灯台下暗。
「恭弥!今日はこの辺にしとこうぜ」
ディーノが息を切らしながら告げた。
「…何、もう終わり?」
そう言う雲雀も、実際は肩で息をしている。
「もう、ってお前…、日も暮れてきたろ?」
この時、2人が修行を初めてから 既に五時間は経っていた。
「別に構わないけど」
戦闘マニアと言うか、何というか。
雲雀はトンファーを強く握り締めたまま、ディーノを眺めている。
「ったく…。」
どうしようか、といった様子で困り果てていると、不意に雲雀が視線を逸らし、歩き出した。
そして、フェンス越しに並盛町を見下ろす。
「恭弥?」
「…此処は、並盛町が見渡せるんだね。」
初めてそれに気付いたかのような、そんな反応だった。
今まで気にした事なんて無かったのだろう。
「…好きか?此処。」
ディーノは愛弟子の元へ歩み寄り、同じ景色を見下ろしながら問う。
「…学校だからね」
「オレが居てもか?」
「…」
雲雀は、いつもと変わらぬ表情で、当たり前に答えた。
あなたなら、別にいいよ。
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