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おむすびの日(※現パロ)
小十郎・佐助は大人。政宗・幸村は小学生での現代パロホームドラマ(何?)。
小十郎と政宗、佐助と幸村でそれぞれ暮らしていてお隣さんです。

パロディやキャラ崩壊が大丈夫な方のみお進みくださいm(_ _)m








↓ 平日の朝ご飯は、隣の家で食べる。
 二人分作るのも4人分作るのも手間は一緒だもん、という隣人の好意に甘えているのだが、ギリギリまで寝ていたい自分と朝から野菜の世話をしたい小十郎にとってはとてもありがたい話だ。
「おはよ、政宗くん」
 キッチンに立つ男がにっこりと笑って振り返る。割烹着と手にしたお玉が非常に似合っている。年下の幼なじみの姿は見えない。おそらく近所の武田道場の朝稽古にでも寄って学校に行こうと早く出ていったのだろう。
 Good Morning、と返しながらテーブルを見ると、自分の席に置かれた皿に、崩れた握り飯がどんどんどんと3つ。
「……これは?」
 よく見ると、その握り飯は決して崩れているわけではない。
 形がいびつなだけで、そこにはきちんと海苔も巻かれてある。
「知ってる? 今日は『おむすびの日』なんだって」
「おむすびの日……?」
 そんな日があっただろうか。
 まあ、特に祝日ではない記念日というのは割と安易に増えたりするものなので知らなくて当然といえば当然なのだが、なんとなく首を傾げてみせた己に、佐助はくすくすと笑う。
「俺様も小十郎さんも知らなかったんだけど、幸村がね、おむすびを作るのだ!って今朝駆け込んできたんだよね」
 ――政宗に作ってあげたいのだ! 佐助、握り方を教えてくれ!!
 いつもより早い時間に飛び込んできた幸村は、勢い込んだ以上の顔の赤さで、そう頼んできたのだという。
「……俺に言えばいいのに」
「びっくりさせたかったんでしょ」
 可愛いじゃない、と佐助は言いながら、豆腐とわかめの味噌汁をテーブルにことりと置いた。
「それじゃ、俺様も出かける用意があるから勝手に食べて勝手に学校行ってね」
「おう。……Thank you」
 ひらりと手を振り自室に向かう佐助に、小さく礼を言った。
 多分、一人にしてくれたのだろう。普段はここで自分が食べてる間に細々とした片付けものだの、晩ご飯の献立作りだのをしているのだから。
 椅子をごとりと引いて席に着き、幸村謹製だというおむすびと佐助の味噌汁に向かって、いただきます、と手を合わせ、おむすびを手に取った。
 三角を作りたかったのか、丸にしたかったのか。
 角とも手の型とも取れぬその微妙な形に吹き出しそうになる。
 幸村は決して料理が出来ないわけではないが、こんなふうに、体裁を整えるものというのは苦手なはずだ。
 それを自分のために作ってくれたというのはとても嬉しいことだった。
 ぱくり、と一口かじってみる。
 目を見張った。
「……美味いじゃねえか……」
 表面はがちがちと固まってるのかと思いきや、ほろりと崩れる絶妙な握り加減、塩加減もちょうどいい塩梅で、中に詰められている具材の昆布の佃煮ともバランスが取れている。
 気づけば、ぺろりと一つ平らげていた。
 あと二つ。
 そのうちの一つを手にしながら席を立ち、かぷりとかじりながら炊飯器の蓋をあける。
 つやつやと炊きたてのごはんがそこにあった。
「おむすび作るなら使っていいよー」
 まるで見ていたかのようなタイミングで、奥から佐助の声が届く。
(読まれてるのかよ)
 気恥ずかしくも可笑しくて、小さく笑いをもらしながら、おう、と奥へ返事して。
 手の中の握り飯を平らげてしまう。掌についたご飯粒をぺろりと舌で舐め取りながら、さて、と考えをめぐらせる。
 この美味い握り飯、ぜひとも礼をしなくては。
(幸村が好きな具は……)
 今まで作った料理とその時の幸村の反応を思い出しながら、自然にこみあげる笑みを浮かべて、政宗はしゃもじに手を伸ばした。



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カレンダーをふとみたら「おむすびの日」なんて書いてくれてたもんで、一気に夜中に書いたお久しぶりの現パロSS。
……でも、実はコジュサスを書こうとしたんですが……どうしてこうなった私。
根からのダテサナっこだからか……!

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