また、この季節が来た。
あの2人が居ない季節なんてもう何度か経験してるのに
この季節はいつまで経ってもなんだか居心地が悪く感じる。
健康には自信のある方なのにちょっと体調が優れなくなり気付く、あの日が近いこと。

ジージー鳴く虫の声がジリジリ照りつける日に溶け、ぐるぐるぐるぐるコーンスープのように交ざり合って渦潮みたいにせめてくる。



でも渦に巻き込まれているうちは良かった。逃げるも巻き込まれるも渦に集中していれば良かったんだもの。
渦の目とか、去った後は目も付けられない。ふと全てから見放されたような頼りない自由を感じこんなに自分は弱い人間だったかと懐かしい過去もなおざりに自問する。

強くなったと信じていたそれは自身を責め続けただ麻痺していただけなのかもしれない。憧れて、こうあるべきだと作った型に押し込んでいた。なんだか陳腐だなと思った。
涙も呆れて出て来ない、そう思っていたのに今日ふと置いてあった一切れのパンを見て泣いた。


日に焼けた腕がたくましくなった身体がもう戻れないんだと言ってくる。もう成長を見届けてはくれない。一緒に成長を確かめ喜び競い合うことも出来ない。もう安心して泣ける場所は無いと。
いろんなものを置き去りにして勝手に時間は進んでいた。



平和に肥えた鳩が気だるそうに羽ばたいていった後をぼんやりと眺めた。









たとえ世界が壊れても、それでも良かった、なんて言ったら、どうする?







20110228



第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!