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フロイデ!<6>-R18
※R-18文です。
18歳未満の方はご遠慮ください!





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 くちゅ、と下肢から音がする。
 制服も下着もずらされ、直に握られた屹立からはすでにとろりと雫が垂れて、擦る彼の手を濡らしている。
 恥ずかしい。しかしそれ以上に気持ちよくて。
「あっ……ん、は……っ……」
 息もままならないほどの強い快感は、自分でするのとは比較にならない。
「トロトロだな……そんなに気持ち良いか」
 それをさらに煽り立ててくるように耳元へと吹き込まれる低い声に、夢中でこくこくと頷く。
「んんっ……だ、て……せんぱ……!」
「……こういうときは、名前で呼べよ」
 喜色を滲ました声が優しくて、耳に甘く忍び込む。それは羞恥や躊躇いを感じる神経を麻痺させていった。
「な、まえ……」
「知ってるだろ? ……幸村」
「あ……」
 その声で呼ばれる自分の名前は、全く別の響きのように胸に落ちてくる。
(こんなふうに)
 名前だけで胸を騒がせるように、呼べたらいい。
 そう思いながら、口にのせた。
「まさ、む、ね……せんぱ……」
 声が掠れるのは、散々に与えられる快楽のせいだ。
「ああ。……幸村。幸村」
「政宗……先輩……」
 指が、手が、声が、息が、心音が。与えられる全てが自分の身内で絡み合い相互に刺激しあって――飽和する。
「――ッ!」
 く、と先端を握られたその強い悦が引き金になって、熱を放った。それはすっかりシャツを全開にはだけられた自分の腹にもかかり、その熱と体液が重力に従って垂れるとろりとした感触にもぞくりとする。放つ瞬間の緊張の、すぐ後にやってきた弛緩にぐったりとした身体を、彼は柔らかく受け止めてくれたが、自分を抱きかかえるようにしたまま背の低いソファから床へとずり降りた。
「せんぱ……?」
 ごろり、と転がされて、ソファへと倒れこむ。。
「そのまま、力抜いてろよ」
 ソファは座面が広くて、上半身をしっかりと受け止めてくれた。上体だけをうつぶせにした姿はきっと恥ずかしいはずなのだが、今は何も考えられない。好きになった人の手で追い立てられた射精はあまりに快感が強すぎて、頭のどこかが焼き切れたみたいに真っ白になってしまっている。
 すとん、と制服とパンツが落とされた。膝に引っかかったソレをまとめて脚から脱がされ、ようやく下肢が剥き出しにされたのだと気づく。
「先輩……っ」
 それには流石に羞恥心が甦る。
「Be quiet , Honey……」
 思わず声をあげた自分を、さらり、と尻を撫でる手が黙らせた。その手がゆるりと狭間に忍び込み、奥の窄まりへと触れる。
「……ッ……」
 濡れた感触はきっとさっき放った自分自身の精だろう。ソレを塗り込むような動きは酷く卑猥で――しかも焦らされてるようで。
「先輩……っ」
 突っ込むならさっさと突っ込めばいい。
 確かめるような、じっくりと検分するような――それは酷く羞恥心を煽る。
「馬鹿、アンタがきついんだぜ?」
「だって恥ずかしい……っ」
 尻を見られて、その奥まで晒されて。自分で見たことだってない部分を、好きになったばかりのその人の目に映してるなんて、考えれば考えるほど恥ずかしい。
「大丈夫だ……アンタはどこもかしこも可愛くてたまんねえ」
 言葉に乗せて伝わってくる感情。愛しいのだと――求めているのだと。
(もし、それが)
 自分の思い違いだとしても、それはもう構わないと思った。
 自分の内にあるものが、それ以外他ならなくて――彼がどうだと言う以前に、自分自身が欲しいと求めている。。
 それでも、床についた膝やソファのカバーを掴む手が震えてしまうのはどうしようもないのだけれど。
(それでも)
 どれだけの恥ずかしさがあっても、その手が、指が、彼が触れてくるのが嬉しくて。
 ――嬉しくて。
「う、……っく……」
 じわりじわり、と埋め込まれる指にすら――それが苦痛を伴うものであっても、嬉しいと思ってしまう。
