他愛もなく。 見慣れない光景を見た。 やけに難しい顔をした幼馴染が、鏡と睨み合っている。 「…アゼル?」 「あ、レックス」 ぱ、と振り向いたアゼルは別段普段と変わりはない。何をそんなに気にしているのか、レックスには皆目検討もつかなかった。故に単刀直入に訊いてみる。 「何してたんだ?」 少々躊躇うようにしてから、アゼルは気恥ずかしそうに口を開いた。 「…今日、街に出たんだけど 店のおじさんに"お嬢ちゃん"て呼ばれ、て」 「あー…」 何と返して良いやら、とレックスは眉を顰める。何しろこの幼馴染の少年は、そこらの女よりよっぽど可愛い顔立ちをしている。背も特別高い訳でもないし、魔導士という事も有って華奢だ。見間違えても無理は無い。 ふと、レックスは痛い程の視線に気付く。 「アゼル?」 「…レックスは良いよね、背も高いし、肩幅も広いし、男らしくて」 羨望の眼差し、とでも言うのか。アゼルはふぅ、息を吐いた。 「て、言われてもなぁ…」 あまり体格の良いアゼルというのも想像出来ない。というか したくも無い。 「ま、いざとなったら俺が嫁に貰ってやるからさ」 「…何ソレ…」 レックスは快活な笑みを浮かべながら、アゼルの頭をぽんぽんと叩く。何だか自分の悩みがちっぽけなように思えてきて ふ、と諦めたようにアゼルもそっと微笑んだ。 +++ 女性に対して明らかに男性が多いんだから、男同士でデキたっておかしくないよね! というのが最近の考えです(爆) や、アゼティル好きですが。何て言うか…、それはそれという事で(←) |