小さな一歩。 買い物に下りたその町は、休日という事もあり、いつもより人で賑わっていた。 「…その手は何だ」 差し出された手を訝しげに見つめる。 見上げれば、ロックオンが楽しそうに微笑んでいた。 「この人混みだぞ? 迷子になるかもしれないじゃないか 刹那はただでさえ小さいし…」 「…」 途端、刹那が眉をひそめる。 「…悪かったな小さくて」 「あ、いや…」 失言だった、と気付いた時にはもう遅く。 すっかり仏頂面になってしまった刹那は ロックオンに背を向けてと歩き出した。 少しでも目を離すと見失ってしまいそうで、ロックオンは慌ててその後を追う。 「待てって刹那」 思わずその腕を掴むと、不意に刹那は足を止める。 「離せ」 振り返るなり一言。 「えー?」 ロックオンが反論しようとすると、刹那は黙ったまま睨んできた。 「あー分かった 分かったって!」 渋々その手を離してやると、少し考えるようにしてから刹那はまた前を向いた。 と、小さく袖を引かれる。 「!」 「…早く行くぞ」 表情までは分からなかったけれど、刹那の顔はほんのり赤いように見えた。 「了解」 そんな刹那が可愛くて、ロックオンはこっそりと微笑んだ。 |