「あ、ぅ……」
 腹に力が入ると、痛みは余計に増す。だから、胸で浅く息をしたら、それはまるで喘いでいるみたいだった。
「良い子だ……力、抜けよ」
 ぐう、と彼の長い中指が押し込まれ、彼の手の平が当たる。あの長い綺麗な指を根元まで飲み込んでいるのだと思うと、それはあまりに破廉恥に思えて、かっと全身が熱くなった。
 熱は、肉を柔らかくしてくれるらしい。
 きつく指を食い締めていた内壁から力が抜ける。感じていた異物感が徐々に身体に馴染んできた頃、それを察したらしい彼はゆっくりと指を上下に動かし始めた。
「あっ……は、……はあ……っ」
「ゆっくりだ……ゆっくり、息をしな」
「ん……ふ、ぅ……っ」
 指の動きを追いながら、それに合わせるようにと息をする。すると、痛みが刺激へと姿を変えてきた。
「はっ……はあ……」
 埋まる。抜ける。進む。引かれる。繰り返し、繰り返しのその動きを身体は覚え始めた。
(……もっと)
 身体が、貪欲にもっと上の刺激をと求め始める。
「んんっ……!」
 それは身に沈む指を増やされても、痛み以上に歓びを呼んだ。
 それでも足りない。指じゃたりない、と初めてのはずの身体が知っている。きっとそれは本能。獣が何も教えられなくても生殖の行為を知っているように。この身体が――腰が、快楽を得ようと動いてしまうように。
 熱を吐いたはずの芯は、すでに再び腹へと向かって反っていると気づいていた。ずるりと引き抜かれる指に合わせて震えて蜜を吐く。
「……もういいか?」
 どこか切羽詰まったかのような声に、少しだけ振り返った。
「アンタを俺のものにしていいか」
 シャツをまとっただけの背に、手が這う。
 冷たかった指はいつのまにかとても熱くて――しかしそれ以上に熱いのは、向けられている眼差し。
 隻眼が濡れたような光を放ちながらじっと見つめてくる。問いかけの形をとりながらも否を許さないその強い目に、ただ、頷いた。
(駄目なんて言わない)
 拒みなどしない――それを、自分も待ち焦がれているのだから。
 Ha、と彼は小さく笑った。
「アンタに覚悟が出来てるってのに、俺が温くなっちゃいけねえな……っ」
 カチャカチャ、と金属音がしたかと思うと両手が腰を掴んで支えてきた。押し当てられた熱量に、ぞくん、と背筋が震え、それが止まないうちに――
「あ、……んッ! くァア……ッ!!」
 指とは比較にならない圧力が身体の内部からかけられる。カハ、と喉から空気が押し出され、身体がしなるようにのけぞり、ソファカバーについた手がきしり、と布地に爪を立てた。
「……ッ……」
 強い異物感に、意志とは離れたところで身体が勝手に彼を圧迫する。背で彼が息を詰める音が聞こえた。
 痛みはある。しかし、これで止められたら嫌だ、と思っていると、ぐう、と押し込まれる、太いものがずずずと奥へ奥へと進入していった。
「あ、ああっく……!!」
「きっつ……」
 キリ、と噛みしめた音はどちらからだったのか。
 自由にならない身体の抵抗を踏み越えての行為は決してラクなものではなかったけれど、時間をかけて、やがて、体温の違う皮膚どうしが触れ合った時、彼は詰めた息を深く吐き出した。
「……全部、入った……」
「……あ……っ……」
 奥の奥の、深い部分までが彼に浸されている。それはとても言葉にしにくい感情を伴ってきた。喪失と充実。羞恥と充足。全く別のそれらがぐちゃぐちゃと絡み合い混ざり合い、胸の奥を酷くざわめかせて。それは複雑な化学変化を起こす。
(もっと)
 欠乏と希求。
(もっと、欲しい)
 もっと感じたい。
「だ、て……ぁ……政宗、せんぱ……」
(この人が)
(この人を)
 足りない。足りない。もっと欲しい。もっと。
「せ、んぱい……っ……」
 裏返って掠れた声はまともなものじゃなかったけれど、訴えたい気持ちは伝わったのだろう。
「馬鹿、アンタvirginなんだろうが……ッ」
「う、ああ……ッ!」
 引き抜かれそして再び貫かれる。一度目よりも早く強い動きに声を我慢することなどできなかった。そして激しさを増した抽送が繰り返された。指は馴染んでいてもそれよりも獰猛な凶器を受け入れるのに、身体は苦痛に悲鳴をあげたけれど。
