君の隣。
いつまで一緒に居れるかなんて、分からないけれど。
「アゼル! 後ろだ!」
「っ!」
名を呼ばれた赤髪の少年は即座に振り向くと、その手に持つ魔導書を唱える。敵のシーフは燃え盛る火炎に包まれ、やがて息絶えた。
「ふぅ…」
「お疲れ」
少し馬を歩かせ、レックスはアゼルと肩を並べるようにした。アゼルがあどけない笑みを浮かべる。
「随分慣れたと思わない?」
「何が」
「だから…乗馬」
「ああ…」
少し前、アゼルはマージナイトにクラスチェンジした。初めは見るも耐えない程だったが、レックスの教えが良かったのか、元々素質が有ったのか、今では大分安定している。
昔はよくアゼルを後ろに乗せて駆け回ったな、とレックスは思う。背に感じる暖かさが妙にむずったくて、でも安心出来て。今となっては ただの思い出だけれど。
「嬉しいよ、僕は」
「?」
「僕は歩兵で、君は騎兵で 歩調が合わなかったろ? でも、今はこうして肩を並べられる。一緒に進める」
「アゼル」
「迷惑、かな」
「…ばーか」
す、と手を伸ばし アゼルの髪をくしゃくしゃと撫でる。少し照れくさそうにアゼルは俯いた。
「帰るぞ」
「…うん」
優しく緩やかな風が、二人の間をすり抜けていった。
もう、俺の後ろにお前はいない。
今 俺の隣にお前がいる。
それが 全て。
+++
幼馴染って良いなぁ…。 アゼルはNLでもBL相手が充実してて素敵です…(笑)
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