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<4−1>

 幸村が来ている時は、晩酌を共にしてそのままぐだぐだと寝てしまうことが多い。
 自分はいつも同じように呑むが、幸村はどうもやや控えているようだ。
 弱いのか? と聞くと、お館様には及びませぬ! と答えになっていない応え。
 これでは一度試してみるか、と、いつもよりも多くの酒を運ばせた。
 ――そして。
「なァ、……」
「何でござろうか?」
杯を空けた幸村は、ことり、と小さく首をかしげる。
「おまえ、さ……」
「はい」
 幸村はすでに手酌。
 ……自分が、注いでやれなくなっているからだ。
「だんご、とか。すきだよな」
「はい」
 奥州屈指の辛い酒をあおりながら、脳裏に甘味を浮かべたのか、幸村は幸せそうな笑顔をみせる。
(なんで……)
 酒を味わいながら甘いものが想像できるのか、その雑食ぶりに突っ込みを入れたくて仕方がない。
「おまえ…、さけ、つよかったんだな……」
「某、酒も甘味も大好きでござるよ」
 にっこりと、酔いのかけらも感じさせない笑顔を見せて、幸村はようやく空にしたこちらの杯に、酒を注ごうとする。
 むりむり、と頭を振って、杯を伏せる。
 頭を振ったせいで、余計にくらりとした。
「……Sorry、Retire………」
 揺れた視界に目を閉じると重力から開放されたかのような感覚に身をゆだねる。
 ぽふ、と暖かい何かが体を受け止めた。
「ま、政宗殿!?」
(あー………)
 幸村か。
「政宗殿!! もし!?」
 酔って前後不覚。
(かっこわりー……)
 甘い物が好きな奴は酒は苦手という俗説をうっかり信用した自分が悪い。
 まさか、己よりも幸村の方が強いとは。
「あああ、しっかりなさってくだされ、政宗殿! ――片倉殿ー!政宗殿がー!!」
 己を腕に収めたまま、幸村が奥へと声を張る。
(あー……)
 むか、と、酒ではない気持ち悪さが胸の深くに生まれる。
(なんで、呼ぶ)
 自分と二人で酒を交わす、その場に小十郎を。別の人間を。
 さらりと小さな音をたてて、障子が開いた。人の気配――小十郎だ。
「……政宗様、こんなにもお飲みですか……」
 部屋に転がった空の酒器を見遣り、小十郎は眉をしかめる。
「るせー……」
 呻くようにして答える。小十郎の方は見ない。さっき生まれた不快さが、どんどんと育っていくのがわかった。
(すぐに来やがった)
 幸村が呼んだからか?
(てめー……)
 てめえの主は俺だろう。
 なんで幸村に応えるんだ。
 なんで幸村の隣に行くんだよ。
 なんで幸村は当たり前のように隣に座ってるんだ。
(幸村は)
 幸村は、自分の好敵手で。
 幸村は、自分の。
 幸村は、――。
(幸村は、なんだ?)
 自分にとっての幸村は。
「酔うてしまわれたようでござる……」
 困った声をあげつつも、自分を支えたままの幸村。
 大の男を抱えるのは、それなりに重いし大変だろうに、いやがっている様子でもない。
 幸村にとっての、自分は?
 敵か。好敵手か。それとも――。
(俺たちは)
 自分たちは、一体なんだ。

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しばらく更新してないので急遽アップ決行(笑)
中途半端でごめんなさいですー!!

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あきゅろす。
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