(心は)
 揺さぶられる程、与えられる程に、心が上げるのは歓喜の声。
 ぶつけられる激情のままの行為がたまらないほどに嬉しくて。
「政宗、先輩……!」
 このからだで、感じてくれているのが嬉しくて。
 逞しい屹立が身体の内側を擦り上げ、内壁を圧迫する。
「ん、あ、ああッ!!」
 痛みはとうに無かった。いや、あったのかもしれない。しかしそれ以上にもたらされる快楽に飲まれ、ひたすら身体の正直な声をあげる。それを抑えることは出来なかった。自分の声だとは思えないくらいのひどく高く甘い声に戸惑ったのは最初だけだ。声をあげないと息すらできない。そしてその声の度に彼が反応してくれる。
 それが嬉しくて。
「ひっ……」
 腰から前に滑った手が、浅ましく蜜を吐く自身に絡みつく。
「やっ……あ、ああ!」
「すげえ……また、締めつけてきた……」
「だっ……て、イキそ、……なるっ……」
 直接握り込まれる刺激にあっさり達してしまいそうで。
 そうなったら、この時間が終わってしまうのだと、それは嫌だと首を振る。
「……無茶すんなよ……アンタ初めてだろうが……!」
 言葉と裏腹に激しさを増す彼の動きに力の失せた腕が支えきれなくなり、ソファのクッションにしがみついた。
「幸村……」
 シャツの後ろ襟をぐいと引かれて露出した肩に、口付けが落とされる。
「はっ……ん……」
「マジで可愛い……なあ、言えよ……俺が好きなんだって」
「あ、……待っ……!」
 言え、と言いながらも上体を押さえ込むようにかけられた体重。
 身動きが取れなくなったそこへ、一際深く貫かれ、高い悲鳴――嬌声を飛び散らかせる。
 くらくらとする。あまりの熱に眩暈がする。
 硬度と大きさを増した彼自身を受け入れているそこはもうギリギリの限界なのだろう。そのいっぱいのテンションのところに擦り付けそして突き立てられると、身体が跳ね、身を捩り、乱れるしかない。
 痙攣すらしそうに太腿が震え、彼の手の支えがなければ膝立ちすらもう出来ないくらいだった。
「あ、あああ……ぅ、ぁ……」
 身体の底からの震えと共に、とぷ、と精を吐く。きつく内壁が収縮して彼自身を締め上げるのを感じながら、解放感に細く喘ぐ。
 それでも、中の怒張は変わらず存在をしていて。
「……もう少し……付き合えよ幸村」
「え……あ、あっやああ!!」
 達したばかりでまだ精を吐き尽くしていない時の敏感すぎる身体を引っ張り上げるようにして引っ繰り返した彼は、今度は正面から覆いかぶさってきて、情欲に瞳を燃え滾らせながら嗜虐的な笑みを浮かべてみせた。
「アンタがイッても終わりになんかしてやらねえよ……しっかり食らいな!」
 吐精に向かう激しい抽送に視界がぶれるほどに揺さぶられる。
「ひっ……あ、や、駄目、せんぱっ……俺、まだっ……!」
「イキっぱなしでもう一度イけ!」
「無っ……茶あ……!!」
 達したままで降りることを許されず、インターバルもないままに、さらなる高みへと押し上げられるそれは、あまりに甘美すぎる暴行だ。
「ああ、ん、あっ……も、うっ……や……ああ!」
 放った精と垂れる精が結合部へと流れ込み、挿入に併せて粘度の高い水音を響かせる。それが恥ずかしいとか思う余裕はなかった。身体の中で溢れかえる快楽の波。触れられるだけで痺れそうに敏感になった肌にくわえられる愛撫と交接の責め苦はあまりに官能的すぎて、正気でなどいられない。
「もう、い……や……ああっ」
「なら言えよ……Tell me,how do you think of me?」
 低い囁く英語が、その問いの答えが解放への鍵。
 だったら、躊躇う必要なんかない。
「好き……好きですよ! だから、だからもう……!」
「all right……たっぷりくれてやる……!」
「く、ぅあ、あああ!!」
 打ち付けるように激しい律動は絶頂へと真っすぐにかけあがるそれだ。
 身体の奥はその衝撃の度に彼自身を捕らえようと足掻いて内壁を締めて圧迫しながらも、それを快感として脳に信号を送りつける。
 限界なんかとうに超えていた。
 動きの取れない身体をさらに押さえつけられて彼から与えられる刺激全てを受け止めて。
「んっ……んん、あああ!」
 ――どくり、と放たれる精気すらを惜しむようにきつく収縮した。
「あ、あ、……」
 長い長いほとばしり。
 脈打つそれを深い場所でリアルに感じ取る。身体の震えを止められない。あがりきった息が落ち着くのはどれほどの時間を必要とするのか判らない程だ。ソファに沈んでいる身体はこのまま地球の底へと向かうんじゃないかというくらいに重くてだるくて力が入らない。
 とぷり。
 全て吐き尽くしたのだろう、彼の動きが止まる。深い吐息を一つついた後、未だひくつく内部からゆっくりと腰を引いて、放射を終えた自身を抜く。すると、ぬちゃり、と卑猥な音がそこから漏れた。
(うわ)
 おそらく、散々今まで響かせてきた水音だ。だが、終わってしまうと――徐々に理性が戻ってくると、それは本当に恥ずかしい音で、いたたまれなさに思わず片腕で顔を覆った。
 ずる、と粘着感を伴いながら抜かれる彼自身を追うように収縮する己の内壁。今まで存在した熱の固まりを失って、物足りないような空洞感を覚えたのは――もう、気のせいだと思いたい。
(俺――)
 もしかして――もしかしなくても、とんでもないことをしたのではないか。
 好きだと自覚して即セックス。
(――うああああ!)
 ざあっと血の気が引く気分になりながら両腕で顔を覆う。
 好きとは言ったが、その告白は事前ではなくヤりながら。請われるままに言継いだあれは本心だけれども正気だったかどうかというと……快楽を得るために必死だったともいえる。
(どうしよう!)
 呆れられてるかもしれない。つか呆れる。何なんだ、この身体は。
「破廉恥」
「っ……!」
 不意に落とされた固い言葉に、ぎくりと身を強張らせる。
(俺)
 やっぱり幻滅されたんだろうか、と心の中に冷たいものを感じ、思わず呼吸が止まる。
 しかし、彼はくすくすと綻ぶように笑い出した。
「悪い、ちょっとからかった……けど、ホント判りやすいな、アンタは」
 ふわり、と頭を撫でてくる手。それは最初から何も変わらない優しいもので。
「俺が欲しくてアンタを求めたんだ。アンタはそれに応えてくれた。――Thanks、幸村……自分から欲しいと望んで得られたものは今までになかった」
 隻眼に込められた愛しさと満ちる歓喜。
 髪を撫でた手が、頬をやわらかく包んで、その秀麗な顔が近づいた。
「I love you……」
「……っ」
 とても簡単で、今まで散々ドラマや映画やいろんなところで聞いた言葉の響きが、これほどに胸に染みるなんて思わなかった。
 満たされる想いは同じ――いやそれ以上なのかもしれない。
 積もる歓び、溢れる想いはただひたすら相手に向かい、与えられた幸せ以上に相手を幸せにしたいのだと訴える。
 でもそのやり方が判らなくて。
 ――できることは、目を閉じることぐらいと。
「俺も、好きです――政宗先輩」
 同じくらいにシンプルで余計なものをそぎ落とした感情をそのままに伝えることだけで。
 ふ、と暖かく包まれる気配を感じた――と同時に、羽のように触れる唇。
 すぐ離れたそれに目を開けると、間近にある瞳と視線が重なった。
 気のせいと言えるくらいの、微かな微かな、儚いキス。それはいっそ拙いくらいの幼稚なもので。
「………」
 どちらかともなく、笑みが浮かぶ。
 体をあんなふうに重ねたというのに、唇で触れるのが、これほどたまらないなんて変な話だ。
「もう一度、な」
 細めた隻眼に映る自分はどれほど顔を赤くしているだろうか。
 みっともない顔になってるだろう。それでも、「もう一度」と言ってくれた。
「はい」
 恥ずかしくてそれでもやっぱり嬉しくて。
 彼の首に両手を回すと、すり寄るように近づいてきた彼の唇が、柔らかく重なった。
 そのぬくもりや優しい触れ方に、胸の内が歓喜に満ちあふれる。
 途方もないその多幸感に、そっと目を閉じた。

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