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valentine verディノヒバ

「恭弥ーっ、恭弥居るかー?」


ああ、また五月蝿いのが来た。

仕方ないから 僕は部屋の戸を開けて手を振ってやる。 ここにいるよ、って。


あなたは僕に気付くと、嬉しそうに駆け寄ってきて部屋に入った。


「いつも此処に居るんだな」

「そうだよ。だから いちいち大声で呼ばないで。」

「ああ…うん」


…生返事。
何か落ち着かない様子だった。


まぁ、僕が気にする事じゃないよね、と 手元の袋からチョコを取り出して口へ放り込む。

そしたら、あなたは驚いた顔で 僕を凝視した。


「恭弥…それ…」

「…は?」

「は?じゃなくて! お前、だって今日は…っ」

「今日…」


慌てるあなたを眺めながら、とりあえず状況は理解した。
…今日は2月14日。
それでソワソワしてた訳だ。


あなたの色々な表情を見るのは嫌いじゃない。
ただ、この状況をほっとくと 面倒な事になりそう。


「ディーノ」

「え?」


僕は 阿呆みたいに開けてたその口に、食べかけのチョコを押し込んだ。
いわゆる口移し。


「これで良い?」


「…ハイ。」


敵わないなぁ、って あなたがポツリと呟いた。


当たり前だよ。
あなたは僕のモノなんだから。











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