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Cry for the Moon ※18禁
こちらは破廉恥文章です。
18禁仕様につき、18歳未満・高校生以下の方々はご遠慮くださいませ。

また、読了後の苦情は受け付けません。
自己責任でお進みください!










Are you OK?










Are you Ready?










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 伊達と武田、それぞれの領境近くで発生した小競り合いを収めて城に帰ったのはもう夜更けのことだった。
 ざっと水浴びで埃を落として寝所へと潜り込む。
 身体を横たえて目を閉じた脳裏に浮かぶのは――逢えなかった赤い影だった。
 元々あの程度の小競り合いなら、別に自分が出陣する必要はない。
 小十郎やそれ以下の武将で充分な程度だった。
 それでも、城を飛びだしたのは――それが甲斐に近いから。
 相手はその地方領主で、甲斐の軍兵ではなかったが、もし、万が一、あの紅蓮が姿を現したらと――
 ――それは、案の定、外れたのだけれど。
「………」
 もうどれだけ逢ってないのか。
 甲斐とは未だはっきりとした同盟は結んでいない現状で、甲斐の武将の幸村とは思うように逢うことはできない。この間別れた時には「これからしばらく雨が続くんでしょうな」と言っていたから、梅雨入りの前だろう。
 柔らかく微笑みを浮かべながらも、その眼差しに浮かんだ恋情はあくまでstraightに向けられて己の心の底へまで届く。また近いうちに、と約しながら抱き寄せた身体は素直に己に従い、服越しの熱やその感触を記憶へと刻んだ。
「……Shit……」
 戦のせいだろう。気が昂ぶる。それは下肢への熱にもつながり、幸村を思い出すとどうしても抑えられそうにない。
 この熱を鎮めるために、誰かを寝所に侍らせるなど考えもしなかった。
 ――幸村だけ。
 この手に触れたいのも感じたいのも幸村だけだ。
「cry for the moon……」
 ないものねだり。
 ここに、幸村はいない。ならば。
(仕方がねえ……)
 身体を起こしてあぐらをかき、寝巻きの裾をからげ
て、下帯の奥へと己の手を潜り込ませる。
 熱を吐き出すだけの空しい行為。判っていながらも、脳裏に浮かんだ幸村の影を追うと、手の中の質量は面白い程にあっさりと増した。
 手で与える刺激以上に幸村を想う方が余程興奮する。
「……っ……」
 思い出そう、などと意識を向ける必要はない。
 この寝所で。この閨で。この場所で、幸村がどんなふうに乱れたか。声をあげたか。
 泉で水が湧き出るように、するすると脳裏に浮かぶ様々な姿。
 この姿は己しか知らない。あの色恋沙汰に疎く武骨な武将としての幸村が、己の前でだけさらけ出す本能のままの姿は。
 ――ま、さむねっ…どの……!
 幸村は感じやすい身体をしている。そうだと暴いたのも、己。
 感じる部位を刺激すると、幸村の下肢はあっさりと勃ち上がり、肌を薄紅に染める。かすれ上擦った声に宿る色は普段欠片として感じないだけにそのgapに毎度感心させられる――煽られる。
 思うままに組み伏せて、肌を味わい弾力を確かめて。
 その度に嬌声を押し留めようと噛む唇は鮮やかに赤く塗れて艶めいていた。
(あの唇に、)
 己のこのgrotesqueに成長したpenisを押し込んでやりたい。
 喉に向かって思うままに突き立てて腰を動かして責めてやったら、幸村はどんな顔をするだろう。
 ――いやっ…で、ござ……!
(ああ、そうだ)
 きっと泣きそうに潤んだ目で見上げてくる顔はさぞ己の嗜虐的な気分を高めてくれるだろう。
 あの顔がどれほどに扇情的かなど、幸村自身は気づいていない。
「……は……」
 己の唇から堪えきれず吐息がこぼれ落ちる。
 幸村を思うだけで、これほどに乱れる――きっと、幸村はこんなこと知らないだろう。
 幸村に快楽を与えるのは己。そして己に快楽を与えるのは幸村だ。
 表情、吐息、声、肌の震え、強張り、そして熱。
 砲身を擦る乾いた手が歯がゆい。こんなものじゃない。望んでいるのはこんな武骨な手ではなく。
「……っ……ゆき、……」
 この怒張をあの熱い身体の奥まで沈めて深く交わりたい。
 どれほど蕩けていようと、貫くと幸村はいつもきつくきつく締めつけてくる。捕らえようとするように――逃さないというように。
 意図的に締めるなんてことをあの初心な幸村が出来るはずがない。
 だからあれはきっと無意識だ。意識せずに、己を搦め捕ろうとするそれがどれほどに心地よく愛しいか。
「ゆきむ……ら、ぁ……!」
 腕の中にあの熱をきつく抱きしめて、奥を穿って、喘ぐ声を聞きたい。
 ――政宗殿……!!
 己の名を呼ぶかすれた声が聞きたい。
 ――やめて、くだされ……もう、……こんなっ……!
 足を抱えて身体を折らせ、深く深く貫くと首を横に振って涙目を向けてくる。互いの腹に挟まれるほどに勃起した正直な幸村の雄はたらたらと先端から雫をこぼしているのに。幸村自身の素直なreactionに応えてやると指を絡めると、己の雄を酷くきつく締めつけて、表情や言葉を裏切るそれは余計に我欲を高めてくれる。
 ――あ、ぁっ、いやだ、と、申しておるのに……っ……
