの人っ!?
大丈夫なの此処?

あ、もしかしてドッキリ?

…うん。
そうかな

そうだよね。

そうだそうだそうだそうだ。

「もーバーズさん笑えないですよそんな…」


バキィッ


鈍い音と共にバーズさんが崩れ落ちる。

突然の事に私が目を見開いているとこれまた制服を着た、事を起こした張本人さんが喋りかけてきた。

「悪いわね、ほんっとこいつバカでさ。」

「あ…はい…」

喋りながら思う。
今この人クラリネットでバーズさん殴ってたよね?

私がそう気づいてぎょっとしていると少女は
「私はM・M、あんたの凝視してるクラリネットはあたしの武器ね。」

よろしく、と簡潔に自己紹介。

「ど、どどどうも。えっと満千流と言います。」

「そ。で、此処に何の用?」

私の自己紹介はどうでも良い、というふうに彼女、M・Mは問いかけてきた。

「書類を届「骸さんの客だぴょん」
私の説明はアッサリと急に現れた二人の男性に遮られた。

―…はい?
つーかこの短時間でニューキャラ現れすぎだろ。

「いや、だから書類「つーわけで柿ピー案内よろしくれーす」

「めんどい…」

―いやいやいやいや、ただ書類渡しにきただけなんですけど!?
ていうかこんな所早く去りたいんですけど!?


私はそう必死に訴えた。
目で。

軽ーくシカトされた。

**

「…っと、あのー、此処は一体…?」

「応接室。」
先程柿ピーと呼ばれていたおかっぱさんが面倒くさそうに答える。

「いや、そうじゃなくて、
こんなに汚くても応接室と言うのかな、と。」

ヴァリアーの応接室を見習え。
無駄にマネーがかけられてるぞ。

すると柿ピーさん、何だかよく分からないヨーヨーを取り出して
「文句あるなら、殺してあげるよ」
と言ってきた。

ささ殺気が痛いよ!ムンムンだよ!
色気はムンムンしてて欲しいけど殺気はムンムンしてなくていいよ!
―って何どうでも良い事言ってんの私!?


とととりあえず今確かなのは
あのヨーヨーが危険だ、という事。

それから、それを持っている彼もまた、危険だ、という事。

つまりは大人しくしているのが一番だ、と察した私は彼に「さーせんさーせん」と謝る。

「…反省した様子がみられないんだけ「気のせい気のせい。」

「…」

言葉を遮られた彼が確実にイラッとしたのを感じ同時に命の危険を感じた私の体は、

一秒後これでもか、という程本気で謝っていた。

すると彼は何事も無かったかの様に
「知り合い?」
と私に聞いてきた。

「あたしが?誰と?」

「骸様」

「いや…ていうかさっきから連呼してる骸さんて誰?」

私が先程から抱いていた質問を逆に問うと柿ピーさんは
「え…知らないの?」

と少し驚いた様に聞き返してきた。

「うん。」

「…そう言う事。」

「何が」

「…説明するのめんどい」

「イヤ、何その適当さ」

どうやら彼は早くも私との言葉のキャッチボールが面倒くさくなってきたようだ


ただ、私は彼と喋る以外特にする事も無いので
それを分かった上で尚、話しかける。

「これ誰?」
私は柿ピーさんに書類と共に渡された写真を見せる。

「骸様」

「へー。マフィアなの?」

「マフィア風情と骸様を一緒にするな。」

「お、久しぶりのロングコメント。」

「ふーん」

「ふーん、て…。酷いなー。お姉さん泣いちゃうぞー?」

「逆に泣かせてあげ「すいませんでした。」

気を取り直して柿ピーさんに話しかける。

「ていうか骸様てさ、柿ピーさんのお兄さん?」

「何の根拠があって兄に分類されたわけ?」

「いや、何か柿ピーさんが骸さんを尊敬してるように見えて。なら、兄かなって


私がそう言うと、彼は少し黙って
「確かに兄、には近い存在かもしれない」

と言った。
そして私が口を挟む間もなく続けざまに
「柿ピーさんって意味が分からない。」

と言った。

…ん?意味が分からない?

あ、呼び方の事かな。

「いや、名前知らないしさ。
君って言うのも微妙だし、だからといって柿ピーって呼ぶのも微妙だしって事でそこに行き着いたんだけど。」

私がそう説明すると彼は一言、「千種」と言った。

「千種?」

「柿本千種」

「あ、…名前?」

そう、と彼は頷いた。

「さっきのぴょんぴょん言ってた奴が、犬。」

ぴょんぴょん…
ああ、あの呂律が若干回ってない人。

「千種に犬ね。仲良いの?」

「まさか」

「んー仲良く見えたけどなぁ…」

私がそう言うと千種は少し目を見開いて、黙った。

あれ、これ図星だったかな。

私は千種の反応を見てそんな事を思う。
そして冷やかしてやろうと口を開けた、その時。

「やあ、満千流」

という声が背後から聞こえた。

気配が無かった事もあり、驚いて振り向くと、そこには意外な人物。

******

むっくむくむく

次のお話は彼の登場

[*back][#next]

11/24ページ

[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!