呆れる程に、僕らは。
「変装というのは、まず観察力が無ければならない」
ひらひらと舞う花びらを捕まえて、三郎は静かに呟いた。
「相手の、それこそ本人さえ気付かない癖でさえ 完璧に模写しなければ、ね」
そっとその手を開けば、ふわりと 風が花びらを天へと運ぶ。
花びらの行方を ぼんやりと見送って。
「なら、三郎は 僕以上に僕の事を知っているのかな」
「…うーん」
少しだけ困ったような顔を向けてきた。珍しい。
「そうだったら面白いのにって 思ったんだよ」
そんな三郎の様子が何処か可笑しくて、思わず笑みが零れる。同じように三郎も微笑む。
今、僕はこんな顔をしているのだろうか なんて一瞬。
(いいや違う。僕の顔を借りていたって、この表情は彼のもの)
「…そうだな…、君の事なら何だって分かると自負してはいますが」
「へぇ、例えば?」
「例えば、雷蔵さんは私の事が好きで好きでたまりません…とか」
自惚れでしょうかと 君は問う。
ああ 本当に、そうだったら良かったのに。
(全く、憎らしいったら)
「自惚れじゃ ないですよ」
(それでも、憎らしく思うのもまた愛なのだから仕方ないのです)
+++
何かも…書いてて恥ずかしくなりましたが、鉢雷なら甘々もいけるかなーなんて思ってしまった訳ですよ…! 雷蔵さんの笑顔は全てを救うと思ってます(←)
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