 裏腹な唇は己のそれで塞いでしまえ。声が聴けないのは惜しいが、絡めとった舌の甘さや鋭敏になった口腔を探るたび、脈打つように幸村の内部は収縮を繰り返すのだ。それは堪らなく心地いい。
 ――……もう、……!
 幸村自身を擦る手はすでにぐしょぐしょだ。もしかしたら緩い絶頂かその手前には達しているのかもしれない。
 揺さぶるたびにゆらゆらと揺れていた足が腰に絡まり引き寄せて来る。
正気であれば絶対にしないだろう男を求めるその仕種は、幸村が快楽に陥落した証拠だ。
 己の動きにあわせて幸村の腰が動きはじめる。それはとても淫猥な仕草で、興奮を伝えてくる荒い息がどんどん乱れていく。それは少しでも酸素を取り込み、体のウチガワの暴れ回る熱を宥めようとするようで、しかし、それは逆に煽るだけでしかなかった。
 その時になると、いつも、焦らしてやろうかそれとも壊れる程に突いてやろうかといつも悩む。
 どちらにしても、幸村が耐えきれないといった表情を向けてくる。それが見たい。
「あの、顔は……っ……クるからな……ッ」
 許しを請うような、しかし自分自身にそれを許すことが出来ずに耐える、複雑な、それでいてたまらなく扇情的な表情。
 綺麗だとか可愛いなんてそんな美しい言葉ではなく、もっと本能に根ざした生々しい表貌こそが、何よりも魅惑的であり――甘美。
 ――んっ……ふ、あ、……はぁっ……
 まともに言葉も紡げず、ただ喘ぐばかりのその声が、身体の中を駆け巡る熱に浮かされまともな思考を紡げなくなった幸村の有様を示す。
 きゅうきゅうと内壁が絡みつき締め上げてくる、それは幸村の頂点が近いことを知らしめていた。
 ここまでくると、もうこっちにも余裕がない。
 一気に責め立て追い詰めて――堕とすだけだ。
「ゆき、……幸村……っ……」
 いや、追い詰められるのはこっちかもしれない。
 思考も感覚もすべて幸村の紅一色に染め上がる。己の蒼が飲み込まれ、喰われているのはもしかしたら己の方だ。
「は……」
 息が乱れる。
 頂点が近い。
 幸村の内側の締め付ける強さを思い出して、手の握りを強くした。
(ああ、違う)
 余計に差異が浮き彫りになる。
 幸村の内部はもっと熱く濡れて絡みつくように締め付けてくる。
 こんな、ただ、握るだけのものとは全然違う。
(もっと)
 もっと浅ましく、欲しがって吸い付いて、奥へ奥へと誘いそこで捕らえようとするあの切羽詰まった感じが欲しい。
 ――あ、ああっ……ま、まさ……!
 幸村は、限界が近づくと必ず左目を塞ごうとした。
 ――は、ずか、しい……こんな、あさま、しい……姿……!
 その姿こそを目に焼き付けたいのに。己が加える律動でガクガクと身体を揺らしながら見るなと懇願する目を向けてくる姿は情欲をあまりにそそってくれる。
 その手を組み伏せて、幸村が過敏に反応する場所を過たずに抉り奥まで突き上げる。それがGOALだ。
 嬌声を叫び散らかしながら達する幸村の、内部の蠕動を思い出しながら手を締める。
(ああ、違う……違う!)
 この手は、元々幸村を追いつめるものだ。己の砲身を擦る為のものではない。
 腹立たしさすら感じながらも、浅ましい己の雄は快楽をなんとか拾って手の中に白い濁りを吐き出した。
記憶の中の幸村が霞のように消えていくと同時に、手の中に温い飛沫が溜まっていく。
「Ah……shit……」
 その気持ちの悪い粘ついた体液を懐紙で乱暴にぬぐい取った。
 気分が悪い。
 身体に篭もっていた戦の熱は、確かに発散はされたのだろう。しかし、余計な不満が溜まり、苛立ちは増していた。
(ああ、畜生……)
 あの熱い身体が欲しい。
 この腕の中に朝まで抱きしめて、口づけて、愛しみたい。
 ――まさむねどの……
 寝言のような小さな小さな囁きと、温もりを求めるようにすり寄る仕草と、身体を拭いても残る火照りが欲しい。
「――幸村……」
 望む名を、空に溶かせるように呟いて、ふと窓の外を見遣ると、月が登ったのだろう、やけに明るい。
 誘われるように濡れ縁に出てみると、満ちた月が天頂から、庭を冴え冴えと照らしていた。
 あまりに明るいその光は情欲に溺れた竜を無言で戒めるように、そして冷ますかのように輝いている。
(可笑しいか?)
 手に入らぬ存在を求めて夢想に耽る己の姿は、全てを見下ろす天に在り清冽に輝く天球には愚かに見えるだろうか。
(ああ、確かにアンタには暗愚に見えるだろうよ)
 しかし、きっと月は知らないだろう。地上に在る者の熱――触れ合い、交わすぬくもりの心地良さを。
 だからこそ、無欲な表情で高潔な姿で常に在れるのだろう。
 知れば、きっと欲しくなる。
「……、……」
 呟くだけで炎が胸の内に宿るその名を、月には聞かせないように小さく口の中でだけ響かせて、そして見上げた月はただ何も知らないままに冴えた光を惜しみなく地上へと降り注いでいた。

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去年の1月インテでのペーパーです。
無料配布なのに18禁って…orz
初参加・初ペーパーで張り切っておりましたが、張り切る方向を間違えていた気がいたしますw
ちなみに、配布時は表紙・挿絵つきという豪華仕様でした。
そらさん、あの時は本当にありがとうございましたー!


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