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じゅう。ぐっどもーにんぐ


「これから、よろしく。」

私がそう言った後の王子くんの反応は知らない。


逃げてきたからだ。

言った瞬間に。(言い逃げ)
中庭に。

何か私らしくない事言っちゃって
恥ずかしくなって。

それを考えると、
私って本当に白いのかもしれない。

ピュアだよピュア。

それに比べて此処の人って黒いよなー。
どす黒い感じ

でも、憎めない黒さ


何だか朝からバカな頭で色々考えたせいでムシャクシャしたから

太陽に向かって


「あー、朝日が気持ちいーっ!」


と私の出せる声全てをだして叫んでみた。

スカッとする。

朝のひんやりとした空気が火照った体を冷やす。
気持ちいい。


コレ見られてたらかなり私痛い子だけど。


でもそんな心配は要らなかった。
時計を見ると今は丁度7時。

起きている人は食堂で朝ご飯を食べている頃だろう。

そう思っていた。



―――しかし



「満千流さーん。

前からそうかなとは思ってたんですけどー
満千流さんって朝からそんななんですねー。」


と朝から毒舌なカエルくんの声がした。

ていうか、そんなって何だ!!
バカにしてんのか――――っ

私は、言われたままでは悔しいので

「フランさんは朝から嫌味ですねー」
と言い返してやった。

――――すると


その途端、朝の心地良い空間が
マグマの飛び交う灼熱地獄になった。

「ぎゃーーーっ!?
すんませんすんませんすんません―――――っ」

私を飲み込もうとするマグマのウェーブから逃げながら
私は心を込めて、誠心誠意謝る。

パッとカエルを見ると珍しくニヤニヤ笑っていやがった。

貴重なモン見たけど嬉しくね―――っ


私がぎゃーぎゃー言いながら(色気ゼロ…)逃げていたら
急に幻覚が消えた。


「…?」という顔をしてフランさんを見ると

「…もしかして、朝の空気で真面目に頭冷やしてたんですかー?」
それなら邪魔しちゃって申し訳ないんですけどー、と言われた。

「何で私が頭冷やさなきゃいけないんですか。」

「えー、だって昨日の事反省してるのかなって思ってー。」


「昨日の事…って、私何かやったの!?」


私がそう言ったらフランさんは一瞬あれっという顔をして
「…覚えてないんですか―?」
と聞いてきた。

何を、と聞き返すと

「昨日満千流さん何故か酔ってて
ウン百万する陶器割ったり、
五階から飛び降りようとしたり

あとー……ボスに抱きついたり

そんな事ばっかしてましたけど。」

バカですよねー、と鼻で笑ってくるカエルくんを
何となく、許しを乞う目で見てみた。


シカトだった。


その代わりに

「あ、ミーの事フランって呼んで良いですよー。
多分満千流さんの方が年上なんでー。」
という全く関係のないお言葉を頂いた。

しかし単純な私は先程の深刻な話題をアッサリ忘れて

「え、てか私が年下でしょ。」
と言い返す。

「えー、そうですかー?
あ、でも満千流さんみたいな人が年上だとすると―…

世も果てですもんねー。」

「んなっ!?
てかあんた幾つよ?
絶対私より年下だわ。」

「さっきは年上って言ったのに何なんですかもー。
ていうかー、満千流さんこそ幾つですかー?」

「へ?あたし?あたしは「あ、ミーは教えないんで」

「ふざけんなカエル死ね。」


「…堕王子に洗脳されたんですかー?」


「いや、…なんか王子くんならこう言いそうだなーと。」

「分かりますそれー。
てゆーかそうやって言うんですよー。」

本当酷いですー、と言うフラン……、さん。

「っと、じゃあ呼び方なんだけど…」

「古いネタ引っ張りますねー満千流」

「いや、古くないよね!?
むしろ最新だよね!?

あれ、今満千流って呼んだ?」

「はいー。
どっちが年上か分かんないんでー「君のせいだけどね」なら同い年ってことで。」

私が挟んだ言葉はどうやらフルシカトのようだ。

なら私も引っ張らないでやろう。
私優しー。

「要は二人共呼び捨て、と。」

「はいー。(心の声また漏れてたしー)」

「了解でーす」
何だか絡みにくい人だと思っていたけど、意外と良い人みたい。

気が合うのかな。
仲良くなれた気がする。

「顔にやけてますー。
バカらしー。」

―――前言撤回!!

やっぱりヤな奴!

「まいいやー。
ていうかー、昨日の事詳しく教えてあげますー。
ミー慈悲深いんで。」

…う…ん。
良い奴なんだか、やな奴なんだか。

全然掴めない。


でも、…嫌いになれない奴だな。

そう思いつつとりあえず好意に対して感謝の意を表す。

「ありがと。」
フランはほんとですよーとか何とか言いながら説明しだした。

「昨日満千流ボスの書類処理してたじゃないですかー。」

…あ。そうだ。良い事思いついた。

フランの口調で長々と説明を受けるのもめんどくさかろう。
という訳で要約ー。

私が書類処理してた



飽きた



お部屋探索



寝室でXUNXASさんのワインを飲んでしまった



酔った(バカ)



XANXUSさんの部屋で暴れた(恐ろしい)



XANXUSさんに見つかった



丁度そこにいたフランが私の処理を任された。(処理!?)



殺しても良かったがめんどかった(怖っ)



その時王子くんが丁度任務で居なかった



だから私を王子くんの部屋に捨てた(だからって…全然順接じゃないよね!?)



王子くんがヴァリアーの城に帰ってくる



フランが状況を説明



何故か王子くんが面白がる(悪質ー!!)



「それで何かー、
満千流が起きた時にオレが上にいたらあいつどうすると思う、って言ってきて
。」

「な…っ

(アレは計画だったのか!本気で焦った私が可哀相じゃん!

え、そんな事ない?

…そういう事言わない。)

―あー、でフランは何て答えた訳?」

「キレた満千流に内臓グチョグチョにされて殺されるんじゃないですかーって」

ななな何だとぅ?

「私そんな事出来ないよ!?
どんなイメージ持たれてんの私!?」

「ウルトラマ「もういい。」

このままフランと話していても埒が明かない事は分かった。

そしてウル〇ラマンはそんな悪のヒーローではない!


彼は子供達の夢なのだ!!


うん。
そしてフランくん、そんな露骨に嫌そうな顔すんの止めようね。

心の声漏れてたんだね。
分かってるから。


それに事の全容は分かったしね。

要はアレだ。


事の発端は私な訳だ?
つまり皆様の怒りの矛先は私に向く、と。

いや、ね

………さっき王子くんから逃げてきた時何かモニャリザに穴が開いてるなとは思ったんだ。

でもまさか自分がやったなんて思わないじゃん?


私はぐるぐると回らない頭で考える。

その末に出された結論は、



素直に謝る。


やっぱりコレに尽きるでしょ。
すんごーく怖いけども。

私、が悪い訳、だしね。

「てわけで行ってくるねフラン!!」


走り出しす直前にフランの顔を見たが、訳が分からないという顔をしていた。

よしよし。
どうやら今回は心の呟きを胸の内に留めておけたようだ。


私はもう一度綺麗な朝日を見て、
大きく大きく深呼吸をした。


******

どす黒いヴァリアー城でも、
空気はとってもおいしかった。

と言ってみたくなりました←



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