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はじめてのおるすばん(※現パロ)
小十郎・佐助は大人。政宗・幸村は小学生での現代パロホームドラマ(何?)。
小十郎と政宗、佐助と幸村でそれぞれ暮らしていてお隣さんです。

パロディやキャラ崩壊が大丈夫な方のみお進みくださいm(_ _)m






「それじゃ俺様、ちょっと買い物してるからね。政宗くんが来るまで、絶対に鍵とか開けちゃだめだよ! 開けたとしてもすぐに締める! 政宗くんには鍵預けてあるから、いいね、旦那!」
「わかっておる! まかせておけ!!」




 チャイムを鳴らしても、反応が聞こえない。
 きっとこの家は今は無人だ。
 周囲をさっと見回し、素早くピッキングを開始する。
 セキュリティが高くとも、所詮は人の手によるもの。
 それを超える術を手に入れてしまえばどうということはない。
 ロック解除の手応え。
 よし、と男は心の中でガッツポーズをするとドアノブをまわした。
 歓迎するように開いた扉にするりと身を滑らせると――
「いらせられませ!!」
「!!!」
 座敷童のように、玄関に、ちんまりと子供が座って笑っていた。
 悲鳴をあげそうになるのをこらえるのが精一杯だったが、子供はにこにこと笑って、ぺとりと手をつく。
「まことにもうしわけござらんが、いまはそれがししかおりませぬ! ごようであればでなおしてくだされ!!」
「………」
 いかめつらしい言葉遣いながら、子供らしい舌足らずな口調で言いきった子供は、満足げに、うむ!と一人頷く。できた!と自分で喜んでいるようだ。
 どうやら、自分を泥棒だとは気づいていないらしい。
 それどころか、キラキラとした目で自分を見てくる。
 知っている。これは芸が出来た時の「ほめて!」と訴える子犬の目だ。
「……お留守番、えらいね」
 思わず脱力感と共に落とした言葉に、目の前の子供はぽああああ!と満面の笑みを浮かべる。
「あたりまえのことでござる! だれもおらぬうちはそれがしがこのいえをまもるのがつとめ!!」
「そう……ご両親、いないの……」
 残念だ。それならばこのまま踏み込んでいろいろ漁りたいという思いはあるが、この小さな番犬を超えるのは、玄関のセキュリティ以上のものがある。
 すると、子供はきょとんと目を瞬いた。
「おやはおりませぬぞ?」
「は? ……ええと、どこかにお出かけなんでしょう?」
「しりませぬ」
「は? ……お買い物とかじゃないの?」
「わかりませぬ!! ちいさいころにわかれてそれきりでござる!!」
 そういえば、これくらいの小さい子供を一人にして、どこかに行くなどまずあり得ない。今どき物騒な世の中なのだ。自分のような泥棒が、こうやって入り込んでくるのだ。
「どこかとおくにいかれたときいておりまする」
「!!」
 まさか、この子は!
 そういえば、表札に姓が二つ並んでいた。
 もしかしたら、この子は……!
(不憫な……!)
 きっと両親と生き別れ、もしくは死別でもしたみなしごなのだろう。
 それを良い人に拾われて、このような良い家に住んでいるのだろう。
 こんなに幼いのに、純粋な笑顔。
(いじらしい……!!)
 それに比べて自分はどうだ。
 ラクな方へラクな方へと転落、ちょっと手先が器用だというだけで、泥棒などに身をやつしてしまって。
「どうなされた? ごきぶんでもわるいのでござるか?」
 とてとて、と近寄ってきた子供のまんまるな目はとても澄んでいて、まともに見ることが出来ない。
「ぼうや!!」
 その場に跪き、子供の両手を包むように両手で握った。
「頑張るんだよ! おじさんもこれからはまっとうに生きるから!!」
「お? おお! たがいにはげみましょうぞ!!」
 驚いたようにぱちくりと目を瞬いたあと、子供はにっこりと輝くような笑顔を見せた。
 ああ、こんなに美しいものがこの世にある。
 自分のなかの腐った部分が清められていくようだ。
 男は浮んだ涙をぐいと袖で拭くと、立ち上がり、
「じゃあな! ぼうや!!」
 一声残してドアから飛び出して行った。
「……いってしまわれたでござる……」
 せっかくおもてなしをしようとおもったのに。
 いつも佐助がやっているような真似をしてみたかったのに、と幸村はちょっぴり残念に思いながらも、おきゃくさまのお相手が出来て、1つ大人になった気分でほくほくとしながら再びその場に座りこむ。
 もうすぐ政宗が遊びにくる。
 玄関で出迎えて、びっくりさせるんだ、とわくわくしながら。

 しかし、それから間もなく戻ってきた政宗に、「玄関の鍵が開けっ放し!」と叱られて、「佐助にはだまっていてくだされ!」と懇願する羽目になったのだった。


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幸村は政宗が来るまでじーっと玄関にいたんです。
鍵は開けちゃだめと言われていたんで、チャイムが鳴っても、律義にじーっと。
佐助でも政宗でも小十郎でもないのはすぐに判ったんで、「おきゃくさま!!」と一気にテンションが急上昇(笑)
あこがれの「おもてなし」を真似っこしたくなったのですね(笑